Pythonとは?学習方法や習得後のキャリアについて
公開日:2019.07.16
スキルアップPythonは、Webアプリやシステム開発、人工知能や機械学習、ディープラーニング(人間の指示を必要としないで自動で学習していく人工知能)のシステム開発に使用されているプログラミング言語です。Pythonを習得することで、就職や転職で有利になる可能性があります。
今回は、Pythonの特徴や学習方法、習得後のキャリアなどについてご紹介します。
Pythonとは
最初にPythonとは何か、その歴史や開発者、プログラミング言語としての特徴についてみてみましょう。
Pythonの開発者
Pythonとは、オランダ出身のグイド・ヴァンロッサム(Guido van Rossum)氏が1990年に開発をスタートしたプログラミング言語です。分散オペレーションシステム「Amoeba」(アモエバ)のシステム管理を行うのが開発の目的でした。
Pythonの歴史
Pythonは、バージョンが上がるにつれてさまざまな機能が追加されていきました。特に2000年にリリースされたバージョン2において、プログラムが確保したメモリ領域のうち不要になった箇所を自動的に解放する「ガベージコレクション」を導入したことにより、プログラマ達からの評価が決定的なものになったと言われています。
そして、2005年にWebアプリのフレームワークである「Django」(ジャンゴ)が誕生し、複雑なデータベースを備えたWebサイト構築にPythonが使われるようになっていきます。また、人工知能や機械学習、ディープラーニングの分野でも、Pythonは多く活用されるようになりました。
文法がシンプルで、読みやすく書きやすいPythonは、近年ではプログラミング言語として高い人気を博しました。世界的なIT企業であるGoogleが、自社の三大プログラミング言語のひとつとしてPythonを挙げるまでになっています。
Pythonの特徴
Pythonの特徴には次のようなものがあります。
- 1.読みやすく書きやすいシンプルな文法
- 2.公開されている豊富なライブラリ(特定の処理を再利用するためにきりだされたプログラムの一部)
- 3.多くの分野での高い実績
各特徴について詳しく説明していきます。
1.読みやすく書きやすいシンプルな文法
まずPythonの特徴として、文法がシンプルで読みやすく、書きやすいことが挙げられます。コードの可読性が高く、プログラマの作業効率とコードの信頼性を高めることができます。
2.公開されている豊富なライブラリ
次に、豊富なライブラリが公開されていることもPythonの特徴として挙げられます。核となる本体部分は必要最小限に抑えられている代わりに膨大なライブラリが公開され、それらのライブラリを利用することでさまざまな用途のプログラムを作成できます。
ライブラリには次のものがあります。
- 数値計算、信号・統計処理
- 画像・音声・動画処理
- ファイル処理
- ネットワーク処理
- データベース
- 並列処理
- GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)
3.多くの分野での高い実績
最後に、多くの分野で利用されている実績があることからも分かるように、プログラミング言語の中でトップレベルの人気を博している点が特徴と言えます。活用されている分野には次のものがあります。
- 人工知能・機械学習・ディープラーニングなどをはじめとしたデータサイエンス
- Web・デスクトップ・組み込みアプリケーションの開発
- IoTシステムの開発
- ロボット制御
- システム管理
- ブロックチェーン(分散型ネットワーク)やフィンテック(金融サービスと情報技術を組み合わせた新しいテクノロジー)の開発
- ゲーム開発
Pythonで作れるものとは
Pythonを使うと、どのようなプログラムを作ることができるのでしょうか?Pythonで作られたWebサービスや、Pythonの活用方法についてみてみましょう。
Pythonで作られたWebサービス
Pythonで作られたWebサービスとして、次のものがよく知られています。
- Evernote
- YouTube
- Dropbox
Pythonの活用方法
Pythonを活用することで、さまざまなファイルやWebサイトからデータを収集し、それを加工することができます。
ファイルデータの加工・編集
Pythonは、ExcelやPDFなどのファイルを直接扱うこともできます。例えば、Excelで作成した会員名簿ファイルから、有効期限内の会員データだけを抽出して一覧表を作成したり、PDFファイルの所定の位置に必要な内容を書き加えることができます。
