データアナリストには未経験でもなれる?キャリアパスと勉強方法を解説

公開日:2021.03.31

ITエンジニア職種
 

近年よく目にするようになった「データアナリスト」という職種。高度なスキルが求められるため、未経験でいきなりデータアナリストになるのは現実的とはいえません。ただ、キャリアパスをよく考えて求められるスキルを身に付け、勉強と資格取得によって求められる知識があることを証明することで道は開けます。

そこで今回は、IT業界未経験者がデータアナリストに近づくためのキャリアパスと勉強方法・役立つ資格について解説します。

データアナリストとは

データアナリストとは、事業活動で蓄積されたビッグデータや適切なデータ分析モデルを見極め、活用することで、その企業が抱える経営課題や製品・サービスの改善を提案する職種です。

データサイエンティストもデータアナリストと同じような職種ですが、あえて分類すると、データ分析はデータサイエンティストの業務に近く、データアナリストは分析結果をもとに顧客への提案を行います。

データアナリストの仕事は、コンサルタント的な要素とエンジニア的な要素があります。企業の経営課題の抽出や解決提案などは、コンサルタントとしての技量が必要です。一方で、データマイニングや機械学習などのIT技術や統計学を駆使して顧客行動のモニタリング・分析を行うには、エンジニアのスキルが求められます。

データアナリストとデータサイエンティストの違いや年収、求められるスキルなどについてはこちらの記事もぜひご覧ください。

データアナリストの将来性

結論から言えば、データアナリストの将来性は明るいと言えます。その理由について、IT技術者の現状や将来の懸念、政府の動向などの観点から見ていきましょう。

IT技術者の現状と将来における人材不足

独立行政法人情報処理推進機構社会基盤センターが公表している「『IT人材白書2020』概要」では、ユーザー企業の部門別に今後のIT業務増減の見通しを公表しています。「データ分析などの高度化による情報活用」は、IT部門で3位、事業部門・各部門で1位という結果でした。

事業部門は、その企業の本業を推進する部門です。今後はより業種に即したビジネス課題の解決に対し、データ分析・活用が求められることが予測されます。

ユーザー企業の部門別の今後のIT業務の増減の見通し【増加の見通し1位~3位】

出典:「IT人材白書 2020」(独立行政法人情報処理推進機構)https://www.ipa.go.jp/files/000085255.pdf別ウィンドウで開く

IT高度技術者として今後も求められる

同調査によると、DXに取り組んでいるIT企業のうち37.8%は、データサイエンティストは「いないが非常に重要」と回答。他のIT職種に比べても不足感が高い結果が出ています。さらに、データアナリストの業務領域を含む「ビジネスデザイナー」も、36.9%の企業が「いないが非常に重要」と回答しており、こちらも人材不足感が高い結果でした。

データアナリストやデータサイエンティストなど、高度なスキルを持つIT人材は、今後とも高い需要があると見込まれます。

「IT企業でDXに対応する人材の重要度」

出典:「IT人材白書 2020」(独立行政法人情報処理推進機構)https://www.ipa.go.jp/files/000085255.pdf別ウィンドウで開く

また、DXに対応する人材の不足に関するIT企業への質問において、データサイエンティストは「大幅に不足している」が27.1%、「やや不足している」が33.6%でした。両方を合わせると、実に60.7%と半数を超えるIT企業がデータサイエンティストの人材が不足していると認識しています。

データアナリストになるには

では、データアナリストになるにはどうしたらいいのでしょうか。ここでは、「新卒」「20代からの転職」「30代以降からの転職」など、状況別に整理して確認しましょう。

大学新卒なら誰でもなれる?文系は難しい?

「IT人材白書2017」によると、2016年における大学の新卒からIT業界に就職する人のうち、文系学部の学生が占める割合は30.6%でした。文系学部の中でもビジネス関連の専門分野である経済・経営学系は14.7%と高い割合を占め、IT企業側も積極的に採用している様子がうかがえます。

これらを踏まえると、文系から新卒でIT技術者になれる可能性は十分にあると考えて良いでしょう。

IT企業IT技術者の最終学歴【年代別】

出典:「IT人材白書 2017」(独立行政法人情報処理推進機構)https://www.ipa.go.jp/files/000059086.pdf別ウィンドウで開く

ITやマーケター経験者は転職しやすい

また、IT業界やマーケター経験者は、データアナリストとして求められるスキルの一部を満たしているため、自分に足りないスキルを身に付けて転職することは十分に可能です。

20代なら未経験での転職も可能

では、未経験の場合はどうでしょうか。20代のうちなら、未経験での転職も十分可能です。ただし、自分でデータ分析のエンジニア的なスキルやビジネス課題の解決に関する勉強、資格取得などは求められます。

30代になると未経験での転職は厳しい

一般的な事実として、30代になると未経験で別業界への転職は難しい傾向です。30代未経験でデータアナリストを目指して転職したい場合は、まず自分のこれまでの業務内容から、データアナリストにも共通する経験を洗い出しましょう。特に、ビジネス課題の解決や顧客対応・営業経験などのビジネススキル関連は、強みとなる経験です。

