#生成AI #Power Platform #ChatGPT #ハッカソン
AKKODiSコンサルティング(以下、AKKODiS)は、2023年12月6日から9日の4日間にわたって行われたMicrosoftコミュニティイベント「Japan Power Platform Conference 2023」(以下、JPPC)にFacilities & Staffスポンサー企業として参画し、イベント運営をサポートしました。6日と9日はAKKODiS、7日と8日は日本マイクロソフトを会場とした基調講演やセッションには、1,000名以上の参加者登録があり、700名以上がオンライン、140名以上が現地で参加されました。今回は、Power Platformに関する日本最大級の規模のイベントであるJPPCの様子をお送りいたします。
DAY1-1:AKKODiS基調講演「AI×市民開発者が切り拓く日本の未来」
ハイパーオートメーションの最新ビジョンについて講演するSangya Singh氏。
1日目となる12月6日は、AKKODiSにて基調講演とワークショップを開催しました。JPPC開催にあたり、Microsoft本社から来日したPower Automate & Power Pagesの製品開発トップを務めるSangya Singh氏が、2023年11月にリリースされたばかりのMicrosoft Copilot(コパイロット)に関する説明と今後の展開について講演されました。「Microsoft Copilot は、Microsoft 365のWordやExcel、Outlookといったビジネスアプリケーションと自然言語処理モデルである「LLM」(Large Language Model /大規模言語モデル)を組み合わせた新しいAIサービスです。各アプリケーションにおいて会話形式で指示することができるとともにアプリケーションを横断した連携も可能で、データ整理や資料の作成といった定型業務の効率化に大きく寄与できるサービスです。今後、劇的にビジネスシーンや仕事を変える可能性があると考えています」と、デモを交えながら力強く説明されました。
その後、AKKODiS常務執行役員 兼CTOを務める前田拓宏より「AI×市民開発者が切り拓く日本の未来」というテーマで基調講演が行われ、総勢174名(オンライン100名、現地74名)の方にご参加いただきました。AKKODiSでは、リスキングを通じてデジタル人財を育成する研修を数多く提供しており、今回の講演でも、ビジネスパーソンのリスキリングの重要性について説明説明しました。
市民開発者へリスキリングすることで生まれるビジネスへの可能性を語るCTOの前田。
前田は、「生成AIをはじめとする進化するテクノロジーを活用するには、ビジネスパーソンがリスキングを通じて『市民開発者』として進化することが非常に重要であると考えています。従来は、システム開発を社外のサプライヤーへ依存していた日本企業も社内でアプリケーションを開発できる人財を育成することで、ビジネス変革をスピーディかつ柔軟に推進することができるようになります。特に、生成AIのような革新的なツールは、従来のような座学でスキルを習得するのではなく、即座に実践的な使用が可能になるツールです。特定の部門や職種に限らず組織内のビジネスパーソンが実務のなかでリスキリングすることで、組織全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)に貢献することができる。組織に潜在しているさまざまな課題を解決していくためには、生成AIの活用とビジネスパーソンへ内発的な動機付けが重要だと捉えています。これらを組み合わせることで、日本の未来を創造していけると考えています」と、語りました。
DAY1-2:ワークショップ「生成型AI~Power PlatformのAI機能で、全員が活用できるように」
基調講演後、当社イベントスペースと「AKKODiS innovation Lab.」のステージに分かれ、CopilotとFabricに関する2つのワークショップを同時開催しました。Copilot をテーマとしたワークショップでは、冒頭に本イベントの運営メンバーである吉田が生成AIの歴史やCopilotがもたらす新時代の到来について言及しました。その後、エデュケーションエバンジェリストとして、AKKODiS Academyの講師を務める石川がファシリテーターとなり、グループワーク「悪魔の1ダース Devil’s one Dozen」を行いました。
石川は、生成AIを理解するためにChatGPTを使用した「プロンプト」と「応答」の文脈で偏りがちな12個の要素を、デモンストレーションと合わせて説明しました。続けて、12のバイアスを避けてChatGPTを通じて自分が欲しい回答を得るために気を付ける3つの注意点「明確な指示」、「範囲の限定」、「出力フォーマットを指定」について解説を行いました。これらの注意点を踏まえて行われたグループワークに、参加者は意欲的に取り組んでいました。このほかにも、生成AIを活用することで、業務効率化に役立てることができる「要約」、「コンテンツ生成」機能をデモンストレーションで紹介しました。
Copilotのワークショップに参加した大学職員の方は、「いろいろな職種の方が参加しているので、関心の高さを感じました。ワークショップは実践的な内容でとても参考になりました。大学の業務改善に使っていきたいと思います」と話し、すぐに実践に移せる手応えを感じている様子でした。
