派遣エンジニアとしてWebサービス開発に関わるために、いま覚えておきたい4つのスクリプト言語

公開日:2019.04.16

スキルアップ
 

ここ数年、エンジニアの需要の急速な増加とそれに対するエンジニア不足はますます深刻化しています。経済産業省の調査によると、現在のエンジニア需要に対して17万1000人のエンジニアが不足しているそうです。さらにこれが2020年になると36万9000人、2030年には最大78万9000人にまで不足規模が拡大するそうです。

  • 2016年経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」より

こういった社会背景の中で、Web関連の技術はエンジニアの需要が多い領域の1つになります。一口にWebの技術と言っても千差万別ありますが、今回は初心者でも学びやすく、多くの既存サービスで使われているスクリプト言語についてご紹介します。スクリプト言語を覚えておくと派遣エンジニアとしての選択肢や可能性がより広がります。ぜひ参考にしてください。

スクリプト言語とは

プログラミング言語の一種で、主にコンパイルを必要としないインタープリタ型言語の総称です。プログラムの記述から実行までを比較的容易に行える特徴を持っています。さらにWebで利用されるスクリプト言語の場合、ライブラリが充実しているため、細部を気にせずに素早く全体像を組み立てることができます。

スクリプト言語は多数の種類がありますが、今回は2017年の業界動向をもとに、派遣エンジニアとして市場価値を高めることができる言語を4つ厳選してご紹介していきます。

スクリプト言語① ~最も進化の早い言語~ Javascript

Javascriptと言えば、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか。古くはNetscape Navigator2.0から登場し、主にHTMLページに動的な動きをつける言語でした。2000年台にはjQueryが爆発的に流行り、jQueryを使ってDOM操作を実装したエンジニアの方も多いのではないでしょうか。

そのようなJavascriptですが、近年はその様子を大きく変えています。きっかけは、2009年に登場したcommon.jsです。このcommon.jsを皮切りに、2017年現在Javascriptは日々進化を続けています。その速さは他の言語の比ではありません。

大きな変化としては、node.jsの登場によりサーバーサイドもJavascriptで記述することができるようになりました。npmを利用したライブラリも日々充実しており、他のサーバーサイド言語と比べて、まったく遜色なく、むしろ優れていると言える部分も多くなっています。また、フロントエンドもAngular.js、React.js、Vue.jsなど優秀なSPASingle Page Application用のフレームワークが登場し、それらが日々進化を続けています。

言語としても進化を続けており、ECMAScript6という文法のバージョンが2015年に公開されました。これにより、他の言語に遅れを取っていたclassやモジュールが導入され、また遅延ロードのpromise、簡略化された記述方法のアロー構文などが導入され、一気にモダンな言語へと進化を遂げました。さらに最近では、マイクロソフトが開発したTypeScriptが注目されています。これは型の定義を厳密にできることが特徴ですが、そういったものが流行の兆しを見せ始めています。

一般的にJavascriptを書くときは、最新のnode.jsなどのランタイムと、古いブラウザのJavascript実行エンジンの両方に気を配らなければならず、それにより敬遠してしまう方も多くいました。今やそれらの差を埋めるためのトランスパイラや、開発をよりスピーディーにするためのタスクランナーやユニットテストツールも充実してきていて、まさにJavascriptは最盛期を迎えているといっても過言ではありません。

スクリプト言語② ~初心者にも易しい~ PHP

PHPは学習コストが低く利用可能なレンタルサーバーが豊富な言語です。そのため国内のWebサービスで多く利用されてきました。
数年前に作られて、メンテナンスが必要になってきたシステムはPHPで書かれているケースが非常に多いです。

PHPは初心者に易しい言語です。型宣言、変数宣言をしなくても好きなときに変数を利用することができ、メモリの確保や開放も基本的に意識することがなく、比較演算子も型をキャストしながら行ってくれるため、言語の特徴を正確に理解せずとも動作させることができる言語です。プログラムの深いところはさておき、まずは動くものを作ってみたい、というエンジニアの方にはうってつけではないでしょうか。

また、人気のある言語なので、フレームワークも充実しています。Zend Framework、Cake PHP、Symphonyなど名前だけでも聞いたことがあるのではないでしょうか。しかし、いまフレームワークを覚えるならば、LaravelかWordpressをおすすめします。

Laravelは近年急速に人気が出てきているフレームワークです。ORマッパー、ユニットテスト、Composerなどを始めとして最近のモダンなプログラム手法をふんだんに取り入れているので、これを使ってシステム開発を始めれば勝手にモダンなプログラムでシステムを組み立てることができます。

