Pythonの資格「Python3エンジニア認定試験」を徹底解説!
公開日:2020.10.12
スキルアップPythonはプログラム初心者でも学びやすい言語として人気を集めています。AI分野の機械学習でとても重要な言語といわれていますが、業務システムの構築から、データ解析や分析など幅広い分野に使える汎用性の高い言語でもあります。
そんなPythonを学習したいがどこから始めたらいいかわからない方や、ある程度のスキルがあることを証明したい方におすすめなのがPython3エンジニア認定試験です。資格取得を通じてよりPythonの理解を深めましょう。ここではPython3エンジニア認定試験について解説していきます。
なお、そもそもPythonとは何かを知りたい人は、以下の記事も併せてご参照ください。
Pythonの資格といえばPython3エンジニア認定試験
Python3エンジニア検定試験は、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会によって実施されている資格試験です。
資格は基礎試験とデータ分析試験の2つに分かれています。両資格ともに一般価格11,000円、学割価格5,500円(税込)で受験することができ、7割の正解で合格となります。
基礎試験は、未経験者がPythonエンジニアを目指す際に取得するのに適しています。Pythonに関わる基本的な内容を一通り学習すれば合格できるレベルです。
これに対してデータ分析試験は、統計などデータ分析に特化した問題が多くなっており、AIや機械学習、ビックデータなどをより発展的なものを扱いたい人向けです。統計の知識がないと難しく感じるかもしれませんが、テキストを使って順番に学習していきましょう。
Python3 エンジニア認定基礎試験
出題範囲は以下の表の割合となっており、主教材であるオライリー・ジャパン「Pythonチュートリアル 第3版」から出題されます。
章立て | 出題数 | 出題率 |
---|---|---|
1章 食欲をそそってみようか | 1 | 2.5% |
2章 Pythonインタープリタの使い方 | 1 | 2.5% |
3章 気楽な入門編 | 6 | 15.0% |
4章 制御構造ツール | 9 | 22.5% |
5章 データ構造 | 7 | 17.5% |
6章 モジュール | 2 | 5.0% |
7章 入出力 | 1 | 2.5% |
8章 エラーと例外 | 4 | 10.0% |
9章 クラス | 2 | 5.0% |
10章 標準ライブラリめぐり | 4 | 10.0% |
11章 標準ライブラリめぐり-PartⅡ | 1 | 2.5% |
12章 仮想環境とパッケージ | 1 | 2.5% |
13章 次はなに? | 0 | 0.0% |
14章 対話環境での入力行編集とヒストリ変換 | 1 | 2.5% |
合計 | 40 | 100.0% |
出題割合の多い問題1:制御構造ツール(22.5%)
if、else、for、range、break、continue、pass、def(関数定義)などが対象となります。どれも基本の構文となるので、理解するのはもちろん、書き方まで覚えておくとコーディングのスピードも上がります。
どの言語でも使う処理なので、他のプログラム言語の経験者は比較的早く理解できる部分です。複雑な構文になってくると組み合わせや入れ子構造で使うことも多い分野なので、基本をしっかり覚えて複雑な処理も書けるようにしておきましょう。
出題割合の多い問題2:データ構造(17.5%)
list、set、dictionary、タプル(定数配列のようなもの)などが対象となります。データを受け渡す際に使う構文です。データの格納の仕方と、取り出し方がそれぞれに用意されています。
性質が違うので、それぞれの性質は覚えて使えるようにしておきましょう。初期値のセットが必要か、必要なときに初期値を何にするかによっても処理は変わってきます。
自分で例題を用意して、list、set、dictionary、タプルなどの出題範囲となるデータ構造を実際に確認していく形で習得するとよいでしょう。同じデータで格納と取り出しをやってみると違いを明確に理解できます。
出題割合の多い問題3:気楽な入門編(15.0%)
数値、四則演算、文字列、文字列の連結、配列、インデックス、スライスなどが対象となります。処理自体は複雑ではないので、書き方さえわかれば、それほど苦労せずに理解できる分野です。
ループの終了条件や、文字列の出力処理など細かいところで使う汎用のメソッドがたくさん詰まっており、入門編とはいえど、その後の全ての学習に関わる重要な章です。
処理の途中で計算している場合、逐一結果を表示しないため、どこで間違っているかがわかりにくくなります。少しずつ計算をして、間違っている箇所をわかりやすくする形での学習がおすすめです。
合格に必要な勉強時間
他の言語経験者であれば、10~20時間程度の勉強で合格できるといわれています。プログラムの処理として基本の考え方はほとんど同じなので、Python独特の考え方や記載方法を学ぶだけです。基礎であればPython限定の仕様もそれほど多くないので、素早く学習できます。
プログラム未経験者の場合、40時間以上が学習時間の目安となります。少し時間はかかりますが、後々まで必要となる知識ばかりなので、きちんと学習しておきましょう。
主教材のオライリー・ジャパン「Pythonチュートリアル 第3版」に軽く目を通して、どれくらい理解できているかで学習の計画を立てると一つの目安になります。出題率の高いところを重点的に学ぶのが試験対策としては有効ですが、せっかく勉強するなら全体の理解に努めることをおすすめします。
Python3 エンジニア認定データ分析試験
