#セキュリティ #スペシャリスト #専門性を磨く
昨今、セキュリティ対策は国際的な認証基準の規格が改定されるなど世界的に必要性が増しており、企業や組織においてもそのリスクマネジメントは極めて重要な経営課題とされています。その中で、AKKODiSコンサルティング(以下、AKKODiS)におけるセキュリティ分野を担ってきた第一人者であり、日本ネットワークセキュリティ協会など関連する外部団体を含め多岐にわたって活躍するグループマネージャーの試行錯誤を繰り返しながら取り組んできたこれまでの道のりと想いに迫ります。
会社の枠を超えセキュリティ分野のスペシャリストへ。
私は2009年に新卒でAKKODiS(当時はVSN)にテックコンサルタント※として入社しました。学生時代に塾講師のアルバイトを経験し、教員免許も取得していたので、教育関連企業を中心に就職活動を行っていましたが、技術を積み上げていくエンジニアという職に魅力を感じ入社を決めました。入社後は、主にネットワークやセキュリティを中心にシステム構築に携わり、その経験を活かし、2016年からはテックコンサルタントの育成部門で、社内講師として活動を始めました。当時は、ウイルス対策や個人情報保護などセキュリティの重要性が世の中でも注目を集めていた時期で、AKKODiSでもその分野の人財育成を強化する動きが活発になっていました。
私も講師という立場で、セキュリティに関する事故が起きた場合を想定したインシデント対応やウイルスの解析など、社員が必要となるセキュリティ研修は何かを検討し、試行錯誤しながら形にしていきました。その動きの中で、日本ネットワークセキュリティ協会(以下、JNSA)へ参画しました。当時、社内にはセキュリティに関する有識者がほとんどおらず、知識を習得し人脈を築くためには積極的に外部との交流を図る必要がありました。セキュリティ分野の市場を把握するため、JNSAの市場調査ワーキンググループの活動に参加。どのような製品やサービスが市場を構成しているのか、衰退しているものはあるのかなど、ワーキンググループメンバーと意見交換をすることで知識を習得していきました。外部との交流はとても有意義で市場動向をより深く知ることができたと思います。
今では、ワーキンググループのサブリーダーを任され、海外からの視察者へ日本のセキュリティ市場の動向を説明する経験もしました。さらに、セキュリティ分野を担う人財のより良いキャリアを考えるため、財団法人日本サイバーセキュリティ人材キャリア支援協会(以下、JTAG)の設立発起人として、設立準備会の理事を務め、設立後は企画委員会の委員長として、人財と企業のマッチングや研修のレコメンド機能の開発を進めています。並行して、JTAGキャリアデザインワーキンググループのリーダーとして、セキュリティ分野を担う人財のキャリア調査やキャリアアップに向けた提言といった活動を進めています。レポート発表やセミナーの登壇などの活動も行い、セキュリティ人財のキャリアアップ支援に力を注いでいます。私自身も、セキュリティエンジニアにとって必要なキャリアパスは何か、世の中で求められる知識や技術は何か、どうしたら楽しく学べるかなど、セキュリティ分野を広く高い視座で考えることができ、専門性を高めていくきっかけになりました。
※テックコンサルタント:AKKODiSではエンジニアの呼称をテックコンサルタントとしています。
身に付けた技術や知識をどこで誰のために発揮していくか。
入社以来、研修体制の構築や人財育成を主としてセキュリティ分野と向き合ってきましたが、その分野を知れば知るほどその奥深さや重要性を日々感じていました。そして、お客様先のセキュリティ分野を担うテックコンサルタントの育成だけにとらわれず、企業支援や企業担当者の育成、今後を担う学生への教育にも取り組んでいきたいという、次のステップへの想いも湧いていました。ありがたいことに、企業支援や専門学校での授業はいろいろな繋がりの中ですぐに実現することができました。自分の未熟さを痛感する場面もありましたが、対面でセキュリティ分野の知見を伝える機会を得たことによって、単に知識を共有するだけでなく、社外の方にそれを教えるという責任感も増しました。
