#バズるサービス #システム開発 #eventos #TVer
本記事は、2023年2月10日に開催された「Developers Summit 2023」の中から、当社が参加したトークセッション『『ボケて(bokete)』『eventos』の開発者と考える「バズるサービスを生み出し、エンジニアとして突き抜けるには」』の模様を抜粋して掲載しております。
※セッション内容に登場する社名・呼称の一部に、現在とは異なる表記があります。
登壇者紹介
菅澤 英司
bravesoft株式会社
代表取締役CEO
法政二高から法政大学情報科学部へ進学。学生エンジニアとして活動し22歳で起業。18年で108名が所属する規模に成長し7割以上がエンジニア。15年間で世界4拠点150名でのグループに成長。アプリ開発にいち早く進出し、これまで総計1億DL、1000件以上の開発を経験。首相官邸やTVerなど代表作の開発を主導。「最強のものづくり集団」を目指し、エンジニアリングの理想を追求。
趣味はプログラミング、1人旅、ブログ、読書。年に一度、山にこもってプログラミング合宿を開催。
前田 拓宏
AKKODiSコンサルティング株式会社(登壇時はModis株式会社)
常務執行役員 兼 CTOテクノロジー統括
大分高専機械工学科卒、名古屋工業大学大学院工学研究科産業戦略工学修了。株式会社VSN(現AKKODiSコンサルティング株式会社)に機械設計技術者として入社。その後エンジニア社員のキャリアプランニング及びキャリアコンサルティングを通じた人財開発に携わるとともに、VUCAの時代を生き抜くエンジニアのキャリア開発をはじめ、自社の強みである「問題解決力×エンジニアリング」を活かし地方の課題解決に挑む。地方創生プロジェクトなど新規事業も手掛けている。
國司 壮太郎
AKKODiSコンサルティング株式会社(登壇時はModis株式会社)
キャリアリクルーティング第1部 部長
2009年に株式会社VSN(現AKKODiSコンサルティング株式会社)へ新卒入社。ITインフラエンジニア、営業、キャリア採用を経て、これまで3,000名を超えるエンジニアやコンサルタントと面接を経験。リファラル採用ではリフカム様の「Referral Recruiting AWARD」を受賞。現在はエンジニアやコンサルタントのハイクラスポジションの採用責任者として従事。
学生時代は友人であるお笑いコンビハライチをお笑い界に誘ったことや、大学時代は日大アメフト部に所属をしていた等、様々な経験がある。
バズるサービスを生み出す方法とは:数多くのアイディアが生まれる環境づくりと試行錯誤の繰り返し
「あったらいいね」という想いが開発の原動力
國司:今まで様々なアプリやサービスをリリースされてきたと思いますが、どのようなアプリ、サービスをリリースしてきましたか?
菅澤:まずは『ボケて(bokete)』っていうアプリを開発して、これが700万ダウンロード程度になりました。その次がイベント運営プラットフォーム『eventos(イベントス)』です。名前は「イベントのOS」という意味でつけました。
こちらはコードを書かずにイベントサイトが作れるプロダクトで、今まで6000件以上のイベントに採用されて、ありがたいことに、去年グッドデザイン賞をいただきました。
また、多くの方々に使っていただいて、東京ゲームショウとか東京ガールズコレクションでも採用された実績があります。
あとは『Live!アンケート」も作りました。これはリアルタイムにみんなで投票ができ、結果まで確認できるサービスです。これも3年前ぐらいにノリで合宿で作りました。3年間無料で使い始められ、これまで1万社、400万人が体験してくれている結構人気のプロダクトです。
國司:どのサービスもたくさんの方が利用されてバズっていますよね。それらどのような経緯でバズるサービスが生まれてくるのか、体制だったりカルチャーだったり意図していることはありますか。
