地方の社会課題と対峙し、解決に導く。
エンジニアに新たなキャリアパスを。

 

#コンサル #地方創生 #DXプロジェクト #地域活性化起業人

取引企業への人財サービスの提供だけでなく、地方自治体へも人財を派遣し地方の活動を支えてきたAKKODiSコンサルティング(以下、AKKODiS)。本記事では、この地方創生プロジェクト『ソーシャル・イノベーション・パートナーズ(以下、SIP(シップ))』プログラムを生み出し、さらなる発展を目指して躍進を続ける、地方創生部 部長に話を聞きました。

市場で求められるのは、現場で自ら課題を見つけ解決していく人財。

ここ10年以上にわたり、AKKODiSは「デジタル人財が現場の課題解決をすること」を主軸に歩んできました。そのきっかけは、2008年のリーマンショック。多数の企業で人員整理がおこなわれ、職を失う方が続出しました。ですが、派遣契約が終了するケースが相次いている中でも、現場の重要ポジションとして残留を果たしたエンジニアたちがいたんです。

彼らはみな、日々「開発現場全体を俯瞰し、課題を発見・解決する」という動き方をしてきた人財でした。正社員の方は立場上、根本的な課題解決に乗り出しにくい場面が多いものです。しかしAKKODiSから派遣された社員たちはそうした制限がなく、第三者目線でどんどん課題を発見し、改善すべきことに手をつけていきました。

彼らが証明したのは、通常業務だけでなく「課題解決までできる人財は付加価値が高い」ということ。
逆にいえば、エンジニアは「手に職をつけていれば生きていける時代」から、「課題解決に導ける人財でないと生き残れない時代」になったと言えるのです。
この事実に気づいたAKKODiSは、エンジニア自身が現場から課題を発見、解決していくことを主軸とした経営への切り替えを決断し、段階的に視座を高めながら「課題解決」と向き合う姿勢を貫いてきました。

課題解決力の育成は人財投資。直接的な売上より成長につながる活動に。

それ以降、エンジニアたちは派遣先で通常業務に取り組みながら、現場の課題を解決するという取り組みを続けてきました。ある意味「おせっかい」として我々の意志で始めるもので、通常業務時間とは別の活動時間を設け、提案に向けた打ち合わせなどをおこなっています。
クライアントには、この活動や提案に対しての対価は請求していません。一方、課題解決に取り組んだ社員は社内でも評価が得られ、その分を給与や賞与として受け取ることができます。これは、当社が課題解決に費やす活動を「社員を育成するために必要な人財投資」だと捉えているからです。

「実践なくして成長なし」との考えで、現場で課題解決を行う経験が積める仕組みをつくり上げていきました。クライアントから報酬をもらわずに課題解決に取り組むなんて、日本では我々しかできないんじゃないですかね。

課題解決に向けた活動を始めたばかりの頃は、「業務仕様書に書いたこと以外はしないでほしい」とクライアント側から敬遠されることもありました。
でもこれはクライアントへの価値提供だけでなく、育成という人財投資でもあるので、やめるわけにはいかない。そこで私たちは、課題解決活動に賛同していただける企業や部署とだけ契約を結ぶ方針へシフトしたのです。

賛同してくれたクライアントにとって、この活動はメリットだらけ。「指示されたことだけを実行する」というほかの派遣会社とは差別化ができるようになり、10年以上の継続的な活動で事業としての成果も出始め、少しずつマネタイズもできるようになってきました。

対面コミュニケーションで根本的な社会課題と対峙する経験を。

今度は、企業だけでなく社会全体の役に立つ実力をつけるために、根幹の社会課題の難しさを体感する場が必要なはず。こうした想いから、協力企業ともに地方自治体での課題解決活動にも乗り出しました。2019年には、各自治体に5〜6人のメンバーを配置して地方創生の活動を開始し、自治体職員や地域住民の方と一緒に地域の課題解決に取り組むようになりました。

当社のエンジニアは、通常案件開始から終了までの部分しか関わらないため、そもそもの案件発生経緯や最終目的など、全体の流れを把握していないことが多い傾向にあります。また、いちビジネスパーソンとしての立ち回り方や今の世の中の動きを把握する機会も多くありません。そんな彼らの視野を広げるためにも、地域の方との対面コミュニケーションを通して一緒に何かを成し遂げる経験を積んでもらっているのです。