Web上のデータ収集
Webサイトから情報を抽出する「Webスクレイピング」と呼ばれる技術を活用することで、PythonでさまざまなWebサイト上のデータを収集できます。
例えば、企業の有価証券報告書が集められたWebサイトから必要な企業の有価証券報告書を自動的に収集することにより、投資判断に役立てることもできます。
Pythonの学習方法
それでは、Pythonの学習方法をご紹介しますが、ここで触れるのは初歩のチュートリアルです。実際に自分でプログラミングしてみて、Pythonの使い方についての理解を深めましょう。
Pythonを習得する方法
Pythonを習得するためには、まずは開発環境を整えて簡単なプログラムを書いてみましょう。
手順は次の通りです。なお、Pythonは、WindowsのほかにLinux/Unix、Mac OS Xでも使用することができます。今回は、Windows版について解説します。
- 1.Pythonをダウンロードして開発環境を整える
- 2.簡単なプログラムを書いてみる
- 3.構文を知る
1.Pythonをダウンロードして開発環境を整える
公式サイトからダウンロード
Pythonを自分のパソコンで使うために、Pythonのパッケージを公式サイトからダウンロードします。
Pythonの公式サイトへアクセスすると、次のような画面になります。
ここで注意すべき点は、左上にある黄色いボタン「Download Python 3.7.3」からダウンロードしないことです。
PythonのWindows版は、64bit用と32bit用の2種類が公開されています。ところが、左上の黄色いボタンをクリックすると、自動的に32bit用Pythonがダウンロードされてしまいます。
ページの下部にある「Looking for a specific release?」欄の一番上に、Release versionとして「Python 3.7.3」があります(2019年5月25日現在)。こちらをクリックすることで、次の画像のように、64bit用と32bit用を選択できます。
64bit用Pythonをダウンロードする場合には「Windows x86-64 executable installer」を、32bit用Pythonをダウンロードする場合には「Windows x86 executable installer」をクリックします。
Pythonのインストール
ダウンロードされたインストーラーを起動すると、次の画像のような画面になります。
ここでは最初に、一番下にある「Add Python 3.7 to PATH」にチェックを入れます。チェックを入れることで、Pythonがインストールされるディレクトリにパスが通るようになります。
次に、「Install Now」をクリックすれば、Pythonがパソコンにインストールされます。インストールが終了したら、無事にインストールされたかどうかを確認してみましょう。
コマンドプロンプトでPythonを実行する
Pythonを実行するためには、「コマンドプロンプト」を使用します。
コマンドプロンプトは、次の画像のように、通常はパソコンの画面左下にある「検索バー」に「コマンドプロンプト」と入力することで表示されます。
メニュー画面に表示された「コマンドプロンプト」をクリックすると、次のような画面が表示されます。これがコマンドプロンプトです。
コマンドプロンプトから、「python --version」と入力してみましょう。
上の画像のように「Python 3.7.3」の表示が確認できれば、Pythonはパソコンに無事インストールされたことになります。
2.簡単なプログラムを書いてみる
Pythonをインストールできたら、簡単なプログラムを書いてみましょう。プログラムを書くためにはテキストエディタを使用します。
テキストエディタをインストールしていない場合は、無料で使用できるソフトウェア「ATOM」がおすすめです。「ATOM」公式サイトからダウンロードしてみましょう。
ATOM公式サイト:https://atom.io
試しにテキストエディタを使用して、「Hello World!」とスクリーンに表示させるプログラムを書いてみましょう。
はじめに、デスクトップに「Python_Test」などの名前をつけたフォルダーを作成します。
次に、テキストエディタで次の画像のようなプログラムを書き、「test_script1.py」などの名前をファイル名につけて「Python_Test」フォルダーに保存します。
拡張子「.py」は、ファイルがPythonのプログラムであることをWindowsが認識するために必要なため、つけ忘れないようにしましょう。
