新しい技術は人とともに成長する AKKODiSコンサルティング ✕ NTT社長対談

新しい技術は人とともに成長する AKKODiSコンサルティング代表取締役社長川崎健一郎氏×NTT代表取締役社長島田明氏

NTTが中心となって構想を推進する次世代情報通信基盤「IOWN ®(Innovative Optical and Wireless Network)」。その社会実装を人財の面からサポートする「IOWN推進室」をAKKODiSコンサルティングが立ち上げたのは2024年2月だった。グローバルで人財サービスを展開するアデコグループの中で、デジタルエンジニアリング領域のコンサルティングや人財サービスを専門的に手掛けるAKKODiSコンサルティング。同社がIOWN構想※1に参画した背景には、NTTが掲げるCX(顧客体験)やEX(従業員体験)の高度化、そして地球環境のサステナビリティを目指すビジョンへの共感があった。AKKODiSコンサルティングの川崎健一郎と、NTTの島田明社長が「技術と人財」にかける思いを語り合った。

次世代通信技術を人財の力で支える

川崎健一郎・AKKODiSコンサルティング代表取締役社長[以下、川崎]:NTTグループが「IOWN ®」の構想を発表したのは2019年でした。ネットワークに利用する消費電力を削減し、遅延を防ぎながら、大容量・高品質の通信を可能にするというまさに次世代の技術です。AKKODiSコンサルティング(以下、AKKODiS)は、この新しい技術の社会実装を人財の面からサポートすることを目指して「IOWN推進室」を立ち上げました。私たちはこれまで、多くのお客様企業の事業成長をエンジニアの人財力とコンサルティング力でサポートしてきました。その力をもってIOWN ®の成功を後押ししたいと考えています。

島田明・NTT代表取締役社長[以下、島田氏]:AKKODiSには、世界の150以上の組織と団体が参画している「IOWN GLOBAL FORUM™※2」にもスポンサーメンバーとして参加していただいており、大変心強く感じています。

NTTグループは、2023年5月に新しい中期経営戦略を発表しました。取り組みの大きな柱として「新たな価値の創造とグローバルサステナブル社会を支えるNTTへ」「お客さま体験(CX)の高度化」「従業員体験(EX)の高度化」の3つで構成されています。その最初の柱のトップに掲げているのがIOWN ®の推進です。

IOWN ®は、通信やコンピュータ等で使われてきた電子回路をエネルギー消費の少ない光回路にシフトしていくことで、消費電力を大幅に低減できる技術です。あわせて、川崎さんがおっしゃったように、通信では低遅延と大容量・高品質も実現できます。まず電子回路と光回路を接続する「光電融合」のデバイスを開発し、将来的には光を主体にした通信やコンピュータによる新しい社会インフラにしていきたいと考えています。

川崎:通信の電力消費をこれまでの100分の1まで低減させることが可能になるそうですね。

島田氏:2032年までにその目標を達成したいと思っています。その前段階として、2025年の大阪・関西万博でIOWN ®を実装した伝送装置やサーバーをご紹介する予定です。例えばサーバー部分の消費電力は、従来比で8分の1程度まで下がる見込みです。

川崎:あらためて素晴らしい技術ですね。

島田氏:このような技術を生み出し、推進し、社会実装を実現する。その一連の取り組みを担うのは、すべて「人」です。新しいテクノロジーの裏側には、常に人の働きがある。そう言っていいと思います。テクノロジーと人財はまさに表裏一体の関係にあります。

川崎:おっしゃるとおりですね。技術の進化は人の力によって支えられています。私たちAKKODiSも、IOWN ®の推進において人財の育成と技術の融合を重視しています。これからの技術革新は、私たちの未来を形作る重要な要素であると捉えています。

CXとEX、その理想的な関係とは

川崎:島田さんはNTTの社長に就任される時に、「CX(顧客体験)をEX(従業員体験)で創出したい」という大変印象深い言葉を述べられました。新中期経営戦略でも、CXとEXの高度化を掲げていらっしゃいます。

IOWN ®のような先端技術が、NTTのお客様企業の体験を大きく変えることは間違いありません。ただし、CXをより高度化するには、同時にEXの高度化も必要であるということなのだと思います。一人ひとりの従業員の皆さんが思い切り力を発揮できる環境をつくること。私たちの言葉で言えば、人財を「躍動」させること。それによってEXが向上し、その結果としてCXも向上する。私は島田さんの言葉をそう解釈しました。

島田氏:そのとおりです。IOWN ®に限らず、お客様に喜んでいただけるプロダクトやサービスを生み出すのは人のアイデアであり、それを形にしていく人の営みです。従業員たちが新しい発想を生み出せる環境がなければ、新しい価値を創出することはできません。

では、そのような環境をどうつくっていけばいいのか。大切なことの1つは、働くスタイルを多様化させ、働き方の自由度を上げていくことです。例えば、私たちは2022年に日本全国どこからでもリモートワークにより働くことを可能とする「リモートスタンダード制度」という仕組みを導入しました。現在、国内のグループ従業員およそ19万人のうち、約4分の1の5万人にこの制度が適用されています。

