「できることはきっとある」。
強みをエンジンにして課題を突破する。

 

#強みを発揮 #課題の突破 #DX推進 #情熱

2022年4月、AKKODiSコンサルティング(以下、AKKODiS)は、福井県あわら市と「地域活性化起業人」の協定を締結し、現在も同市のDX推進に取り組んでいます。DXの基本的なツールとなるスマートフォンなどに関する相談に応じる『スマホ・タブレットよろず相談所』、『キャッシュレス決済お買い物体験ツアー』の開設支援や実施、市役所庁内においては、庁内デジタル人材育成プロジェクトの制度設計、勉強会の企画など、多岐にわたる施策を実施しています。
しかし、行政と連携を図り、DX推進を目指す道には、さまざまな課題や障壁がありました。今回は、地域活性化起業人としてあわら市のDX推進活動を行うメンバーに、その原動力や突破口、情熱を注ぐまでの道のりを聞きました。

転機の一歩は部署や職種を超えた地域創生活動への挑戦

以前、私は飲食業界で店舗運営の管理、従業員の育成と教育に関わる仕事を担当していました。職場では体力を要する場面も多く、40歳前に自身のこれからのキャリアや働き方に疑問を感じ、転職を考えたんです。
「私って何ができるだろう」と改めて自分のことを振り返ってみると、マネジメントをする側になった経験や、長い期間アルバイトや社員の採用にも関わってきたことを思い出し、私は人事の仕事ができるかもしれないと思い、人事部門で募集があったAKKODiS(当時の社名はVSN)へ入社しました。

配属された人事本部では、入社研修をはじめ多くの社員教育に関わっていました。その当時からAKKODiSでは「課題解決」に焦点をあてた取り組みや研修を全社員に対して展開していて、社員から現場での活動を聞く機会が日常的にありました。前職でも店舗の再生に関わる経験があったため、課題解決の取り組みを知れば知るほど、「自分自身も実際に関わりたい!」という思いが日増しに強くなっていました。
そんな時、2019年に地方創生プロジェクト『Social Innovation Partners(ソーシャル・イノベーション・パートナーズ)(以下、SIP/シップ)』プログラムが立ち上がり、地域の課題解決に取り組む社員メンバーの募集が開始されました。当時、応募要件として課題解決の社内資格のうち上位資格保有者以上という条件があり、私は現場実績がないため該当しませんでした。それでも諦めきれず、このプロジェクトに参加したい一心で、直接プロジェクトの責任者に電話をかけました。
すると、応募要件は満たしていないものの、これまで研修や資格取得の推進に携わってきたことが評価され、「エントリーしてもOK!」という回答をその場でもらい、候補者として選考プロセスに進むことができました。自身の想いを真摯に受け止めて話を聞いてくれたことはありがたいことでしたし、この応募が私のキャリアにおいて大きな転機となりました。

一瞬で心を掴まれた。地域でのフィールドワーク参加

メンバーとしてSIPの活動するなかで、2020年に地域のフィールドワークに参加する機会がありました。担当地域は、福島県の矢祭町。東北最南端の人口5,000人規模の町です。その地で、私は体中に電気が走ったような衝撃を受けました。「これが私がやりたかったことだ!」と、その時に、この地域活動に一瞬で心を掴まれたんです。
帰路の車内で、同じフィールドワークに参加したメンバーに「この活動の主管部署に異動する」と決意を打ち明けるほど、この活動を本職にしたいと強く思いました。翌週には、関係者に電話をして、その思いを伝えました。
もちろん、一人の社員である自分の意思をそのまま無理に押し通すわけにはいきません。幸運なことに、社内公募で主管部署が人員を募集したタイミングで応募し、地方創生部に異動を果たしました。

なぜ、こんなにも地域の活動に惹かれたのか、その理由は明快です。初めて足を踏み入れる土地で、地域の方々と会話を重ねながら少しずつ距離を縮めながら、異なる文化や想い、考え方を知り、互いの理解を深めて次のステップを一緒に考えていく。その過程がとにかく楽しかったからです。
地域での活動は、その土地に住む方々との信頼関係の構築が欠かせません。逆説的に言えば、それが最もハードルが高いものです。ところが、実際に現地に入ってみると驚くほどその壁は感じませんでした。
当初、地域の方も私のことを東京の知らない会社から来た人、と少し警戒気味だったと思います。しかし、私自身、AKKODiSの社員として会話をすることは一切しませんでした。
積極的に相手と対話を行い、なぜそう思っているのか、いま何を感じているのか、発する言葉の奥行を理解することを心掛けました。人の心は見えないものです。だからこそ、相手の心情や考えを探求し、なぜその言葉を選んだのか。その言葉の背景に潜むことに思索を巡らせることがとても好きなんです。傾聴というと大げさですが、対話を通じて相手を理解し、その地域に合った改善策を考えていくことに自分の強みが生かせたことで、この仕事に夢中になっているのだと思います。