菅澤:それぞれのサービスで色んな経緯があります。『Live!アンケート』の場合だと「こういうのあったらいいよね」ってみんなで話していて、とあるエンジニアがプロトタイプを作ってきたのがきっかけです。みんなで触ってみて「確かにこういうサービスあったらいいよね」ってことで、その後合宿して本格的に企画デザインして3ヶ月ぐらいでリリースしました。
こういうエピソードがまさにbravesoftらしいなと思います。結構、社内ツールもbravesoftのエンジニアが作って、それをみんなで使うという流れがあります。
僕自身もたまにプログラミングしているのですが、1年に1回合宿に行って何かしらのサービスを作っています。最近だと、会社の受付で使っているiPadアプリは僕が作りました。みんなで作って、みんなで使って、という雰囲気が楽しいですね。
開発する際は、時には専門の開発チームを立ち上げたりすることもありますし、今あるチームで走ることもあります。やり方が決まったら、あとはみんなでバーっと作り込んでいくというカルチャーですね。
國司:サービスの発起人にインセンティブが入る仕組みもありますか。
菅澤:はい!表彰やちょっとしたボーナスが出たりする仕組みがあります。そうやってどんどんアイディアが生まれる文化づくりに励んでいます。もちろん中には「やっぱりイマイチだったな」とか、外向けに出したプロダクトでも、「きついな」と閉じたサービスもいっぱいあります。
全部当たるわけじゃないですが、どんどんプロダクトを生み出す文化づくりはしていますね。
前田:そういった動きを許容できる文化・カルチャーってとても大事ですよね。例えば大きな組織で働いていると使われないアプリ作っていて売上にならないと何やっているんだ?と言われてしまうこともあると思いますけど、我々(AKKODiS)もこれから『AKKODiS innovation Lab』というわいわい、ガヤガヤ、いろいろな観点を入れながら楽しみながら作っていく環境を作ろうとしています。多少コストがかかってもエンジニアが切磋琢磨して開発していける仕組みが必要ですよね。
いろいろな人の観点・発想を柔軟に受け入れる、プロトタイプを作ってどんどん改善をしていく。その結果でバズるサービスを生み出された
國司:ちなみに『ボケて(bokete)』はどんな経緯で作り始めたのですか。
菅澤:『ボケて(bokete)』は実は3社でやっている共同プロジェクトで、僕+2人のエンジニアでちょっと作り始めたWebサービスです。それを6年7年やってきたときに、サービスが少しずつ広がって、『ボケて(bokete)』のアプリ開発やろうよって話になりました。
そのアプリを作ったら毎年100万ダウンロード以上されるようになったんです。ちょうど『ボケて(bokete)』自体も有名になってきていたところに、アプリの流れがきて、そこにマッチして一気に広がったっていう感じでした。
國司:共同のプロジェクトも積極的にやっているのでしょうか。
菅澤:やっぱり自社だけでも限界があるので、いろんな会社のいろんな人とサービスを作っていきたいという思いがあります。『ボケて(bokete)』は、テレビ局にいた知り合いが起業したところで、じゃあ一緒に作ろうよってなってはじめました。
いろんな人の観点や発想が入って作り上げたアプリですが、そういう開発の進め方がいい結果に繋がったんだろうなと思います。
前田:どちらかと言うと企画書ガチガチでまとめるよりかは、「とりあえず作ってみよう」という感じですすめているんですか?
菅澤:そんなに形式ばらず、テキストベースでみんなに見せて伝わるレベルのコアな部分を整理したコンセプト資料は簡単に用意します。ただ、いわゆる立派な企画書や計画書みたいな感じではないです。そこからプロトタイプを作ってみて、そこからどんどん改善をしていった感じです。
エンジニアとして突き抜ける人の共通点:早くからプログラミングに慣れ親しみ新しいことに果敢にチャレンジする
早期からプログラミングを始めることの重要性
國司:ここから今回のもう一つのテーマである「エンジニアとして突き抜ける方法」に話題を移したいと思いますが、菅澤さんが思うエンジニアとして突き抜けている人の共通点は何でしょうか?
