エンジニア経験を生かし、日本の社会課題解決を実現するキャリアの作り方。

 

#DXデジタル人財育成 #リスキリング #就労支援

AKKODiSコンサルティング(以下、AKKODiS)にはエンジニアとしてのスキルと経験を生かし、日本の課題解決に積極的にアプローチをする社員が数多く在籍しています。今回は、すべての世代に学びの機会を提供し、就労へとつなげるAKKODiS HR Innovation Academy構想から生まれた不登校・母子登校の悩みを抱える母親へのリスキリングと就労支援事業についてご紹介します。なぜAKKODiSが本事業を行うのか、責任者の地方創生部 部長が、母親支援団体の代表を務める有限会社富士エコティック取締役の中川由香さま、教育アドバイザーの中島 武さまをお招きして語りました。

デジタルリテラシー習得と就労に挑戦する力を身に付ける“リスキル&就労支援事業”を開始。

左:AKKODiSコンサルティング 地方創生部 部長 種畑、中央:有限会社富士エコティック取締役 中川由香さま、右:教育アドバイザー 中島 武さま

種畑 私たちは、令和2年度から東京都の「デジタル人材育成支援事業別ウィンドウで開く」で、アデコと連携して新型コロナウイルス感染症の影響などによって失業した求職者に向けて研修事業を行っていました。この研修受講者にアデコが専用求人を提供し、受講者のうち1~2年目は6割強~7割、去年は約900名の受講生のうち8割ぐらい再就職しました。AKKODiSコンサルティングの新卒正社員向けの教育カリキュラムをアレンジした内容で提供しています。毎年少しずつ内容を変えながら、今年度も継続してコロナ失業者の方に提供しています。

さらには、このスキームをアレンジして、栃木県矢板市にテレワーク人材育成支援業務を提供するなど、地方自治体に人材育成支援業務を広げてきました。教育訓練の機会提供だけでなく、就業する機会を支援するところまでをワンストップで提供しています。

高い就業意欲があるにも関わらず、さまざまな事情で就労における「社会的弱者」が取り残されているというのは、日本の社会課題のひとつです。「日本を、課題解決先進国に。」をビジョンとしているAKKODiSは、この社会課題を解決していくために、誰一人取り取り残さない仕組みづくりが必要だと考えています。
そのような方たちへのアプローチ方法を探していた時に出会ったのが、静岡県で不登校の子どもを持つ母親の支援をしている中川由香さんです。

中川 私は地元企業の取締役を務めながら、「JAPANママシードアカデミーMIA!ビジョン」という母親支援団体の代表として、主に不登校、登校渋りの解決に奔走し、一人で抱え込み、疲弊してしまったお母さんたちにオンラインで不登校支援講座やコミュニティ運営などを行っています。
不登校中の一番の壁となるのが感情との付き合い方です。このコーチングを行い、発育や発達の知識も学んでもらいながら、お子さんにあった生活をお母さんが自分で構築できるようにチームを組み個別サポートとメンタルケアし、情報の提供や生涯学習、社会参加の支援をしています。

私も不登校育児を3年半経験しています。その中で痛感した一番の課題は仕事です。当時は「今日も会社に行けません」と何回も欠勤を繰り返し、会社の取締役であっても社会参加できていない自分に存在価値がないと感じることもありました。学校の校庭で電話をかけた当時の状況を今でも鮮明に覚えています。
不登校が本格化すると学校に通えない分、子どもの生活や学習サポートにはお金がかかるのに収入が途絶えることへの不安が膨らみます。

旦那さんがいる方でも不安なのにシングルマザーなら本当に死活問題です。
私自身も不登校の子を抱えていたシングルマザーですので心情は痛いほどわかります。
自発的学習を支援するオルタナティブスクールやフリースクールは、公的な支援がほとんどないので親が学費を負担しなくてはなりません。毎週通うと月6~7万円かかる場合もあります。行けない場合は月に1回、半年に1回など家庭の経済状況でも教育が制限されてしまうのです。

子どもの学力や今後の進路が不安な中、働けずに収入がないことの不安が加わるとやっぱり子どもに学校へ行ってほしいと当たってしまい子どもとの関係性が悪くなり負のスパイラルに陥ってしまいます。
子どもの年齢が低いと留守番させて仕事に行くこともままならないなか、不登校の終わりも見えず親子で疲弊してしまいます。精神的な面だけでなく、やはり収入がなくなることで経済的な損失や不安も大きいのです。