「未経験」の部分は、どうしてもネックとなるため、経験を積むためにも、派遣やフリーランスなどでWebシステムの開発案件など未経験OKの案件に参画しましょう。転職までの間に副業などで足りないエンジニア方面の経験値を積み、少しずつキャリアアップを目指すことが大切です。

案件に参画したら、データベースやデータを扱う仕事があれば積極的に担当させてもらうことで、データ分析関連のスキルを身に付けていけます。何度かデータ分析の仕事を学ぶことで、データ分析の仕事に応募できるようになることが期待できるでしょう。

既存のIT技術者の「学び直し」によるシフトも期待されている

日本政府は、将来的に不足する高度なIT人材を確保するため、既存のIT技術者の「学び直し」によるシフトも検討しています。データベース周辺技術や、データ分析の経験があれば、資格などで足りないスキルを補うことでデータアナリストを目指して転職する年配のITエンジニアも増加するでしょう。

今後は、30代からでも未経験の問題をクリアすれば、十分に転職市場で戦っていけると予測されます。

キャリアパスから考えるデータアナリストになるための勉強

データアナリストには、「ビジネススキル」「統計」「ITスキル」といった3つのスキルが求められています。そのうち、「どのスキルがどのぐらい身に付いているか」について棚卸をしましょう。自分が過去のキャリアパスから「どのスキルを持っているか」「どの分野のスキルを新たに身に付ける必要があるか」を検討してください。

足りない部分を見極めてから、不足分野のスキルを補うために勉強を進めることで、より効率的にスキルアップを図れるでしょう。

新卒で情報系学部以外の場合はすべて学ぶ覚悟を

新卒の場合、情報系学部以外の学部出身者はすべてを1から学ぶ覚悟が必要です。ただし、学生時代から焦ってITスキルを勉強するよりも、就職時に新人教育が充実している企業を選ぶことが重要となります。

Webのバックエンドエンジニアなら「統計スキル」を学ぼう

Webのバックエンドエンジニアの場合、データアナリストになるために不足しているスキルは、データ分析に利用する統計周りのスキルです。さらに、クライアントとの交渉技術も求められます。チームのサブリーダーになる機会があれば積極的に受けて、基本的な交渉技術を学びつつ、統計スキルを学んで資格取得をすることで、スキルの不足部分を補いましょう。

マーケターなら「ITスキル」を学ぼう

マーケターの場合は、ビジネススキルやデータを活用するスキルはある程度身に付いているのではないでしょうか。足りないスキルは、データ分析を可能とするITスキルです。統計や機械学習などに使う開発言語の学習とプログラミングについてのスキルを積極的に学びましょう。

どのキャリアパスでも「ビジネススキル」は日々の業務から学ぶ

どのキャリアパスをとおってデータアナリストを目指すとしても、顧客と交渉しながらビジネス課題を抽出・解決方法を探る「ビジネススキル」は日々の業務からも学べます。ビジネススキルを証明する資格は、国家資格の情報処理試験も難易度の高い資格のため、コツコツと勉強を積み重ねていきましょう。

データアナリストに必要な3スキル強化に役立つ資格

最後に、データアナリストに必要な3つのスキル「ビジネス」「統計」「IT」の強化に役立つ資格をスキル別に紹介します。

「ビジネススキル」の強化に役立つ資格

ビジネススキルの強化に役立つ資格試験は、国家資格の情報処理試験の中でも難易度の高い「ITストラテジスト」と「情報セキュリティマネジメント」です。特に、ITストラテジストは以下のように定義されており、データアナリストのビジネススキルに直結します。

「経営戦略に基づいてIT戦略を策定し、ITを高度に活用した事業革新、業務改革、及び競争優位を獲得する製品・サービスの創出を企画・推進」

出典:「情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験」(独立行政法人情報処理推進機構)https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/st.html別ウィンドウで開く

「統計スキル」の強化に役立つ資格

統計スキルが足りないと自覚する人には、統計関連の資格がおすすめです。「統計検定」「統計士・データ解析士」「G検定・E資格(機械学習関連)」などの試験勉強をすることが、そのまま統計の学習につながります。

「ITスキル」の強化に役立つ資格

IT業界未経験の人がデータアナリストに関連するITスキルを勉強で身に付けるには、まずITの基礎知識を身に付けられる情報処理試験の「基本情報技術者」「応用情報技術者」がおすすめです。

上記の資格を取得できたら、次にデータベース周辺のITスキルを身に付けられる「OSS-DB技術者認定試験」「オラクルマスター」「データベーススペシャリスト」を目指しましょう。

データアナリストになるためにはキャリアパスを考えよう

IT業界未経験からデータアナリストになるためには、キャリアパスを考えることをおすすめします。いきなり転職することは難しくても、資格取得を目指して学習することによってもスキルを磨くことはできます。または、データアナリストに近づくことができるエンジニアの求人には未経験OKも多数ありますので、まずはWebエンジニアの派遣などから始めてみるのも良いでしょう。

AKKODiSでは、未経験OKのエンジニア求人を数多く掲載していますので、経験を積むための第一歩としてぜひご利用ください。

なお、データアナリストの求人は以下よりご覧いただけます。在宅勤務の求人(詳細はこちら)別ウィンドウで開くも多く、副業として業界の経験を積むことも可能です。

(2021年3月現在)

AKKODiSコンサルティングに関するお問い合わせ