始動までの険しい道のり。福井県あわら市でのDX推進活動。

異動からしばらく経った頃、私は新たに福井県あわら市でのSIP活動に取り組むことになりました。課題は山積みの状況でしたが、不思議と不安はなく、むしろ「よし、やってやるか!」と一段ギアが上がる感じでした。けれど、あわら市でのDX推進の道は想像以上に険しいものでした。
原因のひとつは、新型コロナウイルスの感染拡大。オンラインの会話だけでは、市の上層部と意思疎通が十分に図れず、SIP活動への理解が得られていなかったのです。
けれど、「施策が進まない」と肩を落としていても状況は変わりません。どうしたらあわら市の上層部に活動の意義を理解してもらえるか、そればかりを考えていました。ある日、「あわら市に行って直接話をするしかない」と決意し、コロナウイルスが少し落ち着いた2021年10月末にあわら市を上司と訪問。結果は大成功でした。お互いの理解が深まったらあとは目まぐるしいほどの速さで物事が進んでいきました。

訪問から2週間後には、東京都天王洲にある当社のトレーニングセンターへ市長の来訪が決定しました。市長が来る!もう大慌てです(笑)。
時間はありませんが、市長にあわら市でのSIP活動の意義とAKKODiSを知ってもらう大きなチャンス。できることは全部やろうと意気込みました。他部署の方にも協力をもらい、当社の社長の同席も実現。社長自ら会社の取り組みやSIP活動について熱弁を奮ってくれました。
その言葉は市長の心だけでなく、私自身のモチベーションも鼓舞する心強いメッセージでした。

動き出した地域活性化の活動で関係者との団結力が生まれた

あわら市との最初の取り組みは、小学生を対象としたプログラミング体験教室の開催。現地で地域の方や、職員の方と協力して一つのイベントを成し遂げたことで一体感を得られ、「今後、どんな試練があっても一緒に乗り越えられる」という団結力と強い信頼関係を築くことができました。
その後、あわら市とは2022年3月に『DXを推進する人財育成に向けた包括連携協定』を締結。翌月には総務省が推進する『地域活性化起業人※』を締結し、ICTアドバイザーとしてあわら市に着任しました。デジタル人財の育成に関する業務のほか庁内の推進体制の強化などを通じ、現在もDXを活用したまちづくりに寄与する活動に取り組んでいるところです。

※地域活性化起業人
地方公共団体が、三大都市圏に所在する民間企業等の社員を一定期間受け入れ、そのノウハウや知見を活かしながら地域独自の魅力や価値の向上等につながる業務に従事してもらい、地域活性化を図る取組に対し特別交付税措置が適用される総務省の制度。企業にとっても、社員の人材育成や地方圏との人的交流のみならず、企業における社会貢献を新しい形で果たすとともに、経験豊富なシニア人財への新たなライフステージの提供などにもつながる取り組み。

突破する方法はいくつもある。主体的に行動することで結果は変わる。

地域活性化起業人として活動するなかで私が大事にしていることは、あわら市現地滞在中に市役所庁内だけに籠らず、可能な限り地域の方との交流を持つということです。なぜならば、DX推進の取り組みは、役所だけが行うのではなく地域全体で関わるべきものだからです。
SIPの活動は、どうやってお互いの関係性を縮めることができるかがひとつの課題になります。その解決方法に答えはありません。だからこそ、指示を待ったり、答えを聞こうとするのではなく、知恵を絞り、自分なりに考えた方法で動いてみる。壁を突破して、物事を推進していくには、誰かがお膳立てしてくれるのを待つのではなく、自らが主体となって行動することが出来るかどうかで結果は変わってくるということを体感しています。
突破する方法はいくつもあると思いますが、その解決案を自分で考えて行動に移せることが、社会課題解決を推進していくことではないでしょうか。

自分の強みを発揮してあわら市と変化をともに楽しむ

前述のとおり、人の話を聞くこと、その人たちと同じ視点で対話することはとても重要です。「地方の社会課題と対峙し、解決に導く。エンジニアに新たなキャリアパスを。」という想いで始まったSIPですが、職種を問わずキャリアパスを広げるうえで、違う環境で仕事をすることは、多くの気づきを得られると思います。私自身もこの活動をとおして、自分がこの場所で輝けるかもしれないという可能性を感じることができました。
テクニカルなスキルがなくても現場に出て課題解決に取り組める、DX推進に関わる活動ができる、というところを先駆者として見せていきたいですね。誰もやっていないことに挑戦するのは勇気を要する一方で、自身の強みを最大限に発揮できるチャンスともいえます。困難も多々あるかもしれませんが、今後も全力で取り組み、あわら市と共に変化の喜びを感じながら進んでいきたいと思います。
ワクワクが止まらない。

PROFILE

末吉
テクノロジー統括アカデミー本部地方創生部

短期⼤学卒業後、事業所の栄養士兼店長として従事。その後、航空貨物の事務、⼤⼿建材メーカーで営業事務、外食業を経験。2017年2⽉、VSN(現AKKODiSコンサルティング)へ入社。⼈事本部に所属し、入社研修をはじめ多数の社員教育に携わる。2019年からSIPにメンバーとして参画。2022年4月、福井県あわら市の地域活性化起業人に着任し、日々躍動中。My Vision:世のため人のため。日々全力投球。

【福井県あわら市_地域活性化起業人 活動紹介動画】
https://www.youtube.com/watch?v=NSWcJpvbd1Y

  • インタビュー内容、所属は取材当時のものです。
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