主教材である翔泳社「Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書」から、以下の範囲と割合で出題される予定です。
この表は横スクロールでご覧いただけます
章 | 節 | 章立て | 問題数 | 出題率 |
---|---|---|---|---|
1 | データエンジニアの役割 | 2 | 5.0% | |
2 | Pythonと環境 | |||
1 | 実行環境構築 | 1 | 2.5% | |
2 | Pythonの基礎 | 3 | 7.5% | |
3 | Jupyter Notebook | 1 | 2.5% | |
3 | 数学の基礎 | |||
1 | 数式を読むための基礎知識 | 1 | 2.5% | |
2 | 線形代数 | 2 | 5.0% | |
3 | 基礎解析 | 1 | 2.5% | |
4 | 確率と統計 | 2 | 5.0% | |
4 | ライブラリによる分析実践 | |||
1 | NumPy | 6 | 15.0% | |
2 | pandas | 7 | 17.5% | |
3 | Matplotlib | 6 | 15.0% | |
4 | scilit-learn | 8 | 20.0% | |
5 | 応用:データ収集と加工 | 0 | 0.0% |
出題割合の多い問題1:scikit-learn(20.0%)
前処理、分類、回帰、次元削減、評価、クラスタリングなどが対象となります。Pythonの機械学習ライブラリであり、行いたい分析によってモデルを変えていくことで簡単に機械学習を進めることができます。
それぞれのモデルに特徴があるので、使いながら順番に覚えていきましょう。モデルの変化が明確にわかるので実機でコーディングしながらの学習がおすすめです。
実際に学習を進める際はテストデータが必要になります。しかしモデルの結果はテストデータで決まるため、あまり雑に作ることができません。もしテストデータを作るのが面倒なら、公開中のテストデータを使ってみるのも一つの手です。処理した後の結果も書いてあることが多いので、自分の処理の何がまずいのかもわかります。
出題割合の多い問題2:pandas(17.5%)
データの読み書き、欠損処理、連結、整形などが対象となります。データを分析する前処理や集計を行うのに必要なモジュールです。
通常、分析を行う際は収集したデータをそのままAIや機械学習に入れるのではなく、きちんと整える作業が必要です。このデータを整える作業を前処理と呼び、空欄を埋めたり、明らかにおかしいデータをはじいたりします。
Pandasはこうした前処理を手軽にプログラムなどで行うことが可能です。学習の際は、実機で動かしつつデータの加工の仕方や欠損処理の方法などを学ぶとよいでしょう。
出題割合の多い問題3(同率):NumPy(15.0%)
NumPyでのデータの扱い方、NumPyの機能などが対象となります。
NumPyは効率的に数値計算を行うためのライブラリです。Pythonのみで数値計算するのと比べて高速に処理できるので処理するデータ量の多い機械学習には必須です。データ処理に便利な命令も多いので、併せて学習しておくと処理の幅が広がります。
ライブラリのインストールにはAnacondaなどのPython開発環境パッケージを使うと簡単にできます。実データを出力しながら処理を確認していくと、行列やベクトルの処理のイメージがつきやすくなります。
出題割合の多い問題3(同率):Matplotlib(15.0%)
Matplotlibはグラフ描画のライブラリで、これを使用するとPythonでグラフを描画できるようになります。NumPy同様、AnacondaなどのPython開発環境パッケージにはたいてい含まれています。ここでは、グラフの種類、出力方法、スタイル、オブジェクトの説明などが対象となります。
Matplotlibは、メソッドを呼び出して値を入れていくだけでグラフができあがるので、間違えずに値を入力するだけで動作します。入れる値を上述の数値計算ライブラリNumPyの集計結果にすると、集計後のデータを自動でグラフ表示する使い方もできます。もちろん全てPythonの処理なので、データの受け渡しや型変換の要否をそれほど考慮する必要がありません。
合格に必要な勉強時間
Python3エンジニア認定データ分析試験は、30~40時間程度で合格するといわれていますが、Python以前に数学部分の理解に時間がかかることがあります。苦手な方は公式テキストに加えてわかりやすい動画教材なども使ってみると、煮詰まることなくスムーズに学習できます。
Pythonの資格を取りたいならPython3エンジニア認定試験にチャレンジ!
初心者でも始めやすいPythonは、AIや機械学習にも強いだけでなくプログラムを始めて触る方でも身につけやすい言語ですが、一方でとても人気がある言語になっており、その分ユーザも増えていると考えられます。こうした環境から、初心者の人は他のエンジニアとの差別化につながるPython3エンジニア認定試験の取得がおすすめです。
ある程度の経験者はデータ分析試験の合格を目指してみましょう。データ分析と聞くとハードルが高そうですが、便利なライブラリがたくさん用意されているので、基本的な書き方はそれほど難しくありません。コーディングよりは、実際にライブラリを使用して、どうデータを処理していくか、という部分が求められますので、実機でしっかり動かして学習することをおすすめします。
AKKODiSでは、今回ご紹介したPythonにまつわるお仕事を多数ご用意しています。機械学習からWeb、IoTの案件など、幅広い案件を準備していますので、Pythonを使って活躍していきたいとお考えのエンジニアの人はぜひ一度ご確認ください。
(2020年10月現在)