このプログラムを実行するためには、まず「cd Desktop\Python_test」をコマンドプロンプトから入力し、ファイル「Python_Test」にコマンドプロンプトのディレクトリを移動します。
その上で「python test_script1.py」(冒頭の「python」はなくても良い)と入力すると、作成したプログラムが実行され、次の画像のように「Hello World!」がスクリーンに表示されます。
このプログラムはごくごく簡単なものではありますが、型宣言文などは一切必要ありません。Pythonの文法が非常にシンプルであることが分かります。
3.構文を知る
次に基本的な構文を使用してみましょう。
- 四則演算
- if文
- for文
四則演算
次の画像に記載しているプログラムは、整数(int)型の変数「n1」と「n2」に好きな値をキーボードから入力し、その四則演算の結果をスクリーンに表示させるものです。
プログラムを「test_script2.py」などの名前をつけて保存し、「2.簡単なプログラムを書いてみる」で解説した手順に従ってコマンドプロンプトで実行すると、次の画像のような結果になります。
if文
if文による条件分岐を使用して、キーボードから入力された値が20以上なら「あなたは成人です!」、それ以外なら「あなたは未成年です!」と表示させるプログラムを書いてみましょう。
プログラムは、次の画像のようになります。
このプログラムに入れられている「字下げ」は、Pythonの「オフサイドルール」によって必要とされているものです。この通りに入れなければなりません。
プログラムを実行すると、次の画像のようになります。
for文
for文による繰り返し処理を使用して、0~4までの整数を順に表示させるプログラムを書いてみましょう。数列に関する繰り返し処理を行う際には、Pythonの組み込み関数「range()」を使用するのが便利です。
プログラムは次の画像のようになります。
実行結果は次の画像の通りです。
Pythonのfor文では、数列だけでなく文字列も、事前の型宣言などは必要なしに繰り返し処理を行うことができます。
例として、「太郎、次郎、花子」の文字列を順に表示するプログラムを書いてみましょう。
このプログラムを実行すると、次の画像のような結果となります。
この例により、Pythonがシンプルなプログラムによって幅広い処理を行うことが分かります。
以上、簡単なPythonのチュートリアルをご紹介しました。
Pythonを習得するためのおすすめサイト
これから本格的にPythonを習得したい人には、次のサイトがおすすめです。
Python-izm
Python-izmは、「入門編」「基礎編」「応用編」と分かれていて、レベルに応じてPythonの学習ができます。
Python3入門
各種プログラミングの学習サイト「ドットインストール」では、3分間の動画を観ながらPythonを学習できます。
Pythonチュートリアル
Python公式サイトの日本語チュートリアルです。用語集も充実しています。
Pythonを習得するとできる仕事
Pythonを習得すると、どのような仕事ができるのでしょうか?
Pythonを習得するとできる仕事
Pythonは、さまざまな分野で利用されています。Pythonを習得することで、次のような職種に就くことができます。
- Webエンジニア
- システムエンジニア
- データアナリスト
Webエンジニア
PythonによりさまざまなWebアプリが作られています。Pythonを習得することにより、それらを開発するWebエンジニアの仕事に就くことができます。
システムエンジニア
企業のインフラシステムは、Pythonで開発される例が増えています。Pythonを習得していれば、システムエンジニアとしての道が拓けます。
データアナリスト
機械学習やディープラーニング、パターン認識などのテクノロジーは、Pythonにより進められることが主流になってきました。Pythonを使って、さまざまなビッグデータの分析を行うデータアナリストとしての仕事ができます。
各IT分野で活躍が期待されるPythonエンジニア
Pythonは、シンプルな文法と豊富なライブラリにより人気が上昇しているプログラミング言語です。Webアプリやシステム開発、人工知能や機械学習、ディープラーニングなど、IT分野の最先端で利用されるケースが増えています。
また、Pythonを習得することにより、活躍できる幅が広がります。IT・エンジニアとしての就職・転職、スキルアップを考えるのならPythonの習得はおすすめです。
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(2019年7月現在)