ベンチャー企業の定義と向いている人材の特徴とは?
公開日:2019.09.27
エンジニアの働き方ベンチャー企業は、革新的な技術やアイデアをもとに新しいサービスやビジネスを展開する企業を指します。小規模から中規模で比較的新しい会社が多いのが特徴です。急成長する会社や他にはないビジネスを展開する会社が多いため、就職や転職の際に選択肢の一つに含める人が増えてきています。
この記事では、ベンチャー企業の定義や、向いている人の特徴について解説します。
ベンチャー企業とは?ベンチャー企業の定義を解説
ベンチャー企業には、いくつか定義があります。
ベンチャーの意味
ベンチャー(Venture)は「冒険」や「投機」という意味で、ベンチャー企業・ベンチャービジネスというのは和製英語です。
新しいサービスやビジネスを展開する事業をベンチャーと呼び、多くの場合はその事業のために創業された新しい企業を含めて指しますが、既存の企業が部門を設けて新規事業を行う場合もベンチャー(社内ベンチャー)と呼ぶことがあります。
ベンチャー企業の区分には明確な定義が存在しない
「ベンチャー企業」という呼称に、明確な定義はありません。ベンチャー企業の概念は、1997年に設立された日本ベンチャー学会特別顧問の清成忠男氏らが作り出しましたが、新しいサービスやビジネスを展開する事業というだけでなく、海外におけるスタートアップ企業なども含む意味合いがあり、線引きははっきりしていません。
日本の年間起業数は約13万件
東京商工リサーチのデータによると、2018年の全国における企業倒産は8,235件、休廃業・解散は4万6,724件で、合算件数5万4,959件が事業を廃している一方、同年に全国で新しく設立された法人は12万8,610社にのぼりました。つまり、倒産や休廃業件数の約2.3倍にもなる新しい法人が2018年に設立されているのです。
また、設立された新しい法人について資本金別に見ると500万円以下の小規模法人が増加しており、特に100万円未満の企業が2万9,419社、100万円以上500万円未満の企業は5万7,409社と、あわせて全体の67%を占めており、小規模な企業が活発化していることが数値にも現れています。
定義があいまいなベンチャー企業は、この小規模な企業に多く含まれると考えられます。
スタートアップ企業や中小企業との違いとは
ベンチャー企業とスタートアップ企業との違いとは
日本では「既存の市場にはない価値を提供する企業」である「スタートアップ企業」と、ベンチャー企業は混同されて使用されることが多く、はっきりとした線引きはありません。
一方アメリカでは、ベンチャーはベンチャーキャピタル(成長率の高い未上場企業に投資する投資ファンド)を指し、日本で言うベンチャー企業はスタートアップが相当するといった違いがあります。
ベンチャー企業と中小企業の違いとは
ベンチャー企業は民間の概念であり、定義は明確にされていません。
一方で、「中小企業」は中小企業基本法によって、次のように資本金額や従業員数を明確に定義されています。
1)製造業、建設業、運輸業、その他の業(2~4を除くもの) 資本金額:3億円以下 常時従業員数:300人以下
2)卸売業 資本金額:1億円以下 常時従業員数:100人以下
3)サービス業 資本金額:5千万円以下 常時従業員数:100人以下
4)小売業 資本金額:5千万円以下 常時従業員数:50人以下
ベンチャー企業と呼ばれる企業のその多くが中小企業に含まれています。
ベンチャー企業の特徴と向いている人材とは
ベンチャー企業は新しいサービスや製品を基軸に運用される若い企業が多く、特徴としては次の4つが挙げられます。
- 新しい分野に挑戦している
- 変化が激しい
- 少人数
- 業績がまだ安定していない
このようなベンチャー企業の特徴は、そのままベンチャー企業に向いている人の特徴につながります。業績が安定した企業とは向いている人物像が大きく異なり、柔軟性や行動力などが問われます。
ベンチャー企業に向いている人の特徴
好奇心が強い人
情報への感度が高く、自分から調べて興味を持ち、好奇心を刺激されるのが好きなタイプの人にとって、新しい分野へ挑戦するベンチャー企業は相性がとても良いと言えます。
変化への柔軟性が高い人
これまでにないサービスや製品、ビジネス展開をすることが多いベンチャー企業では、仕事を取り巻く条件や状況は良くも悪くも常に変化します。変化に対応できる柔軟性はとても大切です。
行動力がある人
ベンチャー企業は少人数の場合が多く、常に自分から動く力が必要になります。自分はなにができるかを考え、動き続ける行動力と思考力が必要です。
ベンチャー企業が人材に求めるもの
柔軟に動ける
少人数で変化に対応し続ける必要があるため、自分の仕事内容に固執せず、フレキシブルになんでも挑戦する精神が求められます。
成果に対する執着心
ベンチャー企業はまだ収益が安定していないことが多いため、成果に対して執着できる強さが求められます。
タフでポジティブ
ビジネスモデルが完全に確立していない企業も多いため内因、外因問わず失敗は少なくありません。失敗を踏み台に次は成功を掴みに行こうというポジティブさと、失敗を恐れて守りに入らないタフさが重要です。
ベンチャー企業に就職するメリット・デメリットを把握しよう
新しいビジネスだからこそ大きな伸びが期待できるベンチャー企業には、メリットと同時にデメリットも存在します。
ベンチャー企業で働くメリット
幅広い仕事に挑戦できる
