人的資本の開示例20選。参考になる項目や基準、開示方法を紹介

2023年度より上場企業に対して有価証券報告書で人的資本情報の公開が義務付けられたことを受け、人的資本情報の開示について企業の関心が高まっています。

しかし、どのような項目を公開する必要があるかがわからず、「他社の例を参考にしながら検討したい」という企業も多いのではないでしょうか。

本記事では、人的資本の開示例として20社の開示内容や項目、取り組みについてご紹介します。人的資本開示に取り組む際は、ぜひお役立てください。

人材活用に関するお役立ち情報をお送りいたします。

人的資本の開示例とは

人的資本の開示例とは、企業が公表している人的資本情報開示の事例のことです。近年では、人的資本の情報開示が、投資家をはじめとするステークホルダーから求められています。

開示する情報は企業ごとに項目や指標が異なっており、自社の公表内容や独自の方向性を検討していかなければなりません。自社の開示項目や方向性を決めるときは、他社による開示例を参考にしてみるのも一つの方法です。

人的資本とは

そもそも人的資本とは、企業の人材が有するスキルや能力、資格などを資本として捉え、投資の対象とする考え方のことです。

近年では、人的資本が経営に不可欠な資源で付加価値を生み出すという考えが投資家などの間で認識され始めています。それに伴い、企業による人的資本への積極的な投資も進んできているのが現状です。

人的資本開示とは

人的資本開示とは、人的資本に関する情報を社内外のステークホルダーへ公開することです。2023年3月期の決算以降、約4,000社の上場企業に対し、有価証券報告書で人的資本開示が義務付けられています。

なお、人的資本開示が義務付けられた企業以外も、統合報告書やHuman Capital Reportingなどを通じて開示するケースが増えています。

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人的資本の情報開示が必要な理由

ここでは、人的資本の情報開示が必要な理由について詳しく見ていきましょう。

欧米での義務化

欧米では、日本に先駆けて人的資本開示の義務化が進んでいます。

EUの場合、2014年から「非財務及び多様性情報の開示に関する改正指令(NFRD)」が運用され始めました。2023年には「企業に対するサステナビリティ情報開示指令(CSRD)」が発効されるなど、人的資本の情報開示がさらに広がってきています。

また、アメリカでも2020年11月より、米国証券取引委員会(SEC)によるRegulation S-K(非財務情報に関する規則)改正が適用開始となり、全ての上場企業は人的資本開示を義務付けられました。さらに、2021年には「人材投資の開示に関する法律(Workforce Investment Disclosure Act of 2021)」が下院を通過するなど、人的資本開示が急速に進んでいます。

ESG投資への関心の高まり

ESG投資とは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の3つの観点を評価し、投資先企業を選定する投資手法です。近年、ESG投資への関心は国内外で高まっており、「Social(社会)」の分野に該当する人的資本が注目されるようになりました。

また、同じく近年広がっているSDGs(持続可能な開発目標)には、ESG投資と近しい指標が用いられています。

投資を呼び込み長期的な成長を目指すには、具体的かつ定量的な人的資本情報を開示する必要があるといえるでしょう。

無形資産の価値向上

無形資産の価値が向上していることも、企業による人的資本の情報開示が求められる理由の一つです。無形資産とは、従業員のスキルや能力、ビジネスモデルなど、物的な実体のない資産のことを指します。

近年、企業価値を評価する際に、製品や保有している土地・設備などの有形資産だけでは不十分であるという考えが国際的に広がっています。これまで一般的に公開されてきた財務情報だけでは企業価値を正確に判断するのが困難になっており、人的資本のような無形資産に関する情報の重要性が高まっているのです。

人的資本の情報開示に関する国内の動向

ここでは、人的資本の情報開示に関する国内の動向を見ていきましょう。

人材版伊藤レポート2.0の公開

人材版伊藤レポート2.0とは、持続的な企業価値の向上のための人的資本に関するアイデアがまとめられた、「持続的成長に向けた長期投資(ESG・無形資産投資)研究会報告書」の通称です。

人材版伊藤レポート2.0では、企業価値を生み出す手段として、人的資産を含む「無形資産」への投資が重要だと述べられています。日本国内では、人材版伊藤レポートの公表が大きなきっかけとなり、人的資本経営が推進されるようになりました。

コーポレートガバナンス・コード改訂

コーポレートガバナンス・コードとは、上場企業が行う企業統治(コーポレートガバナンス)において、ガイドラインとして参照すべき原則のことです。コーポレートガバナンス・コードは2021年6月に改訂され、上場企業には人的資本情報の具体的な開示が求められました。

