派遣先企業との顔合わせは面接ではなく「面談」!当日の流れとポイント
公開日:2019.01.31
派遣のキホン派遣は一般的な正社員と雇用形態が異なるため、採用までの流れにいくつか異なる点があります。正社員として入社を希望する際は「面接」を行うのが一般的です。しかし、派遣として働く場合は面接ではなく「面談」が実施されます。なぜ、派遣として働く際は面接を行わないのでしょうか?また「面談当日はどのような流れで何を聞かれるのか」も押さえておきたいところです。
ここでは、派遣先企業で実施される面談について、当日の流れと注意点についてご紹介します。
派遣先企業との面接はない
正社員として就職を希望する際、一般的には面接が実施されますが、派遣先企業では面接が行われません。その理由としては次のようなことが挙げられます。
面接がない理由と履歴書送付の有無
派遣先企業で働く場合、「派遣労働者」と「派遣先企業」の間に雇用関係はありません。また、労働者派遣法第26条6項では、次のように定められています。
「労働者派遣(紹介予定派遣を除く。)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない」
そのため、面接を通して派遣労働者について特定することは禁じられています。同様の理由で、派遣先が派遣会社へ履歴書の送付を求めることは認められていません。
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※派遣社員が自らの判断で履歴書を送付することは可能です。
紹介予定派遣では面接が行われることも
紹介予定派遣の場合は、多くの企業で面接が行われています。通常の派遣とは違い、なぜ面接が実施されるのでしょうか?
求職者と企業のミスマッチを防ぐため
紹介予定派遣は通常の派遣とは違い、正社員や契約社員へと変わることを前提として採用しています。そのため、ミスマッチを防ぐためにあらかじめ面接を行い、相性や適性を確かめる必要があります。
基本的に集団面接はない
紹介予定派遣では基本的に集団面接は行われません。面接官は企業によって異なりますが、自分の意見をじっくりと伝えることができます。また、紹介予定派遣では、面接を通過してから就業、そして入社するまでに実際に働きながらスキルを身につけることもできるので、やる気があればスキルが雇用するレベルに届いていなくても、採用される可能性があります。
派遣会社の営業担当が面接に立ち会うこともある
企業によって派遣会社の営業担当が面接に同行する場合があります。仮に同席できない場合でも、会場まで求職者に付き添い、面接のレクチャーや疑問点に関する相談をすることが可能です。ただ、面接前は緊張もありそれほど余裕がないため、聞きたいことがまとまっていれば前日に聞いておくようにしましょう。
顔合わせ・面談を行う意味とは?
派遣先企業では面接ではなく面談が行われます。では、この面談にはどのような目的があるのでしょうか?面談の役割について見ていきましょう。
求職者を選別する目的では行われない
面談では自身のスキルや経歴を紹介し、業務能力のすり合わせを行います。そのため、面談では求職者を選別するのではなく、あくまで業務とのマッチングを確認することを目的としています。また、労働者派遣法により個人を特定する情報に関しては聞くことができないため、住所などプライバシーに関する内容を伝える必要はありません。
また、面談には派遣会社の担当者も同席することが義務付けられています。基本的に派遣会社の担当者が面談を進めてくれますが、自身のアピールポイントがあるなら、自分の口で積極的に伝えるようにしましょう。
面談の意味として重要な2つのポイント
面談には次のような2つの重要なポイントがあります。
雰囲気やイメージをつかむ
選別が理由ではないのに面談を行う理由は、働き出してからのミスマッチを防ぐためです。職場の雰囲気や企業の人を実際に知ることで、派遣先企業での働き方をリアルにイメージすることができます。また、面談を通して雰囲気が合わないと感じた時は就業を断ることも可能です。その場合は、まだ働いていないため、中途解約にはなりません。このように、面談は働き始めてから後悔しないために行う必要があります。
スキルを共有する