菅澤:実は僕「エンジニア勉強会 - つよつよch」というYouTubeチャンネルを運営していて、Ruby言語を作った「まつもとゆきひろさん」や、有名なエンジニアの方々を呼んで対談しています。ゲストの方々に「エンジニアとしてどうやって突き抜けたのか?」と聞いたら、結構共通している部分がありました。
突き抜けている人は、やっぱり動き出すのが早いです。僕も大学2年生から仕事としてプログラミングをずっとやってきまして、やっぱり今活躍しているエンジニアは、学生時代からアルバイトや仕事でプログラミングに向き合っていた人がすごく多いです。
bravesoftも今どんどん学生を受け入れていますが、最初に少し教えてあげただけでもどんどん仕事ができるようになっています。若いと飲み込みも早く、そのまま内定が出たりすることもありますね。
始めるのが早ければ早いほどやっぱりいいし、「突き抜けるためにプログラミングをしまくる」っていうのはすごく共通しています。勉強のための勉強というよりは、もう仕事してエンジニアリングを早い段階からプレッシャーのある中でやっていくっていうのがすごくいいと思います。
未経験者がエンジニアになるには、まずは作って楽しむこと
前田:今社会的にもIT、DXと言う流れがある中で、これからエンジニアとしてチャレンジしようと言う方もいると思いますが、これから未経験から挑戦する人は何からやれば良いでしょうか?
菅澤:我が社も未経験から入ってきて、それから成長して活躍している人もいます。なので、エンジニアは未経験からでもチャレンジできる仕事だと思っています。一緒に学ぶ仲間がいて「みんなでこれ作ろうよ」とか話し合って、サービス開発を学ぶスクール・コミュニティのようなものがあればいいかもしれないですね。
國司:技術的に言うと未経験者は何から始めるべきだと思いますか?量が大切なのはもちろんですが、何に取り組むべきかという努力の方向性もあると思いますが。
菅澤:今、結構簡単に使える技術とかもいろいろと出てきています。いわゆるフロントエンド技術であるReact、Vue.jsとかで簡単に画面を作って、自分好みのブログサイトにしてみるなど。ちょっとした簡単なゲームも作れるので、興味を持てるもの、作ってみたいと思うものを考えて、最短距離で作ってしまうのはありです。
作っているうちに楽しくなっていくと一番成長していくだろうなと思います。
エンジニアも上級になれば市場価値もPM・マネージャーと同等に。大切なのは自分のキャリアビジョンを持って成長していくこと
國司:あとは、未来のキャリア形成として、エンジニアとしてのスペシャリストを目指すのか、マネージャーを目指すのかも迷いますよね。プロジェクトマネージャーとスペシャリストはどちらが市場価値が高いと思いますか。
菅澤:難しい質問ですね。ビジネスだと、どうしてもPMの方が成果が目立ちますけど、エンジニアも会社の成長に大きなインパクトを与えてくれる人財がいます。
だからうちの会社では、あまりPMやマネージャーばかりが評価されすぎないようにしています。エンジニアでも階級が上がるとマネージャークラスの給料になるようにして、プレーヤー側もしっかり評価される制度を作ることが大事です。
國司:我が社はまさにスペシャリストであるエンジニアの給与体系がしっかりあって、評価制度の仕組みをよく説明しています。
前田:人財の価値をどこで測るかって大切ですよね。IT人財が数十万人不足している状況は、もはや日本の社会課題だと思います。現に、プロジェクトマネージャーは圧倒的に足りてないです。AKKODiSも、今まさに積極採用を行っているわけですが、今の世の中って、エンジニアでもマネージャーでも、その分野・専門性を突き詰めている人の価値が高いですよね。
國司:菅澤さんは人事評価だけではなく、エンジニアを成長させていくというミッションも仕事の中であると思いますが、エンジニアが成長できる環境作りで心がけていることはありますか。
菅澤:新しいことをどんどんやらせないと成長しないと考えています。「フロントエンドはある程度できるようになったけど、バックエンドやネイティブアプリはまだ未経験」みたいな人には、バックエンドやネイティブアプリ開発をバンバンやってみることが大事です。
