テクニカルサポートの仕事内容とは?ヘルプデスクとの違いや資格について
公開日:2021.05.31
ITエンジニア職種昨今、誰もがパソコンやスマートフォンでさまざまなサービスを受けることができるようになりました。IT製品が普及するにともない、ユーザーが製品に対する疑問や不具合を解消するための問い合わせをする機会も増えています。
こうした背景から、IT製品の問い合わせ対応を行なう「テクニカルサポート」の需要が増しています。
この記事ではテクニカルサポートの仕事内容や、ヘルプデスクとの違い、テクニカルサポートに求められるスキルについて詳しく解説していきます。
テクニカルサポートの仕事内容とは?
テクニカルサポートとは、IT製品の操作方法や故障などの技術的問題に対する問い合わせを受け、電話やメールで問題解決をサポートする仕事です。製品のアフターフォローがメインであり、担当する製品についての幅広い知識が求められるのが特徴です。
テクニカルサポートはデスクワークのイメージが強い職種ですが、ハードウェアが故障した場合などは、エンジニアがユーザーのもとへ出張して、製品の修理・サポートにあたる場合もあります。
またサポート対象となるユーザーは製品によって異なります。一般消費者から、企業の担当者など、さまざまなユーザーに対して製品のサポートを行ないます。
近年、商品の利用期間に応じて使用料を支払う「サブスクリプション方式」の商品市場が拡大しており、従来よりもテクニカルサポートの必要性が高まっています。
テクニカルサポートとヘルプデスクの違い
製品のサポートといえば、まず思い浮かぶのが「ヘルプデスク」ではないでしょうか。テクニカルサポートとヘルプデスクはどちらも製品のサポートを担いますが、それぞれ仕事の内容や対応範囲が異なります。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、製品に関するトラブルについて、技術的な観点からユーザーをサポートします。そのため、取り扱う製品・システムに関する高度な知識が求められる仕事です。
問い合わせの一次対応をしたヘルプデスクからエスカレーションを受けて対応するケースが多い点も、テクニカルサポートの特徴です。
ヘルプデスク
ヘルプデスクは、問い合わせの一次対応や、製品への疑問・不具合などのヒアリングを行ないます。問い合わせの対応範囲が広く、製品の基本操作など、それほど技術・知識を要さない問い合わせにも対応することがあります。ヘルプデスクで対応できないような、専門的な問い合わせの場合はテクニカルサポートへの連携を行ないます。
こうした業務内容の違いから、一般的にテクニカルサポートは、ヘルプデスクよりITに関する専門性の高い仕事といえます。
テクニカルサポートに必要なスキル
このようにテクニカルサポートは、ヘルプデスクよりも専門性が求められる職種です。では、具体的にどのようなスキルが求められるのでしょうか。ここでは大きく6つ紹介します。
- 担当製品に関する幅広い知識
- OS・アプリケーション・ハードウェアに関する知識や操作スキル
- トラブルを解決するための情報整理・分析スキル
- ユーザーに説明するためのコミュニケーション力
- 電話やメールで対応するためのビジネスマナー
- 忍耐力
担当製品に関する幅広い知識
まずテクニカルサポートは、担当製品に関する幅広い知識が必要となります。製品の設定方法や使い方以外にも、故障時の対応や、よくあるトラブルなども把握しておく必要があります。
OS・アプリケーション・ハードウェアに関する知識や操作スキル
また製品そのものだけではなく、例えば対象製品がアプリケーションやシステムの場合、OSやアプリケーション、ハードウェアに関する知識やスキルも求められるでしょう。不具合の原因がアプリケーションなのかOSなのかハードウェアなのか、といったことが切り分けられる必要があります。
トラブルを解決するためのヒアリング・情報整理・分析スキル
トラブルを解決するための情報整理・分析スキルも重要です。トラブルに対処するためには、ユーザーからヒアリングした情報をもとに、トラブルの原因を正確に突き止めなくてはなりません。
遠隔での対応が多いため、実際の状態を目で見たり触ったりすることができない分、特にヒアリングの能力は重要です。常にユーザーが正しい情報を返してくれるとは限らないため、うまく事実を引き出すテクニックが求められます。
ユーザーに説明するためのコミュニケーション力
テクニカルサポートは人と接する職種のため、コミュニケーション力も非常に重要です。どのようなエラーが起きているのか、どのように解決すればよいのかを、専門知識を持たないユーザーでも理解できるように説明する必要があります。
電話やメールで対応するためのビジネスマナー
問い合わせの多くは電話やメールでの対応となるため、最低限のビジネスマナーを身に付けておくことも大切です。
忍耐力
最後に忍耐力も重要になってきます。例えば、説明に時間を要するケースがあったり、相手が怒っている場面での対応を迫られたりする場合もあるためです。
