組み込みエンジニアとは?仕事内容と年収、将来性、求められるスキルを解説

公開日:2021.05.31

ITエンジニア職種
 

組み込みエンジニアの仕事内容はあまり知られていないかもしれませんが、身近な家電製品やIoT技術には欠かせない職種です。

今回は、組み込みエンジニアの仕事内容と年収、求められるスキルと役立つ資格、将来性について詳しく紹介します。さらに、組み込みエンジニアに対して企業が求める知識を身につける方法の1つとして、無料で受講できるAKKODiSの派遣・紹介予定派遣別ウィンドウで開くが提供する、AKKODiS Academy別ウィンドウで開くを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

組み込みエンジニアとは

組み込みエンジニアとは、「組み込みシステム」を開発するITエンジニアの総称です。組み込みシステムは、家電製品や工場に設置されたセンサーなど、独立した機械の中に組み込んである小さなコンピューター(マイコン)を制御します。

パソコン上で動く一般的なシステムとの大きな違いは、CPUやメモリなどのリソースが潤沢ではないため、コンパクトなプログラミングが求められる点です。昔から一定の需要があった組み込みエンジニアですが、近年はIoT(モノのインターネット)技術など、最新IT分野での需要が増えており、注目を集めています。

組み込みエンジニアの仕事内容

組み込みエンジニアの仕事内容は、主に以下の通りです。

  • 製品の企画
  • システム設計
  • ハードウェア/ソフトウェアの設計
  • 実装(プログラミング)
  • デバッグ、テスト
  • 保守

仕事の流れ自体は、一般的なWebシステムやパッケージソフトを開発するITエンジニアとほぼ同じです。ただ、案件によっては、ソフトウェアだけでなく組み込まれるコンピューター(ハードウェア)自体の設計も必要になります。

新人の組み込みエンジニアは、デバッグやテスト・保守から仕事を学んでいき、実装、設計といった工程も任される傾向です。また、製品の企画やシステム設計は、クライアントとのコミュニケーションが多くなるため、実務経験が求められます。

活躍できる分野

組み込みエンジニアの活躍分野は多岐にわたり、新規分野にも大きな可能性が広がっています。組み込みシステムは、家電製品だけでなく、産業機械や情報・通信機器などコンピューター制御が必要なあらゆるハードウェアに求められ、組み込みエンジニアの需要も高まっています。

最新技術分野としては、IoTが組み込みエンジニアの代表的な活躍分野でしょう。家電だけでなく、ウェアラブルデバイス(例:Apple Watch)などにもセンサーやマイコンが搭載され、インターネットにつながって制御できるようになってきています。もちろん、センサーやマイコンにも組み込みシステムが必要なので、組み込みエンジニアは欠かせません。

関連記事:IoTとは?将来性や活用事例について詳細解説!

組み込みエンジニアの年収

経済産業省の「IT・関連企業における給与水準の実態①~職種別(平成29年)」によると、組み込みエンジニアの平均年収は約603万9,000円で、同年の日本人の平均年収432万円を大きく上回っています。

また、IoTのような高度IT人材に当たる仕事している場合は、年収1,000万円を超えることも珍しくありません。そのため、組み込みエンジニアは高給を目指せることがわかります。

ただし、中には年収300万円程度の求人もあるため、そのような企業で経験を積んでリーダークラス、PM(プロジェクトマネージャー)など、責任ある立場になることで、収入アップを目指していくこともできるでしょう。

企業が新人の組み込みエンジニアに求めるスキルと知識

組み込みエンジニアに求められるスキルについて、参考となる資料が一般社団法人 組み込みシステム技術協会(JASA)の「新入社員に求める組み込み技術知識と人物像調査報告書(2019年度版)」です。

この資料に記載されている、企業が高いパーセンテージで「必要」と答えているスキル・知識をまとめました。

言語・OSの知識

  • 言語スキル:C言語(約62%)、C++(約33%)、Java(約29%)、C#(約23%)、JavaScript(約16%)
  • OSの知識:Windows(約49%)、Linux(約33%)、iTRON(約20%)、Android(約11%)、T-Kernel(約8%)、iOS(約6%)、FreeRTOS(約5%)
  • OSの操作スキル:Windows(約78%)、Linux(約32%)、Mac(約3%)
  • オフィス系ソフトの操作スキル:表計算(約72%)、ワープロ(約64%)、プレゼンテーション(約46%)