職場の雰囲気のほかにミスマッチが生じる原因は、業務に必要なスキルと求職者が持っているスキルのズレが挙げられます。どれだけ高いスキルを持っていても、それが活かせない職場では能力を発揮できません。そのため、派遣先企業に自身が持っているスキルを共有する必要があります。ただ、派遣先が派遣される人の個人情報を事前に求めることは禁じられているため、派遣先へは派遣会社の担当者から個人情報が分からない状態でスキルシートが共有されます。派遣会社へ登録する際やスキルシートを記入する機会があった時は、自分のスキルをできるだけ正確に登録するようにすると良いでしょう。
就業に適さないと派遣会社が判断することも
面談は選別を目的とはしていませんが、結果的に就業できないケースも存在しています。その理由として次のようなことが挙げられます。
派遣会社が取り下げるケースもある
派遣先の企業で労働する以上、少なからず何らかのスキルや業務能力が求められます。求職者の能力と派遣先企業が求める能力にズレがある場合、就業しても能力を発揮することが難しくなります。このように派遣会社が就業に適していないと判断した時は、契約を取り下げられる可能性があります。また、能力に限らず、職場環境に適していないと判断されることで就業を取り下げられるケースも存在しています。そのため、面談をすれば必ずしも働けるというわけではありません。
面談の結果に応じて、派遣先会社から不採用にすることはできない
派遣法では派遣労働者を選考することを禁止しています。そのため、面談の結果がいかなる内容であっても、派遣先から不採用にすることは基本的にできません。そもそも、派遣として働く場合の雇用主は派遣会社であって、派遣先企業ではありません。そのため、派遣先企業との雇用関係は生まれず、就業を断る権利も持っていないのです。
面談当日の流れと注意点
面談には派遣会社の担当者が同席してくれるため、当日の流れなどは担当者にお任せでも問題ありませんが、事前にどのようなことをするのかを知っておくようにはしましょう。面談中に派遣先企業の担当者から何かしらの質問をされることもよくあります。
面談当日の流れと事前に準備しておくべきポイントは、一般的に主に次のようになります。
当日の流れ:派遣会社の担当者と合流
面談には派遣会社の担当者も同席する必要があるため、派遣先企業に向かう前に合流します。面談開始の20分ほど前に最寄り駅や派遣先企業に集合することが多いでしょう。ここで、面談についての説明とスキルシートに誤りがないかなど最終確認が行われます。
当日の流れ:面談でスキルや経歴のすり合わせ
面談では、まずスキルシートを提出し、派遣先企業が求める能力と求職者の能力がマッチングしていることを派遣会社の担当者が説明します。基本的には担当者に任せてもいいのですが、アピールしたい点は自分で伝えても問題ありません。
当日の流れ:質疑応答
面談で派遣先企業の担当者から質問されることがあります。具体的な質問例としては、主に次のようなものがあります。
- どんなパソコンソフト(または開発スキル)を、どの程度使えるか
- 残業が必要な時には対応できるか
- 女性または男性が多い職場だが問題なく働けるか
派遣として働く場合の面談では、志望動機や長所と短所、転職の理由といった通常の面接で聞かれるような内容は基本的には聞かれません。また、「何か質問はありますか?」と逆に聞かれるケースもあるので、事前に気になる点はまとめておくことをおすすめします。面談前の担当者と打ち合わせをするタイミングで余裕があれば、想定問答で回答を用意しておきましょう。
当日の注意点
面談当日は、次のようなことに注意して臨むようにすると良いでしょう。
身だしなみを整える
派遣先企業が不採用にすることはまずありませんが、だらしない服装では良い印象は抱かれません。スーツやジャケットを着用し、清潔感を意識することはビジネスマナーの一つです。
派遣会社の担当者とコミュニケーション
担当者と連携がとれていないと、ささいなトラブルが起きる可能性があります。担当者は面談を何回も経験しているため、面談が始めるまでに情報を共有してもらいましょう。
ポイントを押さえて面談に臨もう
派遣として働く場合の面談は選別を目的としていないため、派遣先企業から不採用と言われることはありませんが、スキルや環境によっては派遣会社から契約を取り下げられる可能性があります。面談では基本的に派遣会社の担当者が進めてくれますが、派遣先企業から直接質問されることもあるため、質問を想定して答える練習をするなど対策しておきましょう。また、好印象を抱いてもらうために、清潔感ある身だしなみを意識してください。
(2019年1月現在)