テクニカルサポートのやりがい
このように、さまざまなスキルが求められるテクニカルサポートですが、直接ユーザーと接しながら解決することから、やりがいのある仕事でもあります。ここではテクニカルサポートのやりがいについて、大きく3つご紹介します。
ユーザーからの感謝
実際に目の前でユーザーの課題を解決するため、ユーザーから直接感謝の言葉をもらえることもあり、この「ありがとう」の言葉が大きなやりがいの一つといえます。
トラブル解決による達成感
また、トラブルを解決した際の達成感も、大きなやりがいとなります。複雑なトラブルほど多くの達成感を得られますし、テクニカルサポートが扱うトラブルは、多くの場合1-2日で解決できるため、短いスパンで達成感を得られる点も見逃せません。
企業の顔としての責任
この他、テクニカルサポートは直接ユーザーと接するため、企業の顔ともいえる存在です。自分の対応一つで企業の評価が左右されることもあるため、責任のある仕事である点もやりがいにつながるといえます。
テクニカルサポートの仕事の難しさ
電話やメールでの対応は、対面に比べて相手の状況を正確に把握するのが容易ではありません。問い合わせの内容はユーザーによって異なります。あらゆるトラブルに対し、最適な対処法を見つけるためにも、相手から状況を正確にヒアリングできるかが非常に重要となります。
もちろん、トラブルを解決するための適切な方法についても知っている必要があります。知識は一度身に付けて終わりではありません。製品がバージョンアップするたびに、新しい知識を身に付けるための勉強も必要です。
またトラブルに遭遇したユーザーはパニックに陥っていることも多く、技術的なサポートの前に相手を落ち着かせなくてはならないこともあります。そうした精神面でのサポートを行なう必要がある点も、テクニカルサポートの仕事の難しさといえるでしょう。
テクニカルサポートの仕事におすすめの資格
テクニカルサポートの仕事に就くために、必須資格というものはありません。しかしテクニカルサポートの業務に役立つ資格を取得しておくことで、就職活動時に自身のスキルを客観的に証明することが可能となります。
ITパスポート
情報処理推進機構(IPA)が提供する基礎的な資格。ITパスポートの試験対策は、情報技術に関する知識を幅広く身に付けることができるため、未経験からIT関係の仕事を目指す方にもおすすめの資格です。国家試験のため、スキルの証明にも有効です。
- 公式Webサイト:ITパスポート試験(IP)
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験(FE)は、ITパスポートと同じ情報処理推進機構(IPA)が提供する国家資格です。ITパスポートより開発者向けの試験となっており、ITスキルを実践に活用したい方向けの内容となっています。
情報システムに関する基礎知識を幅広く身に付けることができるため、テクニカルサポートを目指す場合は取得しておきたい資格の一つといえます。
- 公式Webサイト:基本情報技術者試験(FE)
ITIL® ファンデーション試験
ITを使用したサービスマネジメントのスキルを認定する資格です。世界180ヵ国、25言語で試験が実施されており、ITサービスマネジメントに関する知識を有していることを証明することができます。
- Webサイト:itSMF Japan
Microsoft 認定資格者試験
企業向けのシステムには、Microsoft 製品をベースとしているものも多く存在します。そのため、Microsoft製品に関する知識がテクニカルサポートの仕事に役立つこともあります。
Microsoft認定資格者試験は「Fundamental」「Associate」「Expert」の3つにレベル分けされているため、自分に合ったものを選択するようにしましょう。
- 公式Webサイト:Microsoft 認定資格者試験
テクニカルサポートはITの幅広い知識を生かせる仕事
テクニカルサポートは、ヘルプデスクに比べてより技術的なサポートを行なう仕事です。そのため担当する製品に対する幅広い知識が求められます。求められる製品知識は就職後にマニュアルなどを通して身に付けることが可能ですが、製品がバージョンアップするたびに新しい知識を勉強する必要があることは覚えておきましょう。
また、取り扱う製品によってはOSやサーバーなどのIT知識が必要となることもあるため、もし未経験からテクニカルサポートを目指す場合は、ITパスポートなどの資格を取得してスキルを証明できるようにしておくとよいでしょう。
テクニカルサポートの仕事では、IT知識だけでなく、メールや電話でユーザーからトラブルの内容をヒアリングし解決方法を伝えるためのコミュニケーション力も非常に重要となります。製品知識を身に付ける際に、「専門用語をわかりやすく伝えるためにはどうすればよいか」といった点を意識しておくと、テクニカルサポートに必要なコミュニケーション力を鍛えることができるでしょう。
(2021年5月現在)