Copilotのワークショップ終了後には、Microsoft本社でPower Platform 製品グループでPrincipal Program Managerを務める吉田大貴氏が質疑に応じ、実際にアプリを作るデモンストレーションに移りました。会場から作ってみたいアプリのアイデアを募り、その中から従業員の在籍状況を管理するアプリを作りたいというプロンプトを入力。Copilotの画面が立ち上がり、管理アプリの作成を進めていきました。
AIに対する施策やガバナンスについて説明を行うMicrosoft本社の吉田大貴氏。
また、別フロアで同時開催されたFabricでは、Microsoft Ignite 2023のアップデート最新情報と共に、Microsoft本社のFabric製品グループのPrincipal Program Managerを務めるPhil Seamark氏、同社FabricのSenior Program Managerを務めるYe Xu氏の講演も行われるなど、Power Platformの最前線で活躍されている方々から、最新情報が語られる有意義な1日となりました。
DAY2:Power Appsで業務改善~手書きからダッシュボードへ~
会場はほぼ満席。質問も多数あり盛況なセッションとなりました。
会場を日本マイクロソフト本社に移して始まった2日目は、総勢538名(オンライン395名、現地142名)が参加。冒頭のキーノートではMicrosoft本社 Power Platform 製品開発チームの責任者が、Power Platform 製品のビジョンや最新情報について説明されました。
また、AKKODiSにてデジタルテクノロジー活用を推進する畠山が「Power Appsで業務改善~手書きからダッシュボードへ~」をテーマにしたセッションを担当しました。畠山は、ファッションモデルからハードウェアエンジニアへのキャリアチェンジを経て、2017年の入社以降、エンジニアリングだけでなくお客様先企業にて課題発見、改善提案を実施。自動車部品メーカーでBMS(電気自動車やハイブリッド車に使用される電池を管理するシステム)の設計をサポートするなど、自らのテックコンサルタント※としての体験と合わせて、デジタルテクノロジーの活用とデジタル人財を育成する重要性についても語りました。
畠山は、セッションの前半では、デジタル技術、特にPower Platformを使った業務プロセスの効率化と業務改善を解説し、勤怠管理システムのデジタル化や、エクセルマクロを使ったデータ処理の自動化などの実例を紹介しました。後半は、AKKODiSが提供するデジタル人財を輩出するための技術教育について触れ、お客様が自らDXを実現し自走できるようにサポートするために、AKKODiSが掲げる社員のスキル調査から必要な研修を提案するITコンサルティングのステップとマインドセットの重要性や実践的な方法を順に説明しました。
参加者からはAKKODiSが提供する研修サービス、アプリ開発、DX推進についての質問が寄せられ、「モチベーションを高めDXをいかに促進していくのか」という点については、デジタル人財の育成のキーとなるマインドセットの重要性を言及しました。
※テックコンサルタント:AKKODiSではエンジニアの呼称をテックコンサルタントとしています。
DAY3:Power Automateで業務を効率化しよう
30名以上が参加した「Power Automateで業務を効率化しよう」のセッションの様子。
3日目は、引き続き日本マイクロソフト社をオフライン会場として開催し、総勢445名(オンライン327名、現地118名)が参加されました。初日に続き、AKKODiS Academy講師の石川が登壇し、Microsoft Formsを使ってクイズを作り、回答を容易に効率的に管理するセッション「Power Automateで業務を効率化しよう」を行いました。
「Microsoft Formsから回答を得る場合、多くはExcelでダウンロードしますが、これをSharePointリストに自動的に蓄積することで、データ管理を容易にすることが可能です。また、Power Automateを利用して得点判定を自動化。SharePointに蓄積されたデータは、Power Automateを通じて分析され、合計得点も自動計算されます。集約されたクイズの結果は、Outlookを使って参加者へ通知を送ることができます。
Outlookの自動通知機能は、手動で各参加者に結果を送信する手間を省くことができ、自動化された通知システムを構築することにより、参加者に迅速かつ正確なフィードバックを提供し、管理者の作業負担の軽減に繋がります。特に大規模なトレーニングや試験で非常に有効な手法です」と、デモンストレーションを中心に紹介しました。
参加者からは、「Formsで得られた回答はExcelやCSVに落として分析や必要な図表を作成していましたが、Power Automateを活用すると分析までできることがデモンストレーションを見ながら知ることができました。自分の業務にも使ってみたいと思います」(男性・製造業)、「デモが分かりやすく、身近な手間のかかる仕事を効率化できるいい方法が聴けてよかったです」(女性・IT企業)と、業務にすぐ取り入れられるセッションであったと好評でした。
