派遣の履歴書に学歴・職歴はどう書く?通常の履歴書との違いはある?
公開日:2019.01.31
派遣のキホン派遣社員にとって履歴書は、良い派遣先を紹介してもらうための重要なアイテムです。ちょっとした書き方の違いで、採用の可否が変わってしまう可能性もあります。ルールに則った分かりやすい履歴書は、読む側に好印象を与え、良い結果につながるでしょう。派遣の履歴書では、通常の履歴書の書き方とは違う点もいくつかあります。学歴・職歴の書き方を詳しく説明していきましょう。
履歴書に学歴・職歴を書くときの基本ルールを知ろう
履歴書を作成する際には、まず基本的なルールを押さえておかなければなりません。学歴・職歴を書くときに、社会人として押さえておくべきポイントを確認しておきましょう。
学歴や職歴を書く際に気をつけておきたいこととは
楷書体で丁寧に筆記する
履歴書全体に言えることですが、提出書類は読みやすさが優先します。略字などを使わずに、楷書体で1文字ずつ明瞭に見えるように書くことが大切です。文字に自信がなくても、丁寧に書けば悪い印象を与えません。文字の大きさをそろえることを意識しながら、焦らずにしっかりと書いていきましょう。
和暦・西暦で統一する
年号は昭和・平成などの和暦か、西暦のいずれかで統一しましょう。スペースを考慮すると和暦の方が便利ですが、説明文などにも年号が必要になる場合を考え、使いやすい方を選びます。
学歴を詐称しない
当然とも言えることですが、履歴書に虚偽の記述をするのは絶対にやめましょう。多少の詐称をしても、結果的にはあまり意味はありません。それよりも、後で真実が判明した場合の信頼性へのダメージの方がよほど深刻です。中退している場合にも、正直に記載することをおすすめします。
学歴・職歴の間は空白行を入れる
限られた履歴書のスペースをできるだけ有効に使いたいところですが、見やすくするためにも学歴と職歴の間には空白行を入れてください。また、履歴書では空欄を作らないのがマナーです。何も記載事項のない箇所がある場合には、「特になし」などを入れておきましょう。
履歴書の学歴・職歴の書き方は?具体的なポイント
次に、履歴書を作成する際に参考にできる、学歴や職歴の具体的な書き方を見ていきましょう。
学歴・職歴の計算の仕方とは?
履歴書を作成する際に正確な年月が把握できていないと、職務経歴書との齟齬が起きたり、経歴に矛盾が発生したりします。信頼性の高い履歴書とするためにも、学歴や職歴の年月は正しく記載しましょう。入学や卒業年度の計算では、早見表や自動計算サービスを使うと便利です。自分の生年月日を入力すると、小学校からの入学・卒業年月が表示されます。中退、留年、飛び級などイレギュラーな経過があった場合には調整が必要です。
参考
職歴の場合は、人によってまちまちなので、現在から逆算して間違えないように記載していくと良いでしょう。失業給付の記録など、公的な書類を確認しておけば誤りがありません。
学歴・職歴の書き方とは?
学歴・職歴欄を書く方法を具体的に紹介していきましょう。
義務教育以前は記載不要
学歴は高等学校の入学以降から記載します。小学校・中学校は記載しません。
学校名、学部、学科名は省略しない
学校名や学部名、学科名はすべて省略せずに記載します。学校名なら「〇〇高校」ではなく、「〇〇高等学校」と書きましょう。
略字は使用しない
上記の欄と同じであっても「〃」(繰り返し)の記号や「同上」という文言は使いません。
仕事と関連性のある学習は学歴に入れる
専門学校や留学、短期の受講などの場合、学歴に入れて良いか悩むことがあります。一定期間以上のものであれば学歴に含めても構いません。特に資格取得や語学系など、採用に有利になりそうなものについては積極的に記載しましょう。
職歴と混ぜない
社会人となってから学校に通った場合でも、職歴とは分けて記載します。そのために職歴にブランクの期間ができても整合性がとれていれば問題ありません。
社名を正式名称で書く
社名も略さず正式名称を記載してください。株式会社の場合には、「(株)」とはせず、前株・後株に注意して「株式会社」と記載しましょう。
基本的には職歴をすべて記載する
どのような職業経験も無駄なものはありません。基本的には職業経験は省いたりせずに、すべて記載するようにします。パートやアルバイトでも、長期にわたるものやスキル・経験値となったものは採用にプラスになる可能性もあります。
派遣の職歴と正社員の職歴の書き方の違い
就労形態が分かるように記載する
「〇〇社に派遣社員として就業」など、派遣社員として働いたことが分かるように記載します。
言葉の使い方に注意する
「入社」「退社」ではなく、「就業開始」「派遣期間満了」と記載します。
派遣先社名を明記する
派遣された企業が少ない場合には、派遣先の企業名、年数、配属先の部署名などを分かりやすく記載します。
業務内容は職務経歴書にまとめる
業務内容まで書くスペースがない場合には、履歴書とは別に職務経歴書を作成し、職務経歴書を見てすぐに分かるように工夫して記載しましょう。
複数の企業へ派遣された場合
同じ派遣元から複数の企業に派遣された場合には、派遣元の社名を記載し派遣先をまとめて記載するとすっきり見えます。
ケース別・派遣で働く場合の履歴書の書き方とは?
派遣社員として履歴書を作成する際に、どう書くべきか迷うようなケースもあります。ここでは、迷いがちな項目について、ケース別に書き方を見ていきましょう。
ケース別!派遣の履歴書の書き方
語学学校は学歴に入れる?
