人材マネジメントとは、自社の人材を活用するための手法です。働き方改革や人材不足などにより、人材マネジメントに注目する企業が増えてきました。この記事では、人材マネジメントの構成要素や成功のポイントなどを解説します。人材マネジメントを成功させるために、ぜひ役立ててください。
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人材マネジメントとは
人材マネジメントとは、人材を有効活用する方法を示しています。たとえば、戦略的に人材配置を行ったり、人材育成や評価をしたりすることです。人材のスキル・能力の可視化や報酬の最適化なども人材マネジメントに含まれます。人材マネジメントに力を入れると、社員のパフォーマンスが向上するだけでなく、組織全体の生産性も高められます。
人材マネジメントが注目される背景とは
多くの企業が人材マネジメントに注目しています。ここでは、人材マネジメントが注目されている背景について解説します。
働き方改革
政府が進める働き方改革においては、さまざまな角度から労働環境に変化がもたらされています。そのような状況で生産性を向上させるための方法として、人材マネジメントが注目されるようになりました。多様化している働き方の特徴を踏まえたうえで、それぞれに合う人材マネジメントを進めていく必要があります。
人材不足
少子高齢化の影響により、人材不足に陥っている企業も増えています。人材マネジメントは、自社の人材を有効活用するための手段の一つとしても捉えられています。たとえば、適切に人材マネジメントを行えば定着率を向上させることが可能です。また、魅力的な環境を整えられると、新しい人材も確保しやすくなります。
企業が必要とする人材の変化
いまは「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字をとったVUCAの時代だといわれており、企業が求める人材像も従来とは大きく変化しています。一般的には、ゼネラリストよりもスペシャリストが必要とされるようになってきました。よって、それにあわせた人材マネジメントが行われています。
人材マネジメントの構成要素6つ
人材マネジメントの構成要素は6つです。以下では、6つの構成要素についてそれぞれ解説します。
1.採用
採用は、新しい人材を外部から雇用することです。人材マネジメントの観点から見ると、採用活動では自社に必要なスキルや能力を持つ人材を見極めて選ぶ必要があります。また、単に優秀なだけでなく、自社の企業理念に共感して利益の向上に貢献できる人材かどうかチェックすることも大切です。
2.教育
教育は、それぞれの職種や役職に応じて人材育成をすることです。たとえば、新入社員に対しては入社時に基礎研修を実施したうえで、OJTで実践的な指導を行います。また、資格取得のサポートも教育に含まれます。教育の目的は、スキルやモチベーションの向上です。教育に力を入れると、自社に貢献できる人材を増やせます。
3.評価
評価は、従業員の仕事ぶりをもとにして昇給や昇格のための評価を実施することです。職種や役職ごとに基準を設け、それに基づいて評価する必要があります。ここで重要なのは、評価される人が納得できる基準にすることです。適切な評価基準があると、従業員の仕事に対するモチベーションも高めやすくなります。
4.報酬(処遇)
報酬(処遇)は、給与やインセンティブなどのことです。福利厚生も報酬(処遇)に含まれます。従業員が出した成果が報酬(処遇)に正しく反映されるような仕組みを設ける必要があります。そのためには、あらかじめ基準をしっかり決めておくことが重要です。報酬(処遇)も、従業員のモチベーションを左右する大きな要因になります。
5.配置・異動
配置・異動は、それぞれの従業員の適性を考慮し、部署異動させたり出向させたりすることです。適材適所の人材配置を実現できれば、従業員のスキルや能力を最大限に生かせます。また、仕事に対するやる気も高めやすいです。その結果、組織全体の生産性も大幅に向上する可能性があります。
6.休職・復職
休職は従業員の労務を一時的に免除することであるのに対し、復職は再び労務を担えるよう支援することです。出産や育児など、ライフステージが変化するタイミングで休職するケースが多くみられます。必要なときに安心して休職でき、その後もスムーズに復職できるようサポートする必要があります。
人材マネジメントを進める手順とは
人材マネジメントはどのように進めればいいのでしょうか。ここでは、人材マネジメントを進める手順について解説します。
経営戦略を見直す
人材マネジメントを進めるうえでは、まず経営戦略を見直すことが大切です。自社がどのような状況にあるのか把握し、解決しなければならない課題を洗い出しましょう。なお、人材マネジメントを進める際は、人材マネジメントの方向性を経営戦略と一致させる必要があります。その点も踏まえて経営戦略をよく検討してください。
自社に必要な人物像を定義する
自社にとってどのような人物が必要であるか確認し、明確な基準を定義しましょう。そのためには、現時点でどの部署にどのような人物が足りていないか把握する必要があります。自社に必要な人物像を定義する際は、すべての人が同じイメージを持てるよう、なるべく具体的に条件をまとめることが大切です。
人材マネジメントの内容を検討する
自社の課題を踏まえ、どのような人材マネジメントを行うべきか検討しましょう。課題によっては、たとえば外部から新しく人材を採用する必要がある可能性もあります。既存の従業員に新しい教育の機会を与えるべき場合もあるでしょう。人材マネジメントの内容については、予算やスケジュールなども考慮して決める必要があります。
社内で情報を共有する
人材マネジメントを進めるうえでは、社内での情報共有も重要です。経営層はもちろん、一般の従業員にも周知しましょう。人材マネジメント進める際は、従業員の協力を得られるとより質の高い教育や評価を実現できます。組織全体で人材マネジメントに取り組めるよう、情報共有にも力を入れるようにしてください。
実行・振り返りを行う
人材マネジメントについて入念な計画を立てたら、実行に移しましょう。最初から計画が完璧に進むとは限らないため、実行後は必ず振り返りを行います。実行した内容を分析して評価してください。状況によっては改善が必要なケースもあります。その場合は、具体的にどのような対策が必要か検討しましょう。
人材マネジメントの成功ポイント
人材マネジメントを成功させるには、さまざまなポイントがあります。ここでは、具体的なポイントを解説します。
企業方針と人材マネジメントの方針をあわせる
人材マネジメントの方針を決めるときは、企業方針を意識する必要があります。人材マネジメントの方針と企業方針をあわせれば、企業の動向を踏まえた採用や育成を実現できます。経営戦略についても理解し、整合性を崩さないように気をつけることが大切です。組織全体の目標を達成するために役立つ人材マネジメントを行いましょう。
従業員の目標は自分で考えてもらう
人材マネジメントでは、従業員本人に目標を考えさせましょう。他人が目標を設定すると、従業員が主体的に取り組まなくなる恐れがあるからです。自分自身の業務の状況を振り返り、さらに高い成果を出すには何が必要か考えさせる必要があります。自分で決めた目標なら、積極的に取り組みやすくなります。
評価は公平に行うこと
評価が公平に行われていないと従業員が感じると、モチベーションも下がりやすくなります。従業員のモチベーションを維持するには、誰から見ても公平に見える評価を行うことが大切です。基準がわかりやすい評価制度を設ければ、どのように努力すると評価されるかについても明確になります。
情報を開示し、現場の従業員の協力を仰ぐ
人材マネジメントを進めるうえでは、従業員の協力が必要不可欠です。従業員に協力してもらえると、採用や教育がスムーズに進みやすくなります。そのためには、従業員に対して人材マネジメントに関わる情報をしっかり開示することが大切です。細かい評価基準を含めて伝えると、従業員がさらに自発的に努力するようになります。
まとめ
近年、人材マネジメントに力を入れる企業が増えています。自社の人材を活用して成果につなげるには、適切な手順を踏むことが重要です。今回紹介した成功のポイントを踏まえ、現場の従業員と協力しながら人材マネジメントを進めましょう。
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