私の講座を受ける中でメンタルが整うとお母さんの不安がなくなり、前向きになって、親子ともに元気になってくれます。その後に必ずついてくるのは子どもの教育とそれにかかるお金です。学校に行かないという事実も、家に子どもだけを置いていけないという事実も変わりません。
今のこの日本の学歴社会から外れた子どもとキャリアが途切れたお母さんが、社会に出て仕事をどうするのか。学校の授業には出てない不登校の子どもでも、日本の学校教育で進んでいないITであれば、今から学べば人よりひとつ頭上に出る可能性があるのではと思いました。ただ、不登校になり、自信をなくしている子どもは、知らないことに積極的に取り組むことが少ないので、興味を持つためには親が率先して学ばなくてはならないと思いました。

まずは、公教育で不登校の子へのITの学びが実現してもらいたいと思い、子どものためのビジョントレーニングスタジオを作る際にご縁のあった教育アドバイザーの中島武先生とともに、私が住む自治体の教育長とお話しする機会を得ました。

「ITの義務教育」を受けていないという気付き。ようやくスタートラインに立てたと感じる。

中島 私は、不登校の小中学生のためのオンラインスクールの運営や通信制高校「N高」設立に関わっていたこともあり、以前から種畑さんとAKKODiSコンサルティングのIT人材育成プログラムを高校生向けにも作ろうと相談していました。東京都や地方自治体の事業でIT人材を育成し、その先の仕事に繋げてきたノウハウが、不登校の子の学びと仕事に生かせるのではないかと思っていたからです。
それを各自治体に提案しようとするなかで、中川さんとも協力したのですが、自治体からは「いい話ですね。来年または再来年に向けて考えましょう」と待たされてしまうのです。
子どもは今学校に行っていなくて、不安を抱えているお母さんも今日どうしたらいいのか悩むなかで来年まで待っていられません。それならば、自分たちで始めようとなりました。

中川 政府が不登校の子の居場所や施設を作っているけど、私たちは居場所が欲しいのではなく、わが子が社会に出てちゃんとお金が稼げる自立できるようにつなげてもらいたいのです。種畑さんが率いる地方創生部が自治体に関わっている、その実績を見たら偽物ではないとわかりました。

種畑 私の率いるチームでは、子どもから大人までビジネスシーンで通用するスキルを提供する「HR Innovation Academy構想」を掲げ人材を人財へと変革する仕組みづくりを推進しています。子どもから大人まですべての層を対象に、ビジネスシーンで通用するスキルを習得できるプログラムを提供することが目的です。

そのひとつとして、中川さんの母親支援団体に集まる社会復帰を望むお母さんたちに向けた“リスキル&就労支援”のためのデジタルリテラシー習得講座を開講しました。6カ月間で、私たちエンジニアなど専門家が伴走して、デジタルリテラシーアセスメント、e-ラーニングコンテンツ提供、技術講師によるメンタリング、キャリア教育、世の中の仕組みの理解と、それを活用した就労支援を行っています。

AKKODiSのエンジニア育成研修をベースとしたカリキュラムに加え、受講者の要望に応じて提供する講座では、求人市場や現在の就労環境やテレワーク就労の現状やキャリア形成に使える厚労省のジョブカードなど、だれでもアクセスできる公的ツールの紹介をしました。さらに、家庭の中では触れる機会の少ないビジネスツール使用など、実務のシーンで必要なデジタル技術を利活用する力を身に付けることを意識したカリキュラムにしました。

企業や学校など受講者が一定の知識レベルでそろった母集団ではなく、地域住民など個人向けの教育機会の提供においては、受講者一人ひとりの方のスキルや経験が違うので、セルフペースラーニングで全員が自分にあった目標を設定し、それを達成できるように講座を進めています。

過去の失敗経験ですが、受講者目線を意識せず、運営側の効率のため地域住民向けの集合研修を実施したことがあります。結果として「もっとレベルが高いことをやりたかった」という声や「難しくてついていけなかった」というバラバラの評価でした。
このような経験から、今は受講者の属性に応じた、学びの機会の提供を心がけています。

中川 この方式だと離脱する人もいそうに思えますが、一人ひとりに目標設定とメンタリングをしてくれているおかげで誰も離脱していません。

種畑 私たちはあくまで技術のメンタリングとキャリア教育、僕らが持っている一般社会で働くナレッジでメンタリングしているだけです。中川さんへの信頼の元に集まった受講者の皆さんが、自立を目指す気持ちが強いのだと思います。

中川 学びだけでなく、働く仕組みまで理解できますね。ITの知識が増えて子どもの興味関心を広げる会話ができるようになったのも大きな収穫です。世の中の仕組みについてITを軸に見ることができるようになり、私は、これまで「ITの義務教育」を受けてこなかったのだなと思いました。日本人の識字率がいいのは義務教育で読み書きを習っているからですよね。だけど、ITに関しては基本的な知識や技術的スキルを学んでこなかった。今まで受けてきてなかった「ITの義務教育」を初めて受けて、世界が広がったっていうよりも、マイナスから0とか1のスタートラインに立てたと思っています。