応募先の職種に関連し、採用に有利になるのであれば記載した方が良いでしょう。特に資格を取得したなどの成果があれば努力が認められます可能性があります。ただし、カルチャースクールのような趣味的のようなものであれば記載する必要はありません。
ワーキングホリデーの記載は?
学生時代または社会人になってからでも、ワーキングホリデーについての記載がないとその期間が空白になってしまい好ましくありません。書き方としては、学生時代に行ったのであれば学歴に、社会人になってからであれば職歴に記載しましょう。ただ、ワーキングホリデー期間に就いていた仕事が応募企業に関連しているのであれば、学生時代であっても職歴欄に記載しておくことでアピール材料となります。
大学院を中退したら、新卒か既卒か
大学院生の場合、すでに大学は卒業しているので既卒となります。新卒は大学卒業直後での就職を指すため、大学卒業後に数年を経ている場合には新卒扱いとはなりません。
学部名、学科名が変わった場合は?
自分が在籍していた当時と学部名や学科名が変わっていた場合、調査が入ると現存しないことで経歴詐称を疑われかねません。新名称と旧名称を併記して誤解のないようにしておきましょう。
例:◯◯大学△△学部□□学科 入学(現◇◇学部××学科)
学歴、職歴が記入欄に入りきらない場合には?
何らかの事情で学歴が多い場合、派遣先や転職が多い場合には、次のように記載するとコンパクトにまとめることができます。
例:
平成○年○月 ○○学校 入学 (平成○年○月 卒業)
平成○年○月 ○○株式会社 入社 (平成○年○月 退社)
また、末尾の「以上」については、行を変えずに右隅に記載することも可能です。学歴や職歴が多いと感じている人は、あらかじめ行数の多い履歴書を用意することも必要です。どうしても職歴が書ききれないという場合には、経歴を省略するのではなく、「以下、詳細については職務経歴書をご参照ください」などと記載する方法もあります。
書きたくない職歴は書かなくても良い?
履歴書の職歴は、応募者が有用な人材かどうかを採用する側が判断する重要な要素となります。基本的には、すべての職歴をもれなく記載しなければなりません。
よく、「転職回数が多いので記載したくない」という声を聞きますが、隠している部分があるとそこを質問されたとき、答えがあいまいになるなど逆に不利な状況にもなってしまいます。職歴は正しく記載し、職歴が多い場合には対応力や柔軟性をアピールするなど前向きに考えることが大切です。自分では書きたくないと考えていた職歴が、応募先にとっては求めている能力としてとらえられる可能性もあります。
空白期間が多いときには?
空白期間があると、それだけで履歴書の内容が不利になると思われがちですが、マイナスにならない書き方にすることは可能です。空白期間といっても本当に何もしなかったのではなく、そこには何らかの事情があったのではないでしょうか。例えば、語学留学で日本を離れていたのであれば、次のような書き方があります。
例:
平成○年1月 一身上の都合により退職
平成○年4月 英語を学ぶため、イギリスに1年間留学
また、介護など家の事情で空白期間を余儀なくされたのであれば、「平成〇年〇月 親の介護のため離職」のような書き方があります。ほかにも「資格取得のため」「興味のある分野の勉強をするため」など、人によってさまざまな理由が考えられます。書き方ひとつで、空白期間をプラスのイメージに変えることもできます。
いずれにしても空白期間があるからと消極的になるのではなく、納得してもらえる理由として伝わるように書く、という姿勢を忘れないようにしなければなりません。
インターン経験は職歴に含まれる?
インターン経験を職歴に書いてはいけないということはありませんが、有効かどうかのカギはインターンの業務内容にあります。確実にスキルを得られた経験であればインターンの期間は業務経験として認められますが、具体的な実績につながるような業務経験でなければアピール力としては弱くなります。実際に経験したことを誇張しないで、「具体的に何をしていたのか?」と問われたときにきちんと答えられるように、記載の仕方は工夫するようにしましょう。
派遣で働いた期間の職歴の書き方は?
派遣社員で就業していたことが明確に伝わるような書き方を心がけます。働いていた期間の区切りや、終了時の状況については、「期間満了」「契約解除」などの言葉遣いに注意して記載しましょう。
派遣元が同一で複数の派遣先に配属した場合の書き方は?
登録していた派遣会社の名称を記載し、派遣先の企業をまとめて記載します。複数の登録会社があるときでも煩雑にならずに済む書き方です。派遣先企業での業務の詳細は、職務経歴書に記載するようにしましょう。
同一の派遣先に継続して就業した場合の書き方は?
派遣先が少なく、長期にわたって就業した場合には、なるべく空白行ができないような工夫が必要です。配属された部署を時系列で記載するか、任されていた業務内容を分かりやすく記載すると良いでしょう。
派遣社員としての職歴が多過ぎる場合のシンプルな書き方は?
職歴が多くて記入欄が足りなくなりそうな場合には、次のようにコンパクトにまとめ、記載する行数を少なくします。
例:平成○年○月 ●●株式会社に派遣社員として就業(平成○年○月まで)
読みやすい履歴書で好印象を
派遣社員の履歴書は、一般的に職歴などの項目が多くなりがちです。読む側の視線を意識し、見やすく分かりやすい履歴書になるよう工夫しましょう。
また、さまざまな事情から空白期間が気になっている人もいるかもしれません。しかし、転職回数や空白期間の長さだけで採用の可否を決めるわけではありません。履歴書のルールやマナーを守り、誠実で前向きな人材像をアピールすることで、良い派遣先に就業できる可能性が広がります。
(2019年1月現在)