言語スキルは、C言語が6割超で最も多く求められていることがわかります。「習得していればプラス」という回答まで含めると、C言語は約98%の企業が挙げており、組み込みエンジニアとなるためには必須です。

また、上位のC++やJavaなどは数年間変わらずランクインしている言語です。これらの言語も、習得すればプラスに働きます。これらの開発言語については、AKKODiSのお役立ち情報に関連記事があるのでぜひチェックしてみてください。

関連記事:C言語を学ぶメリット・デメリットと学習を進めるおすすめ本・サイトを紹介

関連記事:C++入門 for if などの基本からサンプル実行までを解説

関連記事:IT・エンジニア必見!Javaについて徹底解説――習得して今の仕事や今後のキャリアに活かそう!

設計と開発プロセス

  • 開発プロセス知識:ウォーターフォール(約24%)、V字モデル(約12%)スパイラル(約8%)、アジャイル(約10%)、プロトタイピング(約7%)
  • 設計技術知識:オブジェクト指向(約29%)、構造化(約27%)、デザインパターン(約9%)

開発プロセスや設計技術知識については、「必要」と答えた企業の割合は少なめです。しかし、「習得していればプラス」まで含めると8割前後と高くなります。開発プロセスは基本となるウォーターフォール、設計技術知識はオブジェクト指向と構造化の基礎知識を求め、後は社内研修や実践で学ぶことを想定している企業が多い傾向といえるでしょう。

ハードウェア系の知識

  • CPU知識:ARM(約16%)、SH(約10%)、x86(約7%)、H8(約5%)など
  • ハードウェア知識:回路図が読める(約22%)、論理回路(約19%)、アナログ回路(約9%)

ハードウェア系の知識は、特に組み込みエンジニアに求められています。なかでも、回路図を読む力は、基本的な知識として求められる傾向です。組み込みエンジニアとして活躍したいなら、事前に勉強しておきましょう。

組み込みエンジニアの資格

組み込みエンジニアになる際は、特別な資格を求められるわけではありません。ただ、組み込みエンジニアとして就職・転職で有利に働く資格があるので紹介します。

  • 情報処理技術者試験(国家資格):基本情報技術者試験・応用情報技術者試験・エンベデッドシステムスペシャリスト試験
  • ETEC(組み込み技術者試験制度・一般法人組み込みシステム技術協会JASA)
  • OCRES(OMG認定組み込み技術者資格試験・日本OMG)

国家資格の情報処理技術者試験は、組み込みエンジニアにもおすすめの資格です。基本となる基本情報技術者・応用情報技術者を取得した後、組み込みエンジニア向けの「エンベデッドシステムスペシャリスト」を目指しましょう。

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の2020年(令和2年)実績は、応募者数2,504名、合格率16.4%でした。他の2資格も、組み込み技術者の技術レベルを可視化できる資格です。

初心者の場合は、まず合格・不合格のないETECでグレードA(800点中550点以上)になってから、OCRESを受験すると良いでしょう。

組み込みエンジニアの需要と将来性

組み込みエンジニアは、他のIT系エンジニアと比較しても需要が増加傾向にあります。なぜなら、以下の3つのような理由があるからです。

仕事の幅が広く新規分野での需要も増加

1つ目の理由は、将来も需要の増加が見込まれる点です。活躍できる分野は、家電業界・情報通信機業界のみに留まらず、産業機械やゲーム業界にも広がっています。

特殊性のあるスキル・知識が必要で簡単に人材を増やせない

2つ目の理由は、ハードウェア周りの知識やシンプルでエラーを起こさないプログラミングなど、特殊なスキルや知識が必要となるため、簡単に即戦力の人材を増やせない点です。他のIT系職種から組み込みエンジニアに転職する場合、組み込みエンジニア特有の知識を学びなおさなければなりません。

