スクリプト言語とは?コンパイラ言語との違いや種類一覧も紹介!
公開日:2020.06.18
スキルアップスクリプト言語は、習得および、コーディングが比較的簡単といわれているものの、複雑な処理を行うことが可能な言語です。現在ではAI開発をはじめとして、多くの分野で活用されています。
しかし、スクリプト言語という言葉は、実は定義があいまいで、インタプリタ言語やLL言語との境がはっきりしていません。ここでは、このようなスクリプト言語の特徴やインタプリタ言語などとの違いを解説するとともに、PythonやPHPなどの、実際にスクリプト言語として扱われているプログラミング言語についても紹介していきます。
スクリプト言語とは?
スクリプト言語は、可読性が高く比較的簡単に書きやすい言語の総称です。前述の通り、スクリプト言語には、正式な定義は存在しませんが、一般的にはこのような形で定義され、PHPやRuby、Pythonなどのプログラミング言語が該当します。Javaや、ソフトウェアを独自に使えるマクロ言語をスクリプト言語とする場合もあります。
スクリプト言語の特徴
スクリプト言語にはさまざまな特徴がありますが、主に以下の2つが挙げられます。
プログラミングの難易度が比較的低い
英文に近い表記で可読性が高いことや、低水準言語(ハードウェアに近い言語)である機械語と比較すると、プログラミングをするうえで考えなければいけないポイントが少なく、より直観的に開発が行えます。
実行が比較的容易である
プログラムの実行が容易であることも、スクリプト言語の特徴です。スクリプト言語は環境構築が簡単なものが多く、インストールするだけで動かせる場合も多くあります。また、事前コンパイルを必要としないインタプリタ言語が中心のスクリプト言語は、開発時に気軽に実行して動作確認をすることができます。
実行速度が遅い場合がある
一般的にスクリプト言語は、実行が遅いとされています。これは一行ずつコンパイルする場合が多いためです。
なお、処理速度を向上させるため、JIT(ジット)コンパイラ導入しているスクリプト言語も多くあります。JITコンパイラは、事前コンパイルで中間言語に変換し、仮想マシンを通して機械言語に変換することで処理を高速化するもので、コンパイラ言語とインタプリタ言語の中間に位置するような言語になります。
JITコンパイラの特徴についてはこちらの記事も併せてご確認ください。
スクリプト言語とコンパイラ言語・インタプリタ言語・LL言語を比較
ここからは、スクリプト言語と混同して使用されることが多いインタプリタ言語やLL言語、またインタプリタ言語の対義語であるコンパイラ言語とはどこが異なるのか、具体的に比較していきます。
インタプリタ言語との違い
インタプリタ(interpreter)とは、実行時にコードを一行ずつ機械語に翻訳する形式を指し、インタプリタ言語は、インタプリタ形式で処理を実行するプログラミング言語全般を指します。事前コンパイルが不要で、直接実行することができるため、動作確認などが素早く行える手軽さを持っています。
スクリプト言語は、簡単に書ける、簡単に実行できる、などの扱いやすさで定義されているため、多くのスクリプト言語がインタプリタ言語に属しています。
なお、スクリプト言語の中にはコンパイラ言語であるJavaが含まれる場合もあるため、スクリプト言語=インタプリタ言語ではない点には注意が必要です。
コンパイラ言語との違い
実行をする前に、一括ですべてのコードを機械語もしくは中間言語に翻訳(コンパイル)する言語を指します。コンパイラ言語の多くは、インタプリタ言語と比較すると複雑かつ大規模なアプリケーションを高速で実行できますが、言語習得や開発が比較的難しく、プログラミング初心者にとってはハードルの高い言語です。
また一括でコンパイルする必要があるため、少しだけ動作確認を行いたい場合でもすべてをコンパイルしなければならず、手軽にプログラミングが可能とはいい難い側面があります。
なお、前述の通り、インタプリタ言語が多いスクリプト言語ですが、最近ではインタプリタ言語にも関わらず、事前コンパイルが可能な、コンパイラ言語としての機能を併せ持つ言語も増えてきています。このようなスクリプト言語でかつコンパイラ言語であるプログラミング言語は、今後も増えていくことが予想されます。