この講座が始まって、私の仕事を手伝ってくれている受講生の方が主体的に資料作成なども行うようになり、今までの時間の半分で倍の量の仕事ができるようになりました。効率よく仕事が進むので、時給を倍にしました。すでに仕事の現場でも成果が見えています。

AKKODiSは、エンジニアが大きな日本の社会課題に取り組める会社。

中島 学校は定期テストの成績によって評価をしますよね。だから、子どもたちはそのテストでの評価を得るための学力をつけようとするし、先生もそういう授業もします。社会の評価、社会人に対しての評価軸と学校の評価軸が違うんです。それが混乱を招いていると思っています。資格を取ったりスキルを得たり、社会に出ていくために身に付けた学びが、結果として社会人として求められる人材のスキルになるんです。
今、中川さんが言われた時給が倍になった例も、社会的な評価を得たということですよね。

企業であるAKKODiSは、教育の中に入っていって子どもたちや母親と一緒になって社会に合わせた仕組みを作る取り組みを始めています。イノベーターの主人公は、AKKODiSであり、不登校の子であり、お母さんたちだと思います。

求める人材になるということは就労にも当然つながるし、それは報酬額にも当然繋がっていくということを私も教えていきたいですね。

種畑 地方創生部では、地域住民と一緒に地域の課題解決に取り組んだり、行政職員と一緒に役場内のDX支援に取り組んでいますが、突き詰めるとやっていることは人の育成です。全世代のリスキルというのは今の教育の大きなテーマであり、大きな社会課題解決のひとつだと思っています。
AKKODiSには、一人ではアプローチできない大きなテーマに直接的に取り組める環境があり、またそれに寛容な会社です。エンジニアとして技術力や、当社が求めている課題解決力を身に付けた先には、このようなキャリアがあります。
SDGsウォッシュのような見せかけの事業ではなく、本当にやっているということを知ってもらえたらうれしいです。

取材ご協力


教育アドバイザー
中島 武 氏

地方行政と民間企業団体が協力・融合して、『新しい日本の義務教育の仕組み』と『新しい地域創生のカタチ』を創る地域特例校100校開校プロジェクト発起人 / 複数の通信制高校運営・設立に関わる。オンライン声優スクール設立を経て、2014年より「ネットの高校・N高等学校」の設立準備段階から発起人として参画、設立。仕方なく行く学校から、行きたい学校へ。通信制高校のイメージを変えた。その後、小中学校との直接連携によるネットスクール「クラスジャパン小中学園」を2019年に開校し、不登校小中学生の新しい自立型の学びのカタチを実現した。現在は、“好き”を徹底的に伸ばす教育を義務教育の選択肢に入れるため、「地域特例校100校開校プロジェクト」を推進中


有限会社富士エコティック 取締役
JAPANママシードアカデミーMIA!ビジョン 代表
リサイクルドラム缶 製造業/不登校コンサルタント
中川 由香 氏

自身の育児を通し、専門の関わりが必要と感じ子どもが2歳の頃から発達や心理、学びを始め、脳科学、EQコーチング解剖学やビジョントレーニングなどを学ぶ。母子登校、不登校、再登校経験者。不登校時にキャンピングカーで生きた体験を親子でするため好き!やりたい!知りたい!を叶える日本全国を巡る。不登校の子どもを教育しながら働きたいとビジョントレーニングスタジオを開校。自身の学びと経験、子どもたちを通し改善できたことをメソッド化。ママのための不登校をギフトにする講座を開始。独学で始めたインターネット、SNSビジネスは初年度より3,000万越えを達成し、取締役に就任。プレゼンを得意とし難関の助成金や審査を数々突破。静岡県働き方改革では初代 生産性部門大賞受賞。EQ発達ビジョン講座 累計受講者 100人越え。2022.10~2023年の相談件数570名以上

PROFILE

種畑
アカデミー本部地方創生部 部長

1999年、株式会社ベンチャーセーフネット(現AKKODiSコンサルティング株式会社)に新卒第一期生として入社。エンジニアとしてキャリアをスタートし、派遣先でプロダクトの評価業務や多種多様なプログラム開発を経験。派遣業務から委託・請負業務に軸足を置くようになり、PMとして活躍。その後、社員向けに実施してきた研修の外販化を手がけながら、アカデミー本部未来創造部(現・地方創生部)の立ち上げを経験。現在は地方創生部の部長として、『ソーシャル・イノベーション・パートナーズ(SIP)』プログラムを担当する。

  • インタビュー内容、所属は取材当時のものです。
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