人的資本可視化指針の公開

人的資本可視化指針とは、2022年の「非財務情報可視化研究会」にて公表された、人的資本を含めた非財務情報に関する指針のことです。人的資本可視化指針では、指針の役割や可視化の方法、可視化に向けたステップなど、政府が企業に求める人的資本に関する指針が述べられています。

また、同じく2022年に岸田内閣が「人への投資」を新しい資本主義の中核の一つとして掲げました。リスキリングによる能力向上支援や職務給の導入など、人への投資を強化することで、高水準の賃上げを持続的に実現する方針です。

有価証券報告書での開示義務化

2023年3月期の決算以降、約4,000社の上場企業を対象に、有価証券報告書による人的資本の情報開示が義務付けられました。

主に、「従業員の状況」に関する女性管理職比率や男女間賃金格差、「サステナビリティに関する考え方及び取組」における人材育成方針などの開示が求められています。

これらの項目は2023年1月31日の「企業内容の開示に関する内閣府令」によって改正されました。詳しい改正内容は、次の図のとおりです。

人的資本の情報開示で参考になる基準や指標

ここでは、人的資本の情報開示を行う際に参考となる、いくつかの基準や指標について見ていきましょう。

人的資本可視化指針の7分野19項目

上述した人的資本可視化指針では、開示対象となる項目として以下の7分野19項目を掲げています。

人材育成
※開示必須
  • リーダーシップ
  • 育成
  • スキル/経験
エンゲージメント
  • エンゲージメント
流動性
  • 採用
  • 維持
  • サクセッション
ダイバーシティ
※開示必須
  • ダイバーシティ
  • 非差別
  • 育児休業
健康・安全
  • 精神的健康
  • 身体的健康
  • 安全
労働慣行
  • 労働慣行
  • 児童労働/強制労働
  • 賃金の公正性
  • 福利厚生
  • 組合との関係
コンプライアンス/倫理
  • コンプライアンス/倫理

なお、上記のなかで開示必須なのは、人材育成分野とダイバーシティ分野の6項目です。その他の項目は、企業に求められているニーズに合わせて開示するかどうかの選択が必要です。

4つの基準

人的資本開示では、7分野19項目の全てを網羅的に開示するわけではありません。「独自性」「比較可能性」「企業価値向上」「リスクマネジメント」の4つの基準で整理して、公開することが推奨されています。

  • 独自性…他社にはない自社の強みを開示すること
  • 比較可能性…投資家が他社と比較検討しやすいよう定量的に開示すること
  • 企業価値向上…投資家から高い評価を得られる内容を開示すること
  • リスクマネジメント…投資家が直面する可能性のあるリスクとそのマネジメントについて開示すること

これら4つの基準の具体例について、以下の図にまとめたのでご覧ください。

国際的ガイドラインISO30414の11指標

ISO30414は、2018年に国際標準化機構(ISO)が発表した、人的資本情報開示に関するガイドラインです。ISO30414の大きな目的は人的資本が企業の成長に与える貢献度を示すことで、人的資本可視化指針とは開示項目や内容などが異なります。

ISO30414の具体的な内容について、以下の表にまとめたのでご覧ください。

コンプライアンスと倫理

企業のコンプライアンスに関する取組内容
例)

  • クレーム数や内容
  • 懲戒処分数や内容
コスト

給与や人件費など、人材に関するあらゆる費用
例)

  • 人件費
  • 採用コスト
ダイバーシティ

企業の従業員比率、リーダー層の人材など
例)

  • 労働者の多様性(年齢、性別、障がいの有無、その他)
  • リーダー層の多様性
  • 障がいの有無/性別の多様さ
リーダーシップ

CEO(代表取締役社長)やCFO(最高財務責任者)、CHRO(最高人財責任者)のような経営層など、管理職に関する項目
例)

  • 経営陣の信頼度
  • リーダーシップの開発
組織文化

従業員のエンゲージメントやコミットメントから見る、企業文化
例)

  • 従業員満足度
  • 定職率
企業の健康・安全・福祉

労働災害など、健康経営に関する項目
例)

  • 労働災害件数
  • 死亡者数
生産性

従業員一人当たりが生み出す利益など、人的資本と利益に関する項目
例)

  • EBIT
  • 従業員一人当たりが創出している利益
採用・異動・離職

人事戦略に関わる項目
例)

  • 一人当たりの採用コスト
  • 離職率
スキルと能力

従業員に対する能力開発に関する取り組み
例)