また、キーノートではPower Appsで作成された楽器を使用したJapan Power Apps Orchestraによる「ボレロ」のパフォーマンスがあり、会場を大いに沸かせました。最後に、Microsoft本社Power Platform 製品開発チームの責任者より、Power Platformに関する最新情報、Ignite 2023に関する最新アップデートの解説があり、全36セッションが終了しました。
DAY4:ハッカソン
いよいよ最終日となる4日目は、メイン会場を再びAKKODiSに戻し、東京、名古屋、大阪、広島の4つのエリアに分かれ、オンラインとオフラインのハイブリット形式でハッカソンを行いました。全国から約70名14チームが参加し、AKKODiSを会場とした東京会場には、約20名の方が来場されました。
ハッカソンは、各4~5名でチームを編成し、アプリのアイデアが決まったら早速検討を開始。5時間という限られた時間のなかで、職種も組織も全く異なる初対面の参加者と知恵を出し合いながらアプリの開発を進めていきました。参加者同士で要件や仕様について意見を交換しながら、終始活気に溢れた雰囲気で行われました。
東京会場の様子
審査は、参加者全員による投票と審査員により行われ、議事録を自動生成するアプリを開発した名古屋会場の「MISO」チームが優勝しました。Teams会議を録画した際に作成される文字起こしファイル(vttファイル)を、特定のSharePointライブラリにアップロードすると、会議内容を要約したメッセージが届くというアプリです。
審査員を務めたAKKODiSの前田拓宏は、「皆さんが現場の課題や経営課題に着目して、ソリューションとしてアプリを作っていたのがとても印象的でした。私自身もとても勉強になりました」と、参加者の皆さんの情熱を称えていました。
また、同じく審査を行ったソリューション事業本部長の田中からは、「アニメを作成したチームがいましたが、そのクオリティの高さに驚くとともに、生成AIの可能性をとても感じました。プログラミング未経験の方もアプリを作れる時代がやってきたことを実感しました」と振り返りました。
JPPCを主催したMicrosoft本社の吉田大貴氏は、「この規模のカンファレンスは開催したことがなかったので当初は不安もありましたが、4日間でオンライン・オフラインを含め、延べ1,000人以上が参加され、大盛況のまま無事に開催することができました。皆さんに楽しんでいただけて良かったと思います」とコメントしました。
東京会場の様子
AKKODiSは、2022年1月に日本マイクロソフトと2025年までに20万人のデジタル人財育成に向けて協業することを発表し、市民開発者(Microsoft Power Platformの利活用層)の人財を10万人創出することを目指し、ビジネスパーソンのリスキリング・アップスキリングを支援しています。JPPCへのFacilities & Staffスポンサー企業として参画ならびにイベント運営のサポートは、この取り組みの一環として実現しました。AKKODiSは、今後もMicrosoftコミュニティをとおして、さまざまな技術エキスパートの方と繋がり、さらなるデジタル人財の輩出に取り組んでまいります。
ハッカソン参加チーム(70名 全14チーム)
東京会場:365ブレンド/パワーソックス/MIKSS/make sense
名古屋会場:MISO/手羽先/ShiTamacHi/もーにんぐ
大阪会場:Myaku×2/ARE
広島会場:103+/チームSky/グラススターズ/Challengers
結果
1位MISO(名古屋会場) 2位Myaku×2(大阪会場) 3位手羽先(名古屋会場)
参加者コメント
「集合知を体感することができました。自分が知識のない分野について同じチームの方が作成・検証を進めてくださり、1人で調べて進めるよりもずっと早く形にすることができました。」(名古屋会場)
「初めてハッカソンに参加しました。とても刺激を受け、ちょっと興奮状態です。お互いの仕事やスキルも全く知らないメンバーが集まり、このようなアプリを作れたことはとても充実した時間でした。」(東京会場)
「オンラインでほかの地域の方の発表を聞くことができて楽しかったです。みなさんそれぞれの発想が素晴らしくて、アプリ開発だけではない学びや気付きをもらえて満足です」(東京会場)
「Japan Power Platform Conference」について
「Japan Power Platform Conference」は、アメリカ・ラスベガスで2023年10月に開催された、Power Platform Conference の日本版として開催されるコミュニティ主導のイベントです。Microsoft社が提供するPower Platformの活用方法やノウハウ・事例などを知り、理解を深めるとともにワークショップやハッカソンへの参加を通じて実践的なスキルを習得する貴重な機会です。2023年は「Copilot フル活用!」をテーマとし、Microsoft Power Platform に搭載されたたくさんの Copilot や生成型AI機能について紹介される機会になりました。
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※インタビュー内容、所属は取材当時のものです。