一方、地方自治体にとってもメリットが大きいと考えています。地方自治体には、このめまぐるしく変わるデジタル分野の実情を把握している職員はほとんどいません。民間企業にデジタル関連の発注をしたくても、的確な発注をすることができないんです。
そこで『SIP』では、受発注の関係ではなく対等なパートナーシップというかたちで手を組み、地方の改革を推進していく役割を担っています。

エンジニアから、CIO補佐官へ。新たなキャリアパスを開拓。

北海道東神楽町での『地域活性化起業人』着任式の様子。当社から2名を派遣する協定を締結。左から、東神楽町 山本町長、種畑(AKKODiS)、高見(AKKODiS)。

『SIP』開始当時は5つの自治体から取り組みを始め、4年目の現在は20を超える自治体でプロジェクトを継続しています。中でも特に知っていただきたいのが、栃木県矢板市での事例ですね。

初年度は協力企業がベースを組み上げたフィールドワークを実施し、その後も積極的な関わりを継続。その地道な活動が功を奏し、メンバーの一人が栃木県矢板市初の『地域活性化起業人※』として指名を受けました。
DX推進に向けた施策を一緒に考えるデジタル特化人財として活躍し、職員の皆さんのデジタルスキル向上にも貢献。その結果、今度はCIO補佐官として、副市長のデジタルまわり全般のサポートをおこなう重要ポジションに登用されることになりました。

実は『SIP』を始めた理由のひとつに、「エンジニアのキャリアパスが明確化されていない」という課題がありました。
現在1万人近くいるエンジニアたちが50歳、60歳と年齢を重ねていったとき、20代の頃と同じように民間企業の派遣先で同様の業務を続ける未来は想像しにくいです。
当社では、これまでのエンジニアからもう一歩進んだエンジニアを目指すという意味を込めて、エンジニアを「テックコンサルタント」と呼称していますが、自分自身も含めシニア世代のエンジニアが将来当社の中でどんなキャリアを描いていけるのだろうか。そんな不安から、エンジニアの新たな道を模索していました。

その選択肢として注目したのが、この地方創生の取り組みです。デジタル分野の知識や経験、都市部の働き方を地方に持ち込むだけで、助かる人はたくさんいます。これなら、社会の役に立ちながらエンジニアの新たな将来の選択肢が描けるはずだと考えました。ようやく今、この構想がかたちになり始めたのです。

※地域活性化起業人:地方公共団体が三大都市圏に所在する民間企業などの社員を一定期間受け入れ、そのノウハウや知見を生かしながら地域独自の魅力や価値の向上などにつながる業務に従事してもらう制度のこと。

世界で活躍する人財が積極的に関わる『SIP』へ進化を。

ここ数年、当社はずっと2桁成長を続けてきました。これだけでも十分すごいことだと思いますが、さらなるポテンシャルを秘め、それを活かしていけるはずだと、2023年4月にコンサルティング会社へと舵を切り、変革の真っただ中にいます。
この変革に賛同し、より上を目指せる人財を採用するために、世界中を探し回っています。

『SIP』は、そんな世界で活躍するハイクラスな人財の方にも注目してもらえる活動にしていきたいですね。特に若年層は、社会課題にダイレクトに取り組めることにものすごく興味を持っている方が多い。実際20代の中途採用人財で、このプログラムがあったから入社したという事例もあります。
エンジニアとしてだけでなく、営業職などの他職種でも挙手制で参加できるので、事業成長性はもちろんのこと、自己実現ができる場としても選んでもらえるように取り組みを拡張していきたいです。

PROFILE

種畑
アカデミー本部地方創生部 部長

1999年、株式会社ベンチャーセーフネット(現AKKODiSコンサルティング株式会社)に新卒第一期生として入社。エンジニアとしてキャリアをスタートし、派遣先でプロダクトの評価業務や多種多様なプログラム開発を経験。派遣業務から委託・請負業務に軸足を置くようになり、PMとして活躍。その後、社員向けに実施してきた研修の外販化を手がけながら、アカデミー本部未来創造部(現・地方創生部)の立ち上げを経験。現在は地方創生部の部長として、『ソーシャル・イノベーション・パートナーズ(SIP)』プログラムを担当する。

  • インタビュー内容、所属は取材当時のものです。
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