WordpressはWebサイト構築のバックエンドとして人気があるフレームワークです。WordpressはコンテンツマネジメントシステムCMSと呼ばれる類のもので、Webデザイナーの方が好んで使っているため、フレームワークという呼ばれ方には馴染みがないかもしれません。Webデザイナーに好まれる理由は、世界中で配布されている数多くの“Theme”や“Plugin”の存在です。Themeは見た目を変更することができるテンプレートセットで、Pluginは追加機能です。こういったものが簡単に導入できることから、プログラムを書けないWebデザイナーの方でもオリジナリティのあるサイトとそれを更新するためのCMSを構築することができ、重宝されています。

さて、エンジニア目線でWordpressを見てみるとフレームーワークとしても多いに利用価値があります。WordpressにはCMSを構築するための多くの内部関数が用意されています。また、記事の描画前後で処理をフックできる仕組みなども充実していて、これらを組み合わせて独自のPluginを使うと、実はブログやコーポレートサイトだけではなく、色々なシステムを作れる可能性を持っているのです。応用的な例としては、Wordpressで作られたクローズドSNSなどもあります。それは少し行き過ぎかもしれませんが、Pluginを自作できないWebデザイナーの方からすると、オリジナルでPluginを作れるエンジニアはとても魅力的に見えることでしょう。

この2つのフレームワークは方向性が異なりますので、ご自身の挑戦してみたい方向性を確認した上で学習してみると良いかもしれません。

スクリプト言語③ ~込み入った処理が得意~ Python

Pythonはパイソンと呼びます。日本ではあまりその名前を聞きませんが、海外では人気の言語です。

Pythonの一番の特徴といえば“科学技術計算や機械学習に強い”ということではないでしょうか。Pythonは古くから科学技術者のコミュニティで注目され、使われてきました。そのため、科学技術の計算に利用するためのライブラリが他の言語に比べて遥かに充実しています。pipと言われているライブラリ管理ツールを使って外部ライブラリの管理を行いますが、その方法はJavascriptのnpm、PHPのcomposerと同等の使い勝手で簡単にライブラリの管理を行うことができます。

最近ではAI機械学習という言葉が注目を集めつつありますが、科学技術計算出身のPythonではそのあたりのライブラリも非常に充実しています。機械学習、統計といえばR言語が有名ですが、実はPythonは機械学習の分野でR言語と人気を二分する言語なのです。

また、Pythonはその文法にも特徴があります。他の言語がif文の開始と終了を中括弧で表現するのに対して、Pythonはインデントでその全てを表現します。そのため、プログラムの構造が非常にわかりやすく、記述も他の言語に比べてとてもシンプルに行うことができます。

AIを含めた最新のテクノロジーを使うような現場を希望している方はPythonを始めてみるとよいかもしれません。

スクリプト言語④ ~実はプレイヤーが少なく市場価値が高い~ Ruby

Rubyはなんと国産の言語です。まつもとひろゆきさんという方が開発をしました。7~8年ほど前は大人気で色々な現場で採用をされました。今は全盛期ほどではありませんが、固定的なファンが残っており、一部では需要の高い言語と言えるでしょう。

Rubyといえば、Ruby on Railsというフレームワークが有名です。Ruby on Railsは他の言語のフレームワークに大きな影響を与えました。オブジェクト指向、簡潔に書ける文法、ユニットテストの充実、スキャフォールディングなどの特徴があります。これらの特徴は最近の他の言語のフレームワークでも当たり前のように用意されているものが多いですが、実際のそれらのフレームワークを使ってみると、Ruby on Railsの影響を受けていることがよく感じられます。

また、業界の市場動向ですが、Rubyをしっかりと扱えるエンジニアがとても少ない状況です。一時期のブームのときに少し携わった程度というエンジニアが多く、実際の大規模~中規模の案件で取り扱ったことがある人は少数派なのです。そのため、Rubyエンジニアは市場価値が高く、ここ数年はどこかに必ず需要があると言われています。

最後に

今回は派遣エンジニアがWebサービス開発に関わるために覚えておきたいスクリプト言語を4つご紹介しました。どれも覚えておけばニーズはあり、エンジニアとしての市場価値も上がる言語ばかりです。やってみたい仕事、関わってみたい企業、エンジニア的趣向などに合わせてぜひ挑戦してみてください。

(2019年4月現在)

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