コンパイラ言語の特徴についてはこちらの記事も併せてご確認ください。
LL(Lightweight Language)言語との違い
LL言語は、軽量プログラミング言語ともいい、スクリプト言語同様に定義があいまいな言葉です。短い記述で処理を実現でき、習得と使用が容易な言語という位置づけです。スクリプト言語との明確な線引きはなく、定義されている内容もほぼ同じため、スクリプト言語=LL言語として扱うことが多くあります。
スクリプト言語の種類一覧
ここからは、実際に現在使用されている代表的なスクリプト言語を4つ紹介していきます。ここで紹介するスクリプト言語は、インタプリタ言語であると同時にコンパイラ形式での実行が可能な言語も多く、幅広い分野で活用されています。
Python
数学的処理や統計処理を得意としていて、ディープラーニングやAI開発で一躍脚光を浴びた言語です。誰が書いても同じソースコードになるように設計されており、可読性が高いコードと豊富なライブラリ群によって大規模な人工知能のアプリケーション開発にも使用されています。
言語を習得して人工知能や深層学習の分野で活用するには、さまざまなライブラリに対する理解や導入、AIに対する知識や統計学の知見も求められるため、スクリプト言語の中ではややハードルの高い言語でもあります。インタプリタ言語ですが、JITコンパイラのライブラリを使用することで、中間言語に変換しVM環境を呼び出して高速化することができます。
Pythonについては、こちらの記事も併せてご確認ください。
Ruby
日本製の言語として知られるスクリプト言語です。有名なフレームワークであるRuby(ルビー) on(オン) Rails(レイルズ)と共に、さまざまなWEBアプリケーション開発に使用されています。
「書いていて気持ちがいい」ことを重視したスクリプト言語で、コードは書きやすく、初心者でも比較的簡単にアプリケーション開発が行えます。
JITコンパイラが実装されているため、必要であれば中間言語にコンパイルすることでアプリケーションの実行速度を向上することができます。
Rubyについては、こちらの記事も併せてご確認ください。
JavaScript
フロントエンド開発には欠かせない、ブラウザ上の表示や挙動を制御するスクリプト言語です。登場当初はブラウザ上での処理が中心でしたが、現在ではサーバサイド言語としても使用できるようになり、サーバサイドアプリケーションの開発も行われています。
JavaScriptコンパイラを使用することでJavaScriptソースをJavaクラスファイルに変換し、コンパイルすることができます。
JavaScriptについては、こちらの記事も併せてご確認ください。
PHP
WordPressを始めとする多くのCMSに使用されているスクリプト言語です。HTMLに埋め込んで実行ができるため、HTMLを始めとするマークアップ言語との融和性が高く、WEBアプリケーションの開発の現場では多く使用されています。
その自由な記述方法や処理速度といった面で問題になることも多い言語ですが、愛用者も多く、WEBにおける利用率は引き続き高い傾向があります。
他の主流なスクリプト言語と異なりJITコンパイラは未実装ですが、次世代となるPHP8では実装される可能性が示唆されています。
PHPについては、こちらの記事も併せてご確認ください。
比較的習得が容易なスクリプト言語にトライしてみよう!
AI開発に活用されているPythonや、WEB開発ではなくてはならないPHP、JavaScriptなど、スクリプト言語は広く一般的に使用されています。そのためスクリプト言語を扱えるエンジニアの需要は大きく、今後も継続的に求人需要があることが予想されます。
一方で、スクリプト言語は習得の難易度が低い傾向にあるため、未経験のエンジニアが最初に習得する言語として最適です。もし未経験からプログラミングを勉強する場合は、ここで紹介したスクリプト言語から始めることをおすすめします。
(2020年6月現在)