川崎:リモートワークの仕組みが広がれば、個人の裁量で働ける余地も広がります。それによって仕事のモチベーションが上がり、CXを向上させようという意識も高まる。そんな流れを目指されているわけですね。

一方、逆の流れもあると私は思います。CXが向上することによって、お客様から「ありがとう」「助かりました」といった言葉をいただく機会が増えます。そのような言葉をいただけることは、現場で働く人たちにとって最高の体験となります。つまり、CXが向上すればEXも向上するということです。EXによってCXを創出し、CXによってEXをいっそう高めていく──。そんなサイクルが実現するのが理想だと思います。

「その先のCX」を高度化するために

島田氏:CXを高めていく取り組みにゴールはありません。お客様にとってプロダクトやサービスの選択の幅は非常に広いので、これまで使っていたものを別なものに変えることは容易です。プロダクトやサービスを使い続けていただくためには、常に新しい付加価値をクリエイトしていかなければなりません。お客様のニーズや課題を捉えることはもちろん、何が必要とされているかを先回りして把握し、付加価値を生み出していく必要があります。そのような取り組みがなければ、CXを継続的に向上させていくことは難しいでしょう。

川崎:CXの継続的な高度化は、多くの企業にとっての課題になりそうです。私たちやNTTグループのようなBtoBビジネスを主体とする企業にとって、CXには二通りの意味合いがあると考えています。1つは、直接の顧客であるお客様企業の体験、もう1つは、お客様企業のその先にいるエンドユーザーの体験です。

AKKODiSには現在、7,000名以上のテックコンサルタントがいます。その人財の力をもってお客様企業の事業を支援するのが私たちの仕事です。しかし、単なる「外注」の形で人財サービスを提供するモデルでは、本当の意味でCXを高めることはできません。外部ベンダーとしてお客様に「伴走」するのではなく、一方で、お客様のビジネスに完全に入り込んで「同化」するのでもない。私たちのチームとお客様の事業現場における取り組みを「融合(フュージョン)」させること。いわば、AとBを掛け合わせて新たなCをつくること。そのようなサービスを私たちは「Fusion Activators(フュージョン・アクティベーターズ)」と呼んでいます。

この「融合モデル」によって、お客様企業のCXが向上するだけでなく、エンジニアリング領域のスキルやナレッジがお客様側に確実に蓄積していくことになります。そういったスキルやナレッジは、お客様企業が自社の顧客が求めるプロダクトやサービスをつくり出すための原資となります。つまり、「融合」がエンドユーザーのCXの高度化にもつながるわけです。

お客様企業のCXの高度化が、その先のエンドユーザーのCXの高度化も実現する──。そんな視点でCX創出に取り組んでいく必要があると私たちは考えています。

パートナーシップの力でともに未来へ

島田氏:先に申し上げたように、私たちは新中期経営戦略で「新たな価値の創造とグローバルサステナブル社会を支えるNTTへ」という目標を掲げました。具体的には、グローバルで展開しているデータセンターの電力を2030年までにすべて再生可能エネルギーにシフトし、2040年にはグループ全体でカーボンゼロを実現する計画を立てています。そのビジョンは、AKKODiSがやはり中計で掲げている「脱炭素化」と一致しています。今後それぞれの目標達成に向けて、ぜひ力を合わせていきたいですね。

川崎:その目標実現の1つの鍵となるのがIOWN ®ということですよね。IOWN ®は人類に大きなインパクトを与えるイノベーティブな技術です。そのような技術の社会実装を人財の力で支援することは、まさにAKKODiSの存在意義そのものと言っても過言ではありません。IOWN構想への貢献を通じて、地球環境のサステナビリティに貢献する。その意義ある取り組みが、必ずや私たちの従業員のEX向上にもつながると私は信じています。

島田氏:IOWN構想は、世界中の様々なパートナーとともに実現を目指している取り組みです。人財の領域において、AKKODiSとのパートナーシップは不可欠です。新しい技術は人とともに成長していくものである。その信念を忘れずに、ともにサステナブルな社会をつくっていきましょう。

※1:IOWN構想の詳細については、https://www.rd.ntt/iown/をご参照下さい。
※2:IOWN GLOBAL FORUM™の詳細については、https://iowngf.org/をご参照下さい。AKKODiSコンサルティングは、「IOWN🄬」を推進するIOWN GLOBAL FORUM™のスポンサーメンバーです。

Profile

川崎 健一郎(かわさき・けんいちろう)

1976年東京生まれ。青山学院大学理工学部卒業。AKKODiSコンサルティング代表取締役社長。アデコ株式会社代表取締役会長を兼任。一般社団法人日本人材派遣協会の会長も務める。

島田 明(しまだ・あきら)

1957年東京生まれ。一橋大学商学部卒業。2018年NTT(日本電信電話株式会社)代表取締役副社長に、22年に同代表取締役社長に就任する。電気通信事業者協会会長も務める。

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