さまざまな経験を積むことはキャリアを磨く上で大事なことですが、身に付けた技術や知識を、どこで、誰のために、どのように発揮するかを考え、活動の場を広げていくことはもっと大事なことだと思っています。そうした想いから、新たな挑戦として、現在は地方創生の活動に取り組んでいます。所属部門では、これまで培ってきたセキュリティの知見を活かして、地方自治体のDX推進サポートなど地域活性化の業務を行っています。テクノロジーを活用するためにもセキュリティの意識は大切です。地域や地域住民が安全にデジタルを活用できる環境作りを意識し、地域の方たちと一緒にデジタル化を目指しています。地域での活動は社内や企業とのやり取りとは違った学びを与えてくれました。
アルムナイネットワークで卒業生との繋がりを構築する。
2023年6月にAKKODiS本社で開催されたアルムナイ交流会。
社内講師や研修制度の構築、協会団体の設立・運営など、「初の試み」を担当する機会が多くありましたが、アルムナイネットワークの立ち上げもその一つです。アルムナイは、元々は教育機関の卒業生を表す言葉ですが、近年では企業の定年退職者以外の退職者を指す言葉として使われています。いわゆる会社を退職した卒業生です。2021年、AKKODiSでもアルムナイネットワークを立ち上げました。かつてAKKODiSに在籍していたという共通のバックグランドを持ちながらも、他社や他業界での経験によって、新たな視点やスキルを培っているアルムナイが情報交換できる場を設ける。これにより、新たなビジネスの創出に繋げることを目的としています。
連携する企業との調整や参加ルールの告知、さらに運用時のトラブル回避を考慮するなど、技術的な安全性の確保だけでなく、参加者が心地よく安心して交流できる場の構築にも力を入れました。セキュリティはシステム上の安全性が重要ですが、参加者とコミュニケーションをどのように図り、ネットワークを活性化させていくかも大切であり、多角的な視点でシステムの要件が見られるようになったと感じています。
企画から立ち上げまで約1年かかりましたが、アルムナイネットワークによって会社を辞めても関係が途切れない環境と多様な繋がりが提供できていると思います。ネットワーク内ではオンラインイベントやアルムナイメンバーへのインタビューなど、さまざまな取り組みを通じて交流を図り、最近はメンバーをAKKODiS本社に集めて対面でのイベントも開催しました。今後も新しい形でより一層の繋がりや交流が生まれるプラットフォームにしていきたいと考えています。
変化は成長のチャンス。環境にとらわれない鍵は専門性を磨くこと
先日、JTAGのキャリアデザインワーキンググループで「成功した人のキャリアを調査したところ、そのターニングポイントの8割が、本人の予想しない偶然の出来事によるものだった」という『計画的偶発性理論』を用いてレポートを発表しました。振り返ると、私のキャリアもいろいろな偶然により形成されてきたように感じます。奇しくもセキュリティ分野の教育プログラムの立ち上げに関わり、その分野におけるレポートの発表やセミナーへの登壇など、エンジニアリングとも違う経験をするようになりました。
スキルや技術のアップデートはもちろん大事です。それをどこで活用していくのかはもっと大事だと思います。スキルや技術の専門性を突き詰めていく。スキルや技術を活用する場所を変えていく。この2つを意識できる環境に身を置けたことは非常に有意義でした。「人生100年時代」と言われる現在、多くのテックコンサルタントのみなさんが、自らが望むキャリアの実現や、より良いキャリアを形成できるように、私自身の専門性も磨き続けていきたいと思います。
PROFILE
玉川
アカデミー本部地域創生部ソリューションサービスグループ グループマネージャー
2009年 AKKODiSコンサルティング(当時はVSN)に新卒入社。テックコンサルタント、社内講師を経て現職。現在は企業・行政・地域と幅広くセキュリティ啓発や強化、デジタル活用の支援に従事。専門学校でのセキュリティ教育やJNSA・JTAGといったセキュリティ関連の活動にも幅広く取り組んでいる。
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※インタビュー内容、所属は取材当時のものです。