ヤマハ発動機:製造業DX時代に価値ある技術者の未来像とは? 内部の議論だけでは見えなかった結論にコンサルティング支援でたどり着く

ヤマハ発動機:製造業DX時代に価値ある技術者の未来像とは?内部の議論だけでは見えなかった結論に研修支援でたどり着く

クライアント

ヤマハ発動機株式会社

担当部署

生産本部 製造技術統括部 生産革新技術部
生産本部 生産戦略統括部 モノづくり人財戦略部

業界

製造

支援内容

将来的な製造技術者の人財像設定

 

プロジェクト概要

ヤマハ発動機は、独自の開発思想「人機官能」のもと、二輪、船外機といった多彩な製品を技術と感性で世界に向けて製造しているメーカーです。船外機やウォータービークルなどの販売台数が世界トップクラスを誇る一方、生産現場における技術者の育成および製造業として向かうべき将来像に向けてスピード感をもって変革を進めるかという課題がありました。 そこでAKKODiSコンサルティングが、製造技術者の将来の人物像を明確にするため、製造技術統括部の各部長を巻き込んで2日間にわたるワークショップを実施。生産本部 製造技術統括部 生産革新技術部 部長の西脇尚徳さま、生産本部 生産戦略統括部 モノづくり人財戦略部 部長の河合多真美さまに、ワークショップを通じて得られた成果と製造技術部門の意識変化について伺いました。

抱えていた課題

生産部門が直面する人事課題

—西脇さまが所属されている生産革新技術部ではどのような業務を行っているのでしょうか?

西脇さま:ヤマハ発動機のモノづくりの基である理論値生産活動を通して、各製造部門や海外製造拠点と共に生産性向上やリードタイム短縮の活動を推進しています。またお取引先様とも一緒に改善に取り組む部署になります。現在は製造現場のDX化にも推進役として取り組んでいます。

—河合さまの所属されているモノづくり人財戦略部ではどのような業務を行っていますか?

河合さま:生産本部内に新設された、生産や製造の人事に特化した部署です。2021年まで人事部長を務めておりましたが、モノづくり人財戦略部の設置に伴い着任しました。

—生産部門における人事の課題とはどういったものでしょうか?

河合さま:生産現場で働く生産職は、今までは「決められたことを決められたようにやる」という大原則があります。しかし、生産ラインにロボットが導入されDX化が進むにつれ、現状のままでは人間はロボットに置き換えられてしまいます。
そこで、人が生産現場で働く価値とは何か?将来の生産職にはどのような知識・スキルが必要か? どのような人財育成をすればいいのか? という課題がありました。

西脇さま:もうひとつの課題が、自分たちのモノづくりの実力を客観的に評価したいということでした。社内には、塗装や溶接、切削加工、車体の組立てなど、それぞれの部門にプロフェッショナルがいて、技術継承を行っています。我々の技術力と同業他社のレベルをベンチマークするために、外部の方の目線も必要なのではと思っていました。

河合さま:製造技術者として培ってきた技術やノウハウを社会課題の解決に活かすためにはどうすればいいのか、という課題もありました。もちろん、カーボンニュートラルといった取り組みはすでに行っていますが、より広く社会に貢献していくためには、それを担う人財の側面からも考えていく必要があります。
このため、今後、製造業が担う役割の変化を予測しながら、広く社会から求められる存在であり続けるためにはどのような人財が必要か、検討を続けてきました。また、こうした製造業の変化や求められる人財の育成をいかにして進めていくかが私たちの課題でした。

ヤマハ発動機
河合多真美さま
生産本部 生産戦略統括部 モノづくり人財戦略部 部長

AKKODiSの取り組み

2日間のワークショップを実施

—そこで、AKKODiSコンサルティングに相談いただいたということですね。

河合さま:私は製造現場自体になじみが薄かったこともあり、製造現場の変革や、それに対しての人財育成についてわからないことが多くありました。このため、これまでもお付き合いのあったAKKODiSコンサルティングに相談させていただきました。

西脇さま:今回は、製造技術統括部の各部長、そしてモノづくり人財戦略部のメンバーが集まって、2日間の日帰り合宿形式でワークショップを実施いただきました。テーマは「製造技術者の将来の人財像」というものです。

—2日間のワークショップで印象に残っていることがありましたら教えてください。

西脇さま:製造技術統括部には6つの部門があります。それぞれがモノづくりにおける技術や考え方を持っているプロ集団ですが、これまでは横の連携があまり取れていませんでした。製造技術統括部では、アルミ鋳造の技術や車体プレス・溶接の技術など、保有技術がそれぞれ違います。そのため、これまで一緒に何かを進めるという機会があまりなかったのです。
3年くらい前から「将来の製造技術者のあるべき人財像」ということでディスカッションをしてきました。しかし、内部の人間だけでは具体的な人財像を描けずにいました。今回のワークショップでは、コンサルタントが外部目線でファシリテートして下さり、活発な意見交換ができました。ワークショップを通じて6つの部門で将来の人財像を検討でき、とても良い機会になったと思います。

プロジェクトの成果

これからの生産部門に必要な人財像が明確に

—2日間のワークショップでどのような手応えがありましたか?

西脇さま:当社の製造技術部門では、現在の業務に必要なモノづくりの技術を教える体系はきちんと整っています。しかし、2035年や2050年といった将来を見据えたときに必要な製造技術者の人財像について、AKKODiSコンサルティングの方が客観的に話を聞いてくれたのがよかったですね。

—どのような答えにたどり着いたのでしょうか?

西脇さま:一般的に、専門的な知識とスキルを軸に幅広いジャンルの知見を持った「T型人財」が必要だと言われていますが、これからの製造技術者のあるべき人財像として、専門分野に加えて、もうひとつの軸となる専門性を持った「Π(パイ)型人財」が適しているのではないかという未来を描けました。
弊社で言えば、アルミの鋳造や塗装・溶接のスペシャリストはたくさんいます。そこにプラスαとして、ファシリテートをする能力であったり、研究者として技術開発を行うといった能力を持った、ヤマハらしい製造技術者のΠ(パイ)型人財が必要だろうという答えが見いだせました。 このような考えに至ったことは、AKKODiSさんに力を借りてよかったなと思います。
また今回のワークショップでは、ヤマハ発動機で培った技術を生かした、技術集団でありたいという話も出ました。

—具体的にはどのようなことなのでしょうか?

西脇さま:例えば、先進的な商品力を武器にしたメーカーが日本に工場を作りたいと言ったら、「僕らがやります」という技術集団になっていたいということです。技術者、建物、設備も含めて工場を丸ごとそのメーカーの商品を量産する仕事を受けられるような技術者集団になっていたいという話が出たのは、とてもよかったと思います。

—今後AKKODiSに期待することはどのようなことでしょうか?

西脇さま:多くの企業でコンサルティングなどを行っていると思いますので、同業他社の改善事例などから、客観的に我々の理論値生産活動のレベル感についてベンチマークに協力いただければと考えています。

河合さま:もうひとつは、これからの製造技術はどのように進化していくのかという予測と、それに対する人財育成のプログラムというものについてお手伝いいただけることを期待しています。やはり、他社情報がなかなか得られないので、その辺りのアドバイスをいただければ非常にありがたいですね。

ヤマハ発動機
西脇尚徳さま
生産本部 製造技術統括部 生産革新技術部 部長

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