  • 人材育成
  • 開発コスト
後継者育成計画

CEO、CFO、CHROなど経営陣や責任のあるポジションの後継者育成に関する取り組み
例)

  • 後継者の有効率
  • 後継者の準備率
労働力確保

企業が確保している労働力
例)

  • フルタイム換算での従業員数
  • 欠勤率

人的資本の情報を開示する4つの方法

人的資本情報を開示する方法として、有価証券報告書、統合報告書、Human Capital Reportingの3つの方法が主に使われています。さらに企業によっては、公式サイトやアニュアルレポート、データ集などを作成して開示しています。

それぞれの開示方法の概要は次のとおりです。

有価証券報告書 上場企業などが、ステークホルダーに対して企業情報を開示するための資料
統合報告書 企業の財務情報・非財務情報をまとめて開示するための資料
Human Capital Reporting アメリカの上場企業に対し開示が義務付けられた、人的資本に関する報告書
その他 公式サイトの特設ページ、アニュアルレポート、データ集などを作成して人的資本に関する情報を報告

人的資本の開示例7選|有価証券報告書

ここでは、有価証券報告書による人的資本の開示例7選を見ていきましょう。

株式会社日立製作所

株式会社日立製作所は、2022年度の有価証券報告書にて「人的資本を充実し、顧客と社会に価値を提供」すると述べています。

人的資本に関する開示内容は、ダイバーシティやデジタル人材の確保・育成など。具体的な開示項目は、次のとおりです。

開示項目の例
  • 2022年度の役員層における女性比率が11%、外国人比率が20%を達成しているという実績
  • デジタル人材数が2022年度で83,000人という実績、2024年度で97,000人を達成するという目標

株式会社リコー

株式会社リコーは、有価証券報告書で「自律」「成長」「“はたらく”に歓びを」を3つの柱として、それぞれの主要指標や目標値などの人的資本情報を開示しています。

主な開示内容として、社員エクスペリエンスの充実化やデジタル人材の強化、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンなどがあります。具体的な開示項目は、次のとおりです。

開示項目の例
  • デジタル研修履修率を2025年度には100%を達成するという目標
  • 正社員の女性比率が18.7%であるという実績

オムロン株式会社

オムロン株式会社は、有価証券報告書で人的資本に関するガバナンスや人材戦略ビジョンなどについて公開しています。

人的資本に関する開示内容は、育成プログラムへの積極的な投資や、女性対象のリーダーシップトレーニングプログラムの実施などです。具体的な開示項目は、次のとおりです。

開示項目の例
  • 人的創造性(付加価値を人件費で割ったもの)を、2024年度において2021年比で7%向上させるという目標
  • 女性管理職比率が2018年と2022年で比較して5.2%から8.7%に伸びていること

三井化学株式会社

三井化学株式会社は、有価証券報告書にて「人的資本、多様性に関する開示」について、ガバナンスや戦略などを公表しています。

主な開示内容としては、人材育成方針や従業員エンゲージメントサーベイの実施などが挙げられます。具体的な開示項目は、次のとおりです。

開示項目の例
  • 重要ポジションに関する後継者候補準備率の目標値が250%に対し、2022年度では211%達成しているという実績
  • 2021年度実施の従業員エンゲージメントサーベイの改善計画の実施率が100%という実績

株式会社荏原製作所

株式会社荏原製作所は、有価証券報告書において「人材の活躍促進」を重要課題の一つとして掲げ、人的資本経営への取り組みを開示しています。

主な開示内容は、ダイバーシティ&インクルージョンやグローバルに統一された役割等級制度の導入など。具体的な開示項目の例は、次のとおりです。

開示項目の例
  • 障がい者雇用比率を2025年度には2.6%以上にすること
  • エンゲージメントサーベイスコアを、2025年度には83以上に、2030年度には86以上にすること

戸田建設株式会社

戸田建設株式会社は、有価証券報告書で人材開発やダイバーシティなどの5つの重点領域の連動による人材価値・組織力の向上を、ミッションとして掲げています。

主な開示内容は、無形資産への投資計画や働き甲斐改革、産後パパ育休制度などがあります。具体的な開示項目の例は、次のとおりです。

開示項目の例
  • 2022年から2024年の3年間で、累計30億円の人材投資を実施する目標
  • 2020年度より男性育休取得率100%を継続していること

カゴメ株式会社

カゴメ株式会社は、有価証券報告書で「人材開発」、「多様な人材集団」、「働き方の進化」という3つの施策を開示しています。

主な開示内容は、多様な人材集団におけるダイバーシティ&インクルージョンの推進や、キャリア採用の強化などです。具体的な開示項目の例は、次のとおりです。

開示項目の例
  • 2023年度における女性の総合職採用比率と社員比率が、それぞれ55%と32%であること
  • キャリア採用比率が8年間で約20%上昇していること