少人数で多くの業務をこなす必要があるため、希望すれば幅広い仕事に挑戦することができるでしょう。大きな企業だと部署ごとに分業化されている場合が多いのですが、ベンチャー企業なら関わるチャンスが少ない業務にも触れることができるので、「興味はあるが未経験」の分野にも挑戦できるチャンスがあります。
裁量権を早く持てる
通常は数年かけて昇進しながら得る裁量権を、早い段階で持つことができます。自分の裁量で現場を動かし、ビジネスを進めていく醍醐味は、ベンチャー企業ならではと言えます。
スキルアップが早い
幅広い仕事に挑戦でき、裁量権も得られるベンチャー企業では、相応の責任とスキルの向上が求められます。そのため、スピード感をもってスキルアップができます。挑戦を歓迎されるベンチャー企業は、成長したい人にとっては最適でしょう。
ベンチャー企業で働くときの懸念点
福利厚生が整っていない
新しい会社が多いため、福利厚生が整っていない法人が少なくありません。健康診断の会社負担が少ない、育休・産休制度が整っていない、保養所がないなど、大手企業にある福利厚生制度がないこともあります。
研修制度があまり充実していない
じっくりと研修に時間を使えるだけの人員と予算がないため、OJTになるケースが多く、研修制度がない場合もあります。
退職金制度がない
事業拡大の一環として徐々に整備されていくことの多い退職金制度は、ベンチャー企業では整っていない場合があります。
懸念点に対するベンチャー企業の企業努力
ベンチャー企業では外部のサービスや制度などを活用し、上述の懸念点を解消できるよう努めている場合も多くあります。次にその一部をご紹介します。
外部研修サービスを活用
少人数で予算も少ないベンチャー企業でも研修や教育は重要です。社内では行いにくい研修は、外部研修サービスを活用してカバーしている企業があります。
退職金積立制度を外部委託
社内にシステムはないものの、外部の積立制度を利用して退職金制度に代わるものを導入している企業もあります。
組合などに参加し、福利厚生制度を利用
関東ITソフトウェア健康保険組合などの組合に加入することで、健康診断を直営検診センターで受けられるようになったり、様々な保養施設やスポーツクラブが格安で利用できるようになります。こういった制度を利用して福利厚生をカバーしている企業が多くあります。
あの企業も元々はベンチャー?!
今では押しも押されもせぬ超有名企業であるGoogle、Amazon.com、Facebook、Apple Inc.(頭文字をとってGAFA)の4社も、元々はベンチャー企業でした。
いまやインターネットになくてはならない巨大な検索エンジンでありWebサービスを提供するGoogleが、1998年に小さなガレージから始まったのは有名なエピソードです。
インターネット通販の巨人Amazon.comもまた、自宅のガレージから始まりました。
GAFA以外にも、ハーレーダビッドソンやヒューレットパッカード、ブリヂストンなど、我々が知る大企業の多くがベンチャー企業から始まっています。
このように、急激な成長で巨大企業になる可能性を秘めているのがベンチャー企業の最大の魅力と言えます。
AIエンジニア、ロボティクス分野などの新しい技術領域にベンチャー企業が取り組む事例
AIやロボティクスなど、今後多岐にわたって成長するであろう新しい技術領域は、ベンチャー企業が多く参入しています。最先端の技術で新しい挑戦をしたいエンジニアにとって、ベンチャー企業はチャレンジ精神を試す最良の土壌の一つと言えるでしょう。
次に、いくつかAIやロボティクスなどで有名なベンチャー企業をご紹介します。
交通システム、製造業、バイオ・ヘルスケアなどを中心にイノベーションを実現しようとしている会社で、有名なところでは自動運転およびコネクテッドカー(インターネットへの常時接続機能を有する自動車)に関する技術をトヨタ自動車と共同研究しています。
産業技術総合研究所の技術支援を受け、音声認識に特化したクラウド・プラットフォーム「The VOICE JP」を提供しています。コールセンターの問い合わせ内容をリアルタイムにテキスト化するサービスなどを展開しています。
世界40ヶ国500社以上に利用されている音声感情解析AIを開発しています。最近では開発した音声感情分析AIをAPI化し、Webで公開しています。
今は大企業のあの会社も、小さなベンチャー企業として挑戦を繰り返していた時期があります。AKKODiSでは、ベンチャー企業の求人もご用意していますので、これを機会に、成長する可能性を秘めた企業で働いてみるのはいかがでしょうか。
ベンチャー企業なら会社と共に成長できる
新しい分野、ビジネス、市場をつくり出すベンチャー企業は、自分のスキルアップと共に自身の携わる製品やサービス、会社そのものが成長する過程を実感しながら仕事を進めていきたい人におすすめです。常に最先端に触れ続けることで受ける刺激は大きく、自分ができる裁量の広さによって、短期間で大きな成長が見込める職場でもあります。目まぐるしく変わる環境の中で成果に貪欲になるポジティブさやタフネスさを求められる代わりに、得られる経験は代えがたいものでしょう。
安定した環境の大企業と短期間で成長が見込めるベンチャー企業。どちらにもメリット・デメリットがあります。職場を選ぶ際は、小さい企業だからという理由だけで選択肢から外すのではなく、双方のメリット・デメリットをよく考えてから検討してみてはいかがでしょうか。
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(2019年9月現在)