挑戦する人に対して、周りがある程度教えて助けてあげられる空気感をつくり、お互いの知識や経験をシェアする空気感があれば、エンジニアはどんどん技術を習得していきます。
前田:エンジニアって主体的に新しい技術を学んでいく必要があるとも思うんですけど、それって今やっている仕事とは直接関係のない事が多いと思っていて、1人で目標を立ててやり切るのはかなり難しいですよね。そこを学ぶ環境だったり、仲間だったりコミュニティ、それこそAKKODiSで行っているリスキリングやアップスキリングを担うAcademyでは、環境を提供しています。
あとは根本としてエンジニアとしてどうなりたいのか?と言うところをちゃんと持つと言うところが大切だと考えています。
「突き抜ける」。その先に面白いことが待っている
國司:あっという間に時間が来てしまいましたが、最後にエンジニアの皆さんに向けて一言お願いします
菅澤:これからエンジニアとして突き抜けたい方、僕もプログラミングを始めて最初の1年2年はわかんないことだらけで大変な時期もありました。けどそこで「突き抜けてやろう」って思うことで、めちゃくちゃ色んな壁を乗り越えて今すごく楽しいです。
「自分たちが作ったものが何百万、何千万人も使ってくれた」とか「新しいものを考えて、それをみんなで作って広がっていく」とか、未来に期待を持てている今の環境自体がすごく楽しくて充実しています。大変かもしれませんが、「最初の1年2年を乗り越えたらその先に面白いことが待っている」と希望を持って、ぜひ頑張っていただきたいです。
参加者からよせられた質問
質問:今回のセッションで参加者の方に一番伝えたいポイントは何でしょうか?
菅澤:とにかく「突き抜けるためにまずは量をこなすことが大事」ということをお伝えしたいです。それを徹底すると楽しい景色が見えてきます。
夢を持ってビジョンを持ってやっていくのは凄く良いことです。僕もプロダクトを生み出しては外れた経験がいっぱいあります。だから数を打つことが大事だと思います。当たっても2~3割くらい。それぐらいの確率です。出してみたら結果が出るんで、あまり身構えずにとりあえず作って出して欲しいです。
質問:投稿サイトなどサーバー代がいくらになるかわからないようなサービスも「やっちゃえ」で走り出しますか?
菅澤:一応見積は出します(笑)。「これぐらいの予算に収まるならやってみようかな」という感じで始めます。
質問:事業として成り立つかどうかはどの段階で判断していますか?
菅澤:これも結構難しい質問ですね。例えば『ボケて(bokete)』は7年赤字です。判断が難しいですが、たとえ赤字でも成長率や会社の予算を考慮しながら常に予測をするのが良いと思います。
質問:なぜ『ボケて(bokete)』は7年赤字でも諦めなかったのですか?
菅澤:やっぱりユーザーが少しずつ伸び続けていたからだと思います。どこかで黒字に転じるという希望が見えていたので諦めませんでした。結果として、7~8年経つと本当に黒字化できました。
トークセッションを振り返って
今回は『ボケて(bokete)』『eventos』の開発者である菅澤英司さんのご経験を交え、バズるサービスを生み出すにも、エンジニアとして突き抜けるにも、失敗を恐れず多くのプロダクトを作り、経験を積むことが大切だというお話のセッションとなりました。
エンジニアとしてどのようなキャリア形成をしていくのか、キャリアプランをどのように考えればよいのかなど、エンジニアを目指す方の参考になれば幸いです。
2023年7月27日(木)14:10~14:50
『Developers Summit 2023 Summer』にてトークセッションを行います。
ぜひご視聴ください!
Developers Summit 2023 Summer(2023.07.27)(shoeisha.jp)
※トークセッションの視聴は事前のご登録が必要となります。
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※インタビュー内容、所属は取材当時のものです。