人的資本の開示例6選|統合報告書

ここでは、統合報告書による人的資本の開示例6選を見ていきましょう。

伊藤忠商事株式会社

伊藤忠商事株式会社は、統合報告書にて「企業価値向上に繋がる人材戦略」として、優秀な人材確保や働き方の進化など6つの施策を開示しています。

主な開示内容として、健康力向上のための取り組みや企業所内託児所「I-Kids」の開設などが挙げられます。具体的な開示項目の例は、次のとおりです。

開示項目の例
  • 働き方改革の取り組みの結果、女性社員の出生率が約10年間で3倍以上に伸びたこと
  • 2010年の人材育成投資総額が10.5億円のところ、2022年度には16.3億円へ増加したこと

住友商事株式会社

住友商事株式会社は、統合報告書にて人材マネジメント改革における、グローバル人材マネジメントポリシーとそれに伴うさまざまな項目を開示しています。

人的資本に関する主な開示内容は、社内診療所による健康管理支援の実施や社内専用のカウンセリング施設の設置、ダイバーシティなど。具体的な開示項目の例は、次のとおりです。

開示項目の例
  • 定期健康診断の受診率が100%である実績
  • 2030年度において女性管理職比率を20%以上に、女性部長級比率を10%以上にするという目標

第一生命ホールディングス株式会社

第一生命ホールディングス株式会社は、統合報告書にて人材戦略を「成長」「共創」「幸せ」「安心」の項目に分けて情報開示を行っています。

主な開示内容は、男性育児休業の取得推進や女性リーダー育成のためのスポンサーシッププログラムの実施などが挙げられます。具体的な開示項目の例は、次のとおりです。

開示項目の例
  • 2021年度から2022年度にかけて男性育休取得率が約2倍に伸びていること
  • 新卒採用女性比率が49%、管理職女性比率が29.3%を記録していること

株式会社大塚商会

株式会社大塚商会は、統合報告書にて「人」に関する3つのマテリアリティを掲げ、さまざまな人的資本情報を開示しています。

主な開示内容は、従業員の成長と自己実現の支援の実施や、多様な人材の社会参加によるイノベーション創出のための取り組みなどです。具体的な開示項目の例は、次のとおりです。

開示項目の例
  • 正社員一人当たりの研修費用を毎年増加させ、2022年には10万7千円に到達したこと(前年度比36.5%増)
  • 女性管理職比率が徐々に増加している実績と、2027年には10%を目指すという目標

積水ハウス株式会社

積水ハウス株式会社は、統合報告書にて人材価値を「従業員の自律×ベクトルの一致」として、キャリア自律支援やDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進などさまざまな人的資本情報を開示しています。

主に、創発型表彰制度「SHIP」の導入や、全従業員を対象としたESG経営への理解を深めるためのESG対話の実施、ダイバーシティへの取り組みなどの内容を開示しています。具体的な開示項目の例は、次のとおりです。

開示項目の例
  • SHIPへのアイデア応募件数、ファイナリスト件数
  • 1人当たりの男性育児休暇取得率が31日で、一般的な数値と比較して約25倍であること

明治ホールディングス株式会社

明治ホールディングス株式会社は、統合報告書にてグループの持続的な成長の原動力は人材であるとし、企業活動の推進力となる人材戦略について情報開示しています。

開示内容の例としては、従業員エンゲージメント調査の実施や、女性の活躍推進のためのロードマップ作成などが挙げられます。具体的な開示項目の例は、次のとおりです。

開示項目の例
  • 女性管理職比率が2020年度〜2022年度において増加していることを示し、2026年度には5.6%から10%を目指すという目標
  • 第三者会社による従業員エンゲージメント調査において、2022年度は偏差値Bを達成した実績(AAAからDDの11段階のうち、上から6番目の結果)

人的資本の開示例2選|Human Capital Reporting

ここでは、Human Capital Reportingによる人的資本の開示例2選をご紹介します。

エーザイ株式会社

エーザイ株式会社は、Human Capital Report 2023にて、人的資本経営における取り組みとして「健康」「働き方」「成長」「事業」の4分野に分けて情報開示しています。

主な開示内容は、役員報酬制度の見直しや1on1による対話の促進を含む、挑戦し続ける人材を称賛する風土情勢のための仕組みづくりや、ヘルスリテラシー(健康や医療に関する情報を調べ理解し効果的に活用する能力)の向上などが挙げられます。具体的な開示項目の例は、次のとおりです。