C言語を学ぶ若いエンジニアが少ない一方、将来的需要は高いと見込まれる

3つ目の理由は、C言語を学ぶ若いエンジニアが少なく、将来的にも需要が高いと見込まれることです。「IT人材白書2012」によると、組み込み技術者の回答者属性は、30代が「38.8%」、40代が「43.3%」でした。2021年では、これらの年齢層がそのまま40代・50代にシフトする一方、C言語を学ぶ若手エンジニアは決して多くないため、若いエンジニアが不足している状況は継続しています。

組み込みエンジニアは需要の増加が見込まれているものの、その人材は今後も不足していくことが予想されるため、職業としての将来性は十分にあると言えるでしょう。

「組み込みエンジニアは難しい・激務」と言われる理由

「組み込みエンジニアは難しい・激務・辛い」などと言われることもありますが、それはなぜでしょうか。

トレンドの言語を使わないので馴染みが薄い

組み込みシステムの開発案件では、習得するのが難しく、人気の高い開発言語とは言えないC言語や、アセンブリ言語を使用します。そのため、これらの言語に触れる機会の少ない世代のエンジニアには馴染みが薄いことから「難しい」という印象があるようです。しかし、逆に言えば、C言語やアセンブリ言語を学ぶことで、他のエンジニアとは一線を画したアピールポイントができるとも言えるでしょう。

需要増もあり人手不足

ここまで解説した「難しさ」だけでなく、組み込み系全体が慢性的な人手不足となっていることから、「激務となりやすい」とも言えます。しかし、だからこそ組み込みエンジニアとして基本的なスキルと業務経験を積めば、社会的に重要性を増すことが期待できる仕事です。「将来的にも仕事に困らない可能性が高い」と言い換えることができるでしょう。

幅広い知識が求められる

組み込みエンジニアは、ハードウェア・ソフトウェアなど、他のIT系エンジニアとは違った幅広い知識が必要となり、単純に「難しい」と思われています。書籍やオンライン講座などを活用して地道に学習を進めることになりますが、独学では難しい場合は、対面やWeb会議ツールを利用したオンラインの講座を受講するのもひとつの方法です。なお、AKKODiSの派遣・紹介予定派遣が提供する、AKKODiS Academy別ウィンドウで開くでは、C言語も学べるので、組み込みエンジニアを目指す方にもおすすめです。

AKKODiS Academyで学んで組み込みエンジニアを目指そう

AKKODiS Academyは、AKKODiS(派遣・紹介予定派遣)の提供する研修プログラムで、応募し選考を通過すれば、どなたでも無料でさまざまなスキルアップ研修を受講できるシステムです。組み込みエンジニアを目指したい方は、AKKODiS Academyでどのように学べばいいかを順番に確認していきましょう。

Legacy基盤技術研修でC言語など必要知識を学ぶ

AKKODiS Academy のLegacy基盤技術研修では、電気・電子設計・組み込み系の基礎知識となるハードウェア・ソフトウェア技術や、C言語などの基礎知識が学べます。IT業界未経験者や、IT系の別分野から学びなおしたい方は、まずLegacy基盤技術研修の受講から検討しましょう。

スマートインダストリー先端技術でIoTシステム開発を学べる!

スマートインダストリー先端技術の研修では、IoTシステム開発など最新の組み込み系IT技術が学べます。Legacy基盤技術研修が終わった後やIoT案件の未経験者は、先端技術研修でスキルをさらに磨きましょう。

組み込みエンジニアを目指すなら足りない知識を身に付けよう

組み込みエンジニアになるには、ソフトウェアだけでなくハードウェアの幅広い知識が必要です。その一方で、求められるスキルや知識の特殊性とIoTの普及の影響で人手不足の分野であり、組み込みエンジニアは将来性がある職種とも言えます。

IT業界未経験で組み込みエンジニア目指したい方は、まず足りない知識をAKKODiS Academyの研修などで補完し、必要な知識を身につけるところから始めてみてはいかがでしょうか。基礎知識を学んだ後は、未経験OKの案件に応募し、テスターから少しずつステップアップを目指してみてください。

AKKODiSでも、ぜひ組み込みエンジニアで求人検索をして、気になる案件を探してみましょう。

(2021年5月現在)

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