開示項目の例
  • 一人当たりの売上高が過去3年で上昇し、67.2百万円に達している実績
  • 定期健康診断受診率が過去3年で上昇し、99.9%に達している実績

AKKODiSコンサルティング株式会社

AKKODiSコンサルティング株式会社は、Human Capital Report 2023において、ビジョン実現のために定めた3分類9項目について、詳しく開示しています。

開示内容の例は、イノベーション&キャリア本部が実施するリスキリングに関する研修強化や採用活動などです。具体的な開示項目は、次のとおりです。

開示項目の例
  • 2022年度では人材開発や研修に8億3,400万円を投資していること
  • 2022年度における総従業員数が2021年度と比較して53%増加していること

人的資本の開示例5選|その他の方法

ここでは、公式サイトやアニュアルレポート、データ集などを活用した人的資本の開示例5選を見ていきましょう。

株式会社丸井グループ

株式会社丸井グループは、有価証券報告書以外にも、「ESGデータブック」を公開し、人的資本に関する指標を開示しています。

主な開示内容は、人的資本投資額の割合や女性活躍推進活動など。具体的な開示項目の例は、次のとおりです。

開示項目の例
  • 人件費のうちの26%を人的資本への投資として充てている実績
  • 2019年3月期から2023年3月期における女性社員比率や育児休暇取得率のデータ

株式会社村田製作所

株式会社村田製作所は、有価証券報告書だけでなく、「ムラタの人材別ウィンドウで開く」というページを公式サイトに作り、数値とともに人的資本情報を開示しています。

開示内容の例として、長期キャリア形成のための人材育成や、次世代幹部候補向けの研修の実施などがあります。具体的な開示項目の例は、次のとおりです。

開示項目の例
  • 人材育成に伴う教育投資費として2022年度には17億4千万円を投資していること
  • 研修受講者の上級管理職昇格率

TOTO株式会社

TOTO株式会社は、統合報告書に加えて財務・非財務データ集も公開し、人的資本情報に関する詳細の数値などを開示しています。

主な開示内容は、多様な働き方を実現するための研修機会の充実化や、「良き品物を作る前に良き人を作る」ためのメンタルヘルス対策など。具体的な開示項目の例は、次のとおりです。

開示項目の例
  • 社員一人当たりの研修時間と研修費用の実績
  • メンタルヘルスセルフケア研修受講率が100%を達成している実績

旭化成株式会社

旭化成株式会社は、旧アニュアルレポートである「旭化成レポート」にて、人的資本を含む非財務情報をデータで開示しています。

主な開示内容は、事業の課題解決や新たなビジネスモデルの創出を実現する「デジタルプロフェッショナル人財」の育成や獲得、女性を含む多様な人材の登用などです。具体的な開示項目の例は、次のとおりです。

開示項目の例
  • デジタルプロフェッショナル人財数が2022年度時点で1,206人という実績と、2024年で2,500人を目指す目標
  • 女性管理職比率の実績値と目標値

双日株式会社

双日株式会社は、有価証券報告書以外に「人的資本経営」のページを公式サイトに設け、具体的な人的資本情報の数値目標や最新実績を開示しています。

主な開示内容の例は、多様性を生かす仕組みづくりやデジタル人材の育成、人材KPIをモニタリングする体制の構築など。具体的な開示項目の例は、次のとおりです。

開示項目の例
  • 女性総合職の海外または国内出向経験が50%に到達した実績
  • デジタル基礎研修修了割合が100%に到達した実績

人的資本情報開示ならAKKODiSにご相談ください

AKKODiSでは、経営戦略と連動した人材戦略を実現するため、企業の人的資本経営を支援しています。AKKODiSの人的資本経営コンサルティングでは、まずISO30414に準拠したデータが管理されているかを調査し、現状を把握。その上で人的資本開示すべき項目を分析し、開示に向けてサポートを行います。

パートナー企業として、一時的ではなく継続的に企業価値を向上させるためのコンサルティングを提供しています。

まとめ

人的資本開示とは、企業が有する人材情報を有価証券報告書や統合報告書などで開示することです。人的資本開示を効果的に行うためには、他社の事例を参考にして自社の開示方法や項目を選択することが重要だといえます。

AKKODiSでは、人的資本開示のコンサルティングを行っています。人的資本開示のポイントを明確にしながら継続的な人材戦略をサポートいたしますので、